☆平成22年8月31日

建長寺からさらに、歩く事十数分。


まさしく"一山越えた"感じの少し開けた場所に、その寺は在った。

円覚寺である。

割と車通りの多い車道より脇道へ数歩入れば、眼前にデーンと現れる寺への入り口…の手前に線路、そして降りた遮断機。あと外人のカップル。

そのカップルの後ろで何気なく電車が通り過ぎるのを待つ…木陰のせいか幾分涼しい。

…唐突だった。唐突に遮断機をその長い御御足でヒョイッと跨ごうとするのは外人のカップル。慌てたのは、何を隠そうこの俺。

ノー!ノーアクション!と、咄嗟とは言え余りに酷い英語を吐きながらカップルに向かって両手で×のジェスチャーを繰り出し、全身で『電車が来てるよ危険だよ』と伝える…いや少なくとも伝えようとしてみる。
折角の鎌倉旅行で、『心に残った思い出は血飛沫肉舞い散る円覚寺前の踏切ですプラッタッ!』とか、正直ご勘弁頂きたいのだ!笑

すると、自分たちでも自分たちの取った行動が何を意味しているのかは理解していたのか、コッチを向いて『大丈夫だよ兄ちゃんこんなの直ぐ渡れるよ電車来てねぇよ』みたいな表情を浮かべながら俺に向かって『○×△■■×!』と答えるカップ雄。

…。

しまった!こいつら明らかに英語圏の外人じゃねぇ!!
英語でさえ何言ってるのか分からねぇのに、尚更何言ってるのか分から…分か…あー、いや、良く考えると別にどっちにしたって分からねぇんじゃねぇか笑

結局、俺のイカしたジェスチャー(パッと見、失敗した天空ペケ字拳)の甲斐無く、外人カップルはその長い御御足を駆使して境内に消えて行きました。そのカップルが上の画像のアイツラです。アイツラナノデス。

…それから時間にして五分強、何とも気恥ずかしい気持ちに苛まされながら遮断機が上がるのを待つ俺。

目の前を通り過ぎて行った電車に『貴様みたいなモンはそのまま銀河へきかいのからだでも探しに行ってしまいます様にアメン』と良く分からない呪詛の念を送り(完全な八つ当たり)、円覚寺の境内へと階段を上る。

拝観料を払い、境内の入り口すぐ横のトイレにてまずは便器と言う名の白いキャンバスに溜りに溜まった内なるパトスを尿という迸(ゲヒン略)思う様に俺色に染めてやった。

時間に余裕も有ったので、黒珈琲を購入し、トイレ横のちょっとした休憩所っぽい所で一服入れる事に。
ベンチに座り、ふと隣の一団に目をやる。これまた外人だ。

大きなおっさんの外人、大きなおばさんの外人、小さな外人、小さな外人、何となく友達にはなれなさそうな雰囲気のおばさんの日本人…多分、この日本人が知り合いの外人集団を案内して上げていると言った所なのだろう。

そうして、そのインドの民族衣装クルタのような…何ともユタっとした衣装に身を包んだ大きな外人二人が頻りに案内役と思しき日本人に何かを言っている。

ちょっと気になり、耳を傾けてみると、

大きなおっさんの外人『ニホン、ミズ、タカイネー』

大きなおばさんの外人『ニホン、ミズ、タカイネー』

大きなおっさんの外人『ニホン、ミズ、タカイネー』

大きなおばさんの外人『ニホン、ミズ、タカイネー』

…。

…お前らはアレか、壊れた蓄音器か何かか。

要は、自動販売機で売っている水の値段が高いと言う事だろうが、そんな状況を尻目に向こうでは小さな外人二人がトイレの洗面所で水をがぶ飲みしている。

嗚呼、何なのだろう、このカオスな感じ笑
居た堪れなくなった俺は、その場を離れ境内奥へと歩を進める。

山門を潜った所で『弁天堂はコチラ』といったような案内表示を見つけ、特に何も考えずそちらへと舵を切ってみた。

それから直ぐ、俺の目の前に現れたのは長い長い石段。

さっき山越えて来たばかりやぞ…また上るんかい…と、一寸挫けそうになるも、此処で道を変えるまたは引き返すなどという行為はつまりそれ自体が敗北であるからして、ここはOK、OK、上ってやろうじゃありませんかの精神である。

あと、どうでも良いが前を行く外人カップルの姉ちゃんの方のケツがでかくて目的地が視認出来ませぬ。

…そのケツ南米系と見た!!そのケツ待て待てーい!!アハハ

南米のケツ(推定)によりもたらされたプリップリのダークサイドフォース(つまりそれは邪念、馬の鼻先にぶら下げられた人参に良く似た邪念)により石段を登り切った俺は、弁天堂と思しきお堂(調べろよ)の賽銭箱に小銭を投げいれたり、近くに有った鐘を写真に収めたりしつつ、さらに奥へと進む。

因みに、外人カップルは石段を登り切ったあと直ぐにUターンして石段を下りて行った。
…あんたら何しに来たんだ。

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serani poji/まなもぉん

さて、このタイミングで本日の一ムジク。
今回は『serani poji』の楽曲より、個人的名曲『まなもぉん』を。

このセラニポージというバンド、元々は俺大好きセガの名機ドリームキャストのソフト『ROOMMANIA#203』の為だけに結成されたバンドである。
メンバーは、作詞作曲およびkey/ササキトモコ、初代vo/ゆきち(まなもぉんまで)、二代目vo/東野佑美ワンルームサバイバル以降)。

結成当時セガの社員であったササキトモコは、セガサターンの代表作である『NiGHTs』の楽曲(参考:SS用ソフト『NiGHTs』ost/Dreams Dreams)を手掛けた事でも有名らしい…そう、勿論wiki様参照である。自慢ではないが、まさかこの曲を作ったのがセラニポージの人だったなんて、今この記事を書く瞬間まで全く知らなかった笑

何を隠そうこのナイツ、仕事中に追突された事により出た保険金で勝ったセガサターン白にキャンペーン中という事で無料で付いてきたゲームなのだ。
正確には『クリスマスナイツ』というクリスマス仕様の無料特別体験版であったが…兎に角、俺がサターンを購入してから初めてプレイしたゲームであり、そして開始数分で放り投げたゲームである事は間違いない。

因みに、本編は随分後に友人から借りてクリアした。ちゃんと、クリアしたんだ!!

セラニポージは2004年に活動休止していたらしいが、それより実に六年の時を経て2010年に活動を再開。ニューアルバム『MERRY GO ROUND JAILHOUSE』をリリースしている。
尤も、活動再開と言ってもニューアルバムに関してはササキトモコのセラニポージ名義でのソロ作品であり、初期の、それこそ今回紹介している『まなもぉん』などを知っている人からすれば『全く別のセラニポージ』…に感じるかも知れない。

みみずになりたい日もあるの/太陽浴びながら乾く自分/教えてあげようか魔法の呪文/わかるよ君だって今日の退屈

決して盛り上がる事も無く、ただ同じくらいの速度で、気持ち浮いてるかな?くらいの高度で、日常と非日常、現実と空想の、その境界線を跨いで戻って跨いで戻って、そんなスレスレのフワフワ。突然目の眩む様な明るい光が爆発し何だか良く分からないけど兎に角何かの答えが分かった様な気がする錯覚。何かが何かも分からない分かった感。

まなもぉん/魔法の呪文/まなもぉん/目を閉じて唱えてごらん/まなもぉん/ららら…きっと/まなもぉん/近づくよ宇宙の力

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お堂より少し進むと茶屋らしき店が在った。


竹で組まれた座席に座布団、木造りの机、そうして炊事場ではご主人らしきオバサンが電話している。
その純和風で粋な雰囲気(オバサン除く)に誘われ、ちょっと茶でも飲んでみるかと壁に貼られたメニューに目をやる。

端から順に、


冷し緑茶、


ぜんざい、


ところてん、


カレー、


わらび餅…


…。

…ちょっと待って!ストップストップちょっとカメラ止めて!!(誰やオマエ)
いやね、別に良いんだけどさ…良いんだけど、たださぁ、この並びでさ、

カ レ ー て 。

ぜんざいとわらび餅に挟まれて、

カ レ ー て !!

…何だろうか、この台無し感は。破壊力が半端無ぇ笑

何かドッと疲れた俺は、メニューの確認もそこそこに緑茶を頼んで座布団へと腰かけた。
程無くして運ばれてくる緑茶と、茶請けの砂糖菓子。

あー、美味いわぁ。