子供の頃を懐かしんで

『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』には、さまざまな本が出てくる。映画も音楽も出てくる。アンデルセン童話集から取られているものも多い。あ、この本、小さい時に読んだ、と思うのだけれど、話を思い出そうとするとあいまいで、自分が、大事なものを忘れてしまったような気になって悲しい。そういうきっかけで、アンデルセンの童話を読み直してみた。絵本と違い、きちんと書かれている。ハリー・クラークという人の挿絵が、きれいで、とても得をした気分になる。童話というのは、子供のためにあるわけではないのではないか。大きくなっても、十分に、楽しめる。読んで欲しい。

雪の女王

雪の女王





アンデルセンの絵本 人魚ひめ

アンデルセンの絵本 人魚ひめ

好きだった童話

幸福の王子」は、子供の頃、大好きだった。何度も読んだ。大きくなってから、オスカー・ワイルドの作品だと知った。『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』には、幸福の王子とツバメの話しが出てくる。それで、読み返してみる気になった。何年ぶりだろう。子供の頃、ただ、かわいそうと感じていたのと違って、王子とツバメの間の恋愛に似た心の結びつきが印象に残った。オスカー・ワイルドという人は、本当に、繊細な人だったのだろうと思う。もっと自由な国や時代で、生きていられたらよかったのに。フーガを読んでいると、狭い人の心に悲しみを覚えることがある。息苦しい。リスカをしていたときを思い出す。



ギリシャ神話集 (講談社学術文庫)

ギリシャ神話集 (講談社学術文庫)