東京大学アカデミックコモンズ地点遺跡見学会


表題の見学会に行ってきました。普段は金網越しにしか見れない総合図書館前の発掘現場が間近で見られるとあって、主催者の予想を大きく上回る人出があったようです。素晴らしい。とはいっても現役学生の姿は少なく、中高年の方が多いようでした。開催時間中に発掘現場周辺にもうけられたいくつかのポイントで解説を聞くという形態だったのですが、各所にいる建設会社の方がいずれも非常に詳しく丁寧な解説をしていました。施行担当は「加藤建設」という会社らしいのですが、調べたところ遺跡の発掘調査を専門にしている建設会社だそうです。こういうジャンルに特化した建設会社があるんですね、驚きです。というわけで非常に意義のあるイベントでしたし、叶うならば本格的な工事開始までにもう一度くらい開催してほしいと思います。


さて、配布された資料によれば、現在調査を行っている地点は、幕末には加賀藩上屋敷の御殿と家臣の居住する空間の境にあたるそうです。また、江戸中期には加賀藩の家臣の長屋建物があったとのこと。発掘地点からは建物の基礎だけではなく、貝殻等の食べかすや、武家儀礼の道具なども出土しています。そしてその上に1892年に建てられたのが旧図書館です。調査で発掘された箇所は旧図書館の玄関、書庫、閲覧室部分の基礎だそうです。なお映画「風立ちぬ」でも描写があるように、この旧図書館は関東大震災で焼失しています。そのあとの新たに建てられた図書館(現・総合図書館)はアメリカの富豪・ロックフェラーの寄付により建設されました(総合図書館内でこれに関する展示も行われているので、学内の方は是非)。当時の総長は南原繁で、ロックフェラーからは図書館の建設費と共に多数の蔵書の寄付も受けていました。



加賀藩邸時代の排水溝。現在の本郷通り沿いにあった上水道から水を引いていた。途中で突き当たっているのは関東大震災で焼失した旧図書館の基礎部分。



旧図書館基礎部分、旧図書館暖房用施設。暖房用施設の配管も残っている。



旧図書館基礎部分と法学部4号館。



発掘地点の一部には1827年に入輿した溶姫の女中が住んでいた建物があったため、かんざしや鑑が出土している。



当時の家臣が食べていたもの。シジミやアワビ、サザエの殻が出土している。羨ましい。。。


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