青少年健全育成条例 関心がなかった人への説明用

東京都が条例を改正するまでの流れとしては以下のような時系列になっています。


1. TL(ティーンズラブ)誌が、東京以外で有害図書指定を受ける状態が続く


2. 一部の表現が過激化して、東京都で不健全図書指定を続けて受ける
2009年に、松文館のガールズポップコレクションが立て続けに不健全図書指定


3. 第28期東京都青少年問題協議会にてパブリックコメントを募集し、その中で以下のポイントをあげる
 "児童・生徒の性行為を描写した、小・中学生を対象とする「ラブ・コミック」を、レーティング(推奨年齢の表示)の対象とすべきである。" *1


4. 出版業界の団体である 社団法人 日本書籍出版協会と社団法人 日本雑誌協会が共同以下のような文を含む答申素案をまとめる。
「ジュニアアイドル誌」または「ラブ・コミック」と記述しているが、出版界においてはそれらのジャン ルは存在せず、都においても定義がなく、どのような雑誌を指しているのか不明であり、レーティ ングの対象とするのは問題である。*2


5. 東京都が都議会に条例案を提出するが、否決される


6. 東京都と、出版業界、あとは保護者の代表を集めて、青少年健全育成のための図書類の販売等のあり方に関する関係者意見交換会が行われる。
第2回において、東京都は、出版業界側にレイティングについてどういう基準があるのかと問い合わせたところ、出版業界側が、次回から欠席し途切れる。*3


7. 東京都が再度条例案を議会に提出する


8. 漫画家などを巻き込んで、自主規制は出来ている、区分販売がきちんとされていると会見を行う。*4


9. 条例可決


以上のような流れだったわけです。


道府県での有害図書指定については、関係ないと言い張る反対派がいるわけですが、東京都が作成した質問回答集に以下の記述があります。質問回答集の 9 にから一部引用します。


東京都のみが、「これまで他の道府県では規制されていなかった」「青少年の性行為が描かれた漫画などを規制する」ものではないのです。


まあ、全文を読んで貰った方が良いのですが、他道府県で行われている包括指定のように、内容ではなく、量的なところで規制をしたいということであって、
道府県で引っかかっているようなものの内で、子供を悪質な性行為の対象とするものを規制できるようにしようということなのです


質問回答集 http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm


出版業界が、他道府県で有害指定され続けているマンガがあるのに、それを隠して自主規制はきちんとされている等と主張するので、普通の漫画が規制されるというトンでも話をするしかなくなるわけです。
そして、反対派もこの現実を見ないので、少年誌のマンガすら18禁になると叫んでいるだけで、実際にそんなことはおきないのです。
全く自主規制なんてされてないことは、他道府県の指定状況を確認して貰えればわかることです。
1. で書いていることは、以下を見ればわかるはずです。


大阪府 http://www.pref.osaka.jp/koseishonen/jorei/tosho_ichiran.html
宮城県 http://www.pref.miyagi.jp/kyosha/seisyonen/yuugaitosyorui.html
神奈川県 http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/seisyonen/_yuugai-reiji/reijiindex.html


神奈川県のものは、包括指定で指定されるものの例示になっています。
神奈川県の包括指定の基準は、多くの自治体と同じ基準になっており、ここで例示されているものは、他の道府県でも同じように指定されるものであると考えて良いとおもいます。
それから、他道府県有害図書は、表示図書やグレーゾーン誌でも指定されるから、意味が無いなどというとんでも話を投げつけられたので、一言。
表示図書すなわち成人向けや、自主規制でシール止めがされているグレーゾーンも有害指定される条件の中で、全年齢向けであるTL誌がずっと指定され続けているというだけで、余計に問題視されていることが浮き彫りになるだけです。
指定される条件を指摘しようが、全年齢向けであるTL誌が指定された事実は変わりませんよ。


また、対話がなされなかったと言う反対派もいますが、実際には、時系列でみていけば、出版業界側が非常に不誠実な対応を行い、自ら対話の道を塞いでいることが理解できるはずです。


3. -> 4. の流れや 6. での出版業界の対応がそれに当たりますが、3. -> 4. の流れは、脚注で示したURLから確認できます。


また、6. については、以下にまとめてあるので参照してください。


青少年健全育成条例 東京都と出版業界の対話


それから、そういう本があるなら、東京都が不健全図書指定をすればいいという人もいるんですが、これを認める時点で、自主規制が出来ていることを否定しているのですが、気づかないようです。
また、それを指定するために、新しい条文が必要であるのです。なぜかは、以下の日記にまとめてあります。


青少年健全育成条例 条文追加の必要性について


簡単に言えば、全年齢向けで発売されて他の道府県有害図書指定されているようなもの一部を不健全指定できるようにしますよって話でしかありません。
それから18禁であれば、そもそも対象外です。(だって、最初から区分販売されてるし)


これを見て、嘘だ!と叫ぶのは構いませんが、それを説明出来る確かな情報をもって筋道をたてて話せない限り、たんなる願望でしかありません。そして、そういう叫びしかないということが、この説明の正しさの証の1つになるわけです。考えてから行動してください。