そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

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プリンセス トヨトミ

http://www.princess-toyotomi.com/
監督:鈴木雅之 脚本:相沢友子 原作:万城目学

 
劇場で見た予告編がものすごく面白そうだったんで、多少の不安(フジの邦画だからなw)もありつつ見る気満々、相方なんか原作本まで買ってきたんだけど、その原作を読んだ相方が先に見に行って「つまんなかった」と言ってたんであんまり期待はしてなかったらやっぱり‥‥って感じ。オレたちの期待を返せ(苦笑)
本当に何でこんなつまんない映画を作ろうと思ったのか?まあ原作がそんなに面白いものでもないから映画だって多少改変してもしょせんこんな物‥‥ではあるんだけど、詐欺に近いくらいつまんないね。まあ原作のつまらなさを確認するために意地で見に行ったって部分はありますがw
CMや予告編で遠目にあれっと思ってたボーイッシュな女の子(橋場茶子)がやっぱりというか沢木ルカ(超電王で子ども侑斗だった子)で、相変わらず美少女だったってのと(でも役どころ的には添え物)、相方曰く「綾瀬はるかのおっぱいが揺れるところが良かった」くらいか。おっぱい族じゃないからうっかりスルーするとこだったけど、誰もいなくなった大阪で走りまわるスロー映像の綾瀬はるかですよw
ちょっと面白かったのは、チョイ役の大阪城たこ焼き屋玉木宏で、綾瀬はるかと絡んでるのが鹿男と藤原くんだったことくらいかなー。オレ、鹿男も途中リタイヤだけど。(つまんなくて)
原作との改変の一番大きなところ、外人ハーフの旭・ゲーンスブールを岡田将生にして、冴えない中学生に間違われるほどの中年男性なミラクル鳥居を綾瀬はるかにして‥‥ってのは、鹿男の藤原くんの例もあるから、絵面としては別に気にならないんだけど、最後のオチの意味合いがちょっと変わってくるのが微妙。
そう、これさー、そもそもが微妙な辻褄しか合ってない原作からさらに大枠だけ曲げないようにしつつ、映画的に改変を加えたせいで相当微妙なことになってるんだよねー。
それでも映像的に「映画にしただけのことはある!」という内容なら見るべきところは他にもあるから、それくらいは致し方ないと思ってもいいんだけど、映像的にもまったく見せ場がないからどうしたもんかと思うばかり。本当にどうしてこれ、映画にしようと思ったの?万城目の原作が人気があるから?でもさ、小説なら面白い気がする物語は映像にしても面白くなるとは限らないし、むしろまったく面白くなってないんだから、本当にどこに勝算があって映像化したのかよくわかりません。キャストと原作人気だけで興収稼げればいいやっていうくらいで映画化されてもなあ。まあオレたち、もう見ちゃったからしようがないけどさ。
うーん、もし綾瀬はるかをミラクル鳥居にしたかったということありきでプロデューサーや監督がアウトラインを決めてんだとして、その結果、原作と多少なりとも齟齬がでないようにと脚本家がものすごく苦労したんじゃないかと思わせる出来。想像しなくてもわかるよ、相当苦労したと思う。だって話自体がおかしいもん。マトモな脚本家なら何とかしようと思うよ、あの話は(笑)
 
あまり深く考えたくないからパッと思いついたところで言うけど、旭を男にして、しかも大阪出身の大阪国の人間にしたことでストーリーがおかしくなってるんだよね。原作では実は大阪出身だけど大阪国民になりそこねてる松平が、子どもの時に見た真っ赤な大阪城が本当だったのかどうかを確かめたいってのが監査以外の動機になってきたんだけど、そこで旭が大阪国の国民が決起したところを見たかった、総理大臣が頼りないから変えたかった‥‥はおかしいよな。しかも結局、それは僕が間違ってました‥‥だし。原作はいいんだよね、それでも。「女は知らんぷりして見守ってる」だから、ギリギリOK。旭と松平の理由がかぶってるってのがおかしいの。
あと真田じゃなく松平が撃たれるのもストーリー展開として理由がわからないし、誰が撃ったのかとか全部スルー。真田が撃たれるんなら意味があるからわかるんだけど、松平じゃ単に大阪国民が暴徒ってだけじゃん。原作だって発砲ネタが入ってくるのは意味ないと思うけど。
その上最後に旭が茶子を見て、原作そのままに「さよならプリンセス」っていうのも意味不明。お前大阪国の男なんだし、その守るべき王女とは特に接触無かったろ?っていうね。それならまだ松平が言ったほうが意味あるだろよ。バカじゃないの、この映画。
まあ原作より映画のほうがコンパクトで、松平の父親との確執について分かりやすいありがちな和解として見せてるのは、映画としてはいいと思うし、ミラクル鳥居の富士山の十字架のオチもちゃんと忘れてないから、そこら辺のことをまったく拾ってない原作より映画としてはいいと思うんだけどね。
あ、あと、歴史とかその辺の話を、原作では名前くらいしか出てこない漆原教授を上手く使って説明してるとかも。そこら辺は映画のほうが上手くやってると思う。
茶子誘拐勘違い騒動にしても映画のほうがシンプルで分かりやすいし、大輔の殴りこみ自体もまあ意味あるのかどうかよくわかんないけど、、まあいいや。
あともうひとつの改変、原作では男だけが知ってる、しかも一子相伝みたいな秘密を全大阪人の公然の秘密にしたことで、映像的に「その日大阪は全停止した」にふさわしい映像にはなってるから、それはそっちのほうが分かりやすいとは思う。そこら辺は原作がロマン優先だから結果として中途半端なんだよな。小説としてはまあそれでもいいんだけどさ。
細かいとこはいろいろ突込みどころあるんだけど、全体にそこまで深く考える話じゃないし、まあいいやって感じ。
でもそれでどちらにしてもこの話って、大阪人の公然の秘密が実際に実行されました‥‥っていうだけで、起こったことは大阪の人間がみんな大阪府庁周辺及び大阪城に集まったというだけの話で、それの意味するところまで深くは突っ込んでないから、本当にそれだけの映画にしかなってないと思うんだよ。
なんで深くないかというと、だって当のプリンセスである橋場茶子と、プリンセスを守るべき一族の真田大輔が、最初から最後まで話の蚊帳の外なんだもん。一応鳥居とのやりとりはあるけど、会計検査院と大阪の秘密そのものと、茶子たちがまったく関係ないんだよね。この話自体が、あくまでも大阪の特定法人であるOJOに対する金の流れを明らかにするっていうだけの話だから。まあ原作がそもそもそういう話なんだけど。
まあそこも原作にはなかったけど、夏の陣の時に国松を逃がした武将が堤真一@松平だから、ひょっとしたら松平の先祖かも‥‥といいう想像の余地は残してるし、松平が今回大阪国を救ったことともかけてるっていうのはいいと思うけどね。ただそれって徳川の非道に対して秀吉が可哀想だと思ったから‥‥というそもそもの理由、末裔を匿ってたのは町人や商人たちであるってことのそもそもが、徳川の武士のお目こぼしってことになるよなあ。いいのか?(苦笑)
あとこれは原作がちゃんと説明してくれてても良さそうだけど(オレがすっ飛ばしてたらスマン)今思ったから言っとく。ホントは原作が、だけどね。真田が他の大阪国民と違って守る一族だっていうことと、松平の松平姓に関しては触れて欲しかったなあ。お父さんが死んでるけど大阪国の話を聞いてないからどうのじゃなく、松平姓って徳川と繋がりあがあるんでしょ。そこは突っ込まなくていいのかなと。
まあとにかく、見てこんなにもがっかりした映画はないって話ですよ。予告はあんなにも面白そうだったのになあ‥‥
 
それと鈴木雅之監督の演出はあまり好きじゃないんで、この人の定番演出での地上と地下の対比とか(松平が地下の議事堂で上を見上げたときに鳥居がたこ焼き落とすシーンとか)、顔アップの連続とか、何の工夫もない長台詞シーンで何度か寝そうになったり、なんかいろいろTVドラマレベルの安い演出が鼻についたかなあ。
あ、よかったのは、松平がアイス好きだってことを一切説明しないで延々とアイスを食べてるてことくらいか。ホテルの部屋の机にデカいハーゲンダッツパイントパックが何気に置かれてるのはちょっと笑ったよw そういう徹底してるとこはイイ。そこは好きだw
岡田将生は相変わらず美人さんだったし、綾瀬はるかもいつもどおり天然でよかった。堤真一はまああまりにも定形キャラすぎて、堤でなくてもってくらいだけど、絵面としてはあの3人でピッタリかな。あと中井貴一も原作とはちょっとキャラが違うっぽいけどハマってたな。ただ普段頼りにならないってとこが、大輔たちの話が殆ど描かれてないから出てこなかったのが残念。両方のキャラを生かせるだけに、そういう切れ者っぽいとことハッキリしないとこの両方見たかったかな。
大輔の森永悠希はあんま見たことないけどなんとなく大輔って感じだったし、茶子の沢木ルカは、どうしてもっと彼女メインにしなかったのかと‥‥まあ原作でもそんなに重要な役じゃないってのがアレというか。まあそこがそもそもアレだよなw
 
念のため、小説の感想はこっち→http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20110616/p2

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

東京から来た3人の会計検査院が暴いてしまった、400年間隠されていた大阪の秘密とは?豊臣の末裔の王女がピンチになったその日、大阪は全停止した ――
 
という話だけど、はっきり言ってネタだけ。この人の作品って今までのもそうだけど、ネタはすごく、ものすごーく面白そうなんだよね。
ただその思いついたネタをキッチリ詰めようとすると辻褄が合わなくて穴だらけになるから、むしろ詰めちゃいけない、いろんなコトを曖昧なままで放置すべしって結果の浅い話。そう、話も浅いから感動するとかムリ。本当に面白そうなのはネタだけ。
以前この人のデビュー作の「鴨川ホルモー」をケチョンケチョンに下手くそと言った記憶がありますが(次作の鹿男は読む前にリタイア)、文章はさすがに上手くなってたな、普通くらいには。でも構成は下手くそだよね。時系列が行ったり来たりするから、話わからなくはないけどごちゃごちゃしてて取っ散らかってて分かりづらいよなあ。一応大枠の構成はちゃんと出来てるんだけどね。東京とか戻る必要ないだろよ、この話w これを機会にという国の密かな陰謀なら陰謀でちゃんとそこら辺もわかるように仕込んどけよという(苦笑)少なくともこの人ミステリーサスペンスはムリw まあ書かないだろうけど。なんとなく展開が行き当たりばったり感があるのもよくないのかなあ?そこら辺、内容をあんまり深く考えてないというか。
今回のこれの場合、結局この人が書きたいのって、自分の好きな大阪の街の細かい描写とか、そこに出てくる人の素性とか過去とか人となりとか、そういう話の本筋に関係ないネタなんだよね。
しかもこれ540ページくらいあんじゃん、最初の100ページあたりで余分な街の描写や登場キャラの描写は読まなくても本筋には全く関係ないなってことには気が付いたんで、そこら辺は完全にすっ飛ばしてるけど、普通に書いたら300ページくらいで収まると思う。だからたぶん読まなくても問題ないよね、答えは聞いてないけど。

その辺はまあ小説だからいいんだよ、そういう話の本筋に関係ない描写を楽しむ向きもあるだろうから。オレはこういう話の本筋に絡まない情報描写はあんまり好まないってだけで。なんつか、アルマゲドンとかみたく、主人公達が大阪国に対して何かする話かと思ってたら、単に「日本沈没」的な、周辺の人々の暮らしぶりやその時どうしたってことを細かく、それも浅ーく描いてただけだったというガッカリ感というか。しかもクライマックスの肝心なとこもなんかウヤムヤ、勘違いと謀略と偶然が重なってなんとなーく解決‥‥って。
まあ一応松平の父親との確執とかはあるから、父親から子どもに受け継がれていく大阪国の歴史とか、守るべきものは王女ではなくそのシステム、父と息子の相互理解と受け継ぐことこそが守るべきものだ‥‥というのはわかる。
でもわかるんだけどー、何で400年前の豊臣の子孫が今一人しかいないんだとか、大阪国の議事堂ができてそのシステムが確立されたのは幕末からだろ、それまでの300年はどうだったんだとか、そもそも「可哀想」だけで大阪中の人間が400年ずっと、徳川への憎しみをいだいていたとか、よくわかりません。400年の間にどれだけ大阪の人間が入れ替わってると?(笑)そしてその子孫が「王女」って、何で王女?大阪国は王国か?その割に総理大臣がいるんだけど(笑)そこ、突っ込んじゃいけないとこなのか?
おまけに父と息子が二人きりでしゃべることがないからあの長い廊下が必要だっていうその理屈も分かんねーよw すごい作者の個人的なことだよね?
大阪の男がずっと王女を守ってて、それを大阪の女は知ってるのに知らんふりして「男はしょうがないなあ」と目を瞑って見守ってる‥‥ってのがなんか男のロマンだってのもわかるから、それはそれでいいんだけどね。まあ映画では改変されてるけどw
だから実は旭が大阪の人間で、最後に性同一性障害の大輔にそれを打ち明けるっていうオチも個人的には好きだけどさ。途中まではどうして彼は性同一性障害でなければいけないんだ?と思ってたけどね。
ただもうそういう話のすべてが浅いんだよなあ(苦笑)
読み終わって「で、それがなんなの?」としか思わないというか、むしろ松平と同じくそんな訳の解らんシステムを守るために年間5億の税金を投入するとか、勘弁して下さいとしか思えない(苦笑)別に地下に大阪国があって、知っているのに知らんぷりなのは伝奇ロマンなファンタジーだからいいけど。だったら税金も大阪国民で賄えよ。
まあ確かに大阪に暗黙の了解のもとに豊臣の末裔を守る大阪国がある‥‥っていうのは楽しい発想だよね。そう思わせる大阪の街ってのも、なんとなく納得出来るし。(でも大丈夫、東京には「帝都」があるから!笑)
万城目さんはもうちょっとキッチリ話が詰められれば荒俣宏になれるんだろうに、そこまで話を詰められない、妙に女性的な話の作り方するんだよなあ。それとも男性作家ならもっとマニアックでキッチリ理詰めで構成すべしってのは、ただの作家に対する幻想なんだろうか?w まあネタの突飛さと、話自体のこの浅さがなんとなく一般受けするんだろうな。
とにかくつまらなくもないけど面白くもない話でした。万城目学に対する世間の評価との認識のズレって、個人的な好みの問題じゃないんと思うんだけどなあ。物語の、小説の出来としては相当レベル低いと思うんだけど。まあこれ以上も期待しないからいいけどさ。ネタだけはすごく面白そうなんだよなあ‥‥もったいない。でもきっとその浅さがこの人の個性なんだろうなあ‥‥ぼんやり。
中身は割とサクサク読めたというか、一晩に150ページくらいずつ読んだんで4日で読めました。むしろ話が進まなくてイライラしたw(だからすっ飛ばして読んでんだよ)
あ、どうでもいいけど、オレはなんとなくミラクル鳥居のビジュアルはアリキリの石井をイメージしてました。相方は若い頃の塚地だってだといってたw
 
読み終わってすぐ見た映画の感想はこれ→http://d.hatena.ne.jp/korohiti/20110616/p3

グッドライフ〜ありがとう、パパ。さよなら〜#8

http://www.ktv.jp/goodlife/index.html
脚本:大島里美 演出:白木啓一郎
 
今回も周回遅れ。先週のやつ。
わっくんが入院して、もう1年経ってたのか。早いなー。
わっくんのドナーも見つかったけどお父さんの膵臓がんも見つかった‥‥ってことで、お父さんは癌のことをひとりで黙って抱え込んで、残りの命をわっくんのために使おうとしていますよ。華織さんに何も言わなくていいのかよ。そこら辺はよくわからんなぁ‥‥別にやせ我慢って訳でもないから、別れた相手にそういう心配やら迷惑やら掛けたくないってことか?潔すぎるけど、それってなんか、どうして二人は夫婦だったの?って気がしなくもなく。
それはともかくとして、パパは自分の命がもう長くないことを知って、わっくんを甘やかすことなく強く育てることにしました‥‥というあざとい展開。
久しぶりの学校に馴染めなくていじめられてるのを「自分が弱いから」というわっくんに「そんなことない」といい、大地が作った折紙を壊されたことを「ゴメン」と謝るのも「謝る必要なし」という、確かに大地の言うことはちゃんと筋が通ってるよな。慰めるよりもこれからわっくんだけでもやっていけるように強く育てる父の愛。泣ける、というかあざといぜ‥‥( ´Д`)そしてわっくんは感受性が強くて賢すぎ。将来どんな大人になるのやら(^_^;)
あ、今回のテーマは将来の夢か。半年先の仕事も受けられない大地はつらいよなあ。
ともかくこの流れだと、わっくんの白血病はとりあえず心配なしってことかな。
てことはあとは大地のことで、円山先生に相談することに。円山先生、小児外科だから畑違いだとは思うけど、そこら辺はどうなのかなー?今週は七海ちゃんがいろいろ活躍した。
まあなんか、いろいろつらい展開だなあ‥‥