興福寺国宝展 鎌倉復興期のみほとけ@東京藝術大学大学美術館*1

展示室1は曼荼羅や絵画、法相教学メインでささっと流し見程度で.

  • 四天王立像(京都・海住山寺 鎌倉時代13世紀)
    • 高さ50センチ程度の小さい仏像だけど、締まった胴体と細かい作りの良品.
  • 厨子入り吉祥天倚像(奈良・興福寺 南北朝時代1340年)
    • 吉祥天女像は寛慶作、厨子絵は命尊筆.厨子に入っていたからか彩色がまるでついこの間の作品のように綺麗に残っていた.吉祥天女像で隠れている白象の厨子絵の写しが展示してあり、それが一番気になった.白象の絵は大抵どの絵も好きになる.

展示室2でお目当ての仏像にご対面.出展の99%が国宝、重文という質の高い展示で大満足.思ったより人も少なく仏像はゆっくりじっくりみることが出来た.

  • 無著・世親像(興福寺 運慶作)
    • 入ってすぐにどどーんと二体がお出迎えです.いいなあ、やっぱりいいな.子供の頃は「単なるおじいさん」にしか見えなかったというのに、ものの見え方ってのは変わるものねえ.年老いた姿で表現された無著の穏やかな顔のなんと素晴らしいことか.二体の間に立ってる時に感じるの幸福感は何物にも変えがたい.
  • 十二神将興福寺 鎌倉時代
    • こりゃすげーやって思ったらやっぱり国宝だった.これはもともとどこにあったんだろう.中金堂の本尊は薬師如来だったのかしら.うーん、ちゃんとメモっておけばよかった.今回来ていた4対の中では特に招杜羅大将[丑]が良かった.変なポーズを取りがちな十二神将の中でもかなり前かがみで腕を前にたらしたなかなか変わったポーズをしていらして全然見飽きることがない.これ全部見てみたい.
  • 厨子入り弥勒菩薩半跏像(興福寺 鎌倉時代
    • 天蓋に何体かの飛天が飛ぶ大変豪華で装飾的な仏像.「綺麗ね〜」って思わず声が出てる人もいるくらい華麗な仏像だった.確か法金剛院の宝物館で同じように厨子に入った半跏像を見た.あちらは十一面観音だったけど厨子の絵や菩薩の瓔珞が似ていた.
  • 帝釈天立像(興福寺 鎌倉時代
    • 明らかに他の鎌倉時代の作品とは作風が違い異彩を放っていた.運慶快慶に見られる写実的で力強い鎌倉彫刻とはまったく違うふっくらとした顔立ちと優しげな物腰が印象的だった.

中国国宝展@東京国立博物館

ク・ナウカの舞台設営
続いて国立博物館に移動して中国国宝展を見た.こちらは物凄い人出でひっきりなしに係りの人が「立ち止まらずに〜」って声をかけなくてはいけない状態だった.ただでさえ人ごみ嫌いなのにそんな中じっくり見る気分になれずサーッと見て終わり.
中国古代文明から仏教時代までを一通りなぞった展示内容だったので興味のないところは飛ばすことができた.これなら都美術館でやってた四川文明展のほうが三星堆遺跡があっただけ楽しかったかなあ.
割と見慣れた作品が多いのなか、オッと目をひいたのが唐時代の俑(墓に副葬する人形).ボトムが膨らんだ流線型の型とアース系の色使いが現代陶芸作品のようで、お部屋のインテリアに一体どうぞって雰囲気の可愛いらしい人形だった.
仏教美術には展示の半分を使う力の入れようで、これはなかなか見ごたえがあったものの、うーん、やっぱり私は日本の仏像が好き.中国の仏像を見ると大陸というのは石の文化なんだなあってのがイヤでもわかる.一番身近にある物質に仏を刻んだから日本では当然木製の仏像が多くなる.それが中国だと石灰石や大理石になるんだよね.なんか素材の時点で疎外されている気分になる.石の仏像って慣れないせいか仏という属性より彫刻という属性のほうがより前面に感じられてしまってなんだか苦手.そんな中気に入ったのは日本初公開でチケットにも使われている山東省の仏像群.他の地域の仏像と違いふっくらとした頬にアルカイックスマイルを浮かべた女性的で優しいお顔が美しい.
まあ、それにしても中国文明展を見に行くと、毎回その財力と文化の高さに驚くわー.

続いてリニューアルグランドオープン中の本館へ移動.どちらかというとこっちがメイン.どう「グランド」でどう「リニューアル」したのかしら.
まずは2階から.今回の国宝室では平安時代普賢菩薩像が見られます.白い象〜白い象が可愛い〜.目のふちが赤いです.可愛い.
『飛禽走獣図巻走獣巻』狩野探幽筆、いろんな動物をスケッチした巻物です.馬や牛や兎に混じって龍がいます.かっこいー.
佐久間象山先生の書画も発見.浮世絵コーナーではも少し国芳芳年あたりの後期浮世絵が見たかった.
1階ジャンル別展示の彫刻コーナーでは、いきなり新発見の運慶作と思われる大日如来坐像がお出迎え.円成寺大日如来によく似てます.張りのある若々しいお顔がなんともハンサムでいいじゃないですか.
いつもはすっ飛ばしがちな刀コーナーを大河の影響でじっくり見た.おお、なるほど、年を経るにしたがって刀の反りがなくなってくるのね.江戸時代になるとまっすぐに近い刃になってる.細かい道具がどの部分のものなのか良くわかってなかったから、説明を実際の部品を見比べながら脳内で組み立ててみたりするとなんとなーくわかってきた.それにしても刀一本になんてお洒落な細工を施してるんだろう.

国立博物館の庭ではなにやら大掛かりなセットを設営中でした.気になって近づいてみたら、おや、ク・ナウカの公演*1じゃないですか.『ウチハソバヤジャナイ』で作家をやってた役者の方が質問に気軽に答えたりしてました.美加理さんのアンティゴネー、見てみたいねえ.