オバマ大統領のノーベル平和賞受賞に思うこと

オバマ政権

オバマ政権が誕生したのは、今年1月だった。

米国の大統領選は長い期間行われるので、世界中の認知度は非常に高い状態で大統領の就任式を迎えた。



オバマ大統領のノーベル平和賞受賞

この事実は非常におめでたい事で、心からお喜び申し上げたい。

ノーベル賞の受賞理由は、2009年4月5日にプラハで「アメリカは核兵器を使用した唯一の核保有国として、行動を起こす道義的責任を有する。」と演説した事が評価されたらしい。

唯一の核兵器被爆国として、この核兵器廃絶に向けた演説は全面的に評価するし、ノーベル賞委員会が評価したのも当然だと思う。



しかし、大統領就任から9ヶ月、プラハの演説から6ヶ月であり、まだ何も実現していないのに演説だけが異常に高評価された感は否めない。

この事を疑問に感じている人は多いと思う。



オバマ大統領のノーベル平和賞受賞は心から祝福するが、どこか引っ掛かるものがあることも事実なのだ。



ノーベル賞の選考

ノーベル賞の選考は、「物理学賞」、「化学賞」、「経済学賞」の3部門についてはスウェーデン科学アカデミーが、「生理学・医学賞」はカロリンスカ研究所が、「平和賞」はノルウェー・ノーベル委員会が、「文学賞」はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行う。



選考基準としては、アルフレッド・ノーベルの遺言「私のすべての換金可能な財は、次の方法で処理されなくてはならない。私の遺言執行者が安全な有価証券に投資し継続される基金を設立し、その毎年の利子について、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする。」に基づいていると思う。



ホワイトハウスの関係者評価

ホワイトハウスの関係者の中には「ノーベル平和賞受賞が、今後のオバマ大統領の判断に影響を与える事になるのではないか。」という懸念を抱いている人もいるらしい。

賛否が微妙な判断で、ノルウェー・ノーベル委員会の考え方が反映されかねない。と感じている人も少なからず存在するという事だ。



プラハの演説に拘束される

ホワイトハウスの関係者が、今回のノーベル平和賞受賞に対して、選考者であるノルウェー・ノーベル委員会の影響力に警戒心を抱くのは、なんとなく理解出来る話である。



要するに、プラハの演説を評価されて平和賞を受賞したのだから、オバマ大統領は今後ずーっとプラハの演説に拘束されるのだ。

もし、今後アメリカに対して武力で対抗する勢力が現れたとしても、核兵器による対抗策や戦略は使い難い状態になるのは明白である。

広義として原子力潜水艦原子力空母などは核兵器と捉えられる事を考えれば、米国としては原潜戦略や現存する武力を完全に封じられてしまう。

特に、空母に関しては、すでに大半の空母が原子力空母になっていると聞く。



ホワイトハウスの関係者が懸念する理由も良くわかる

しかし、プラハの演説に拘束される事を嫌い、オバマ大統領がノーベル平和賞を辞退したとしよう。

すると、世界中から「プラハの演説は、口約束だったのか」と逆に批判される事になる。

発足して9ヶ月のオバマ政権にとって、ノーベル平和賞を辞退すれば、世界中から批判されるので、致命傷になりかねないのである。



ノルウェー・ノーベル委員会の思惑

ちょっと捻った考え方をすれば、オバマ大統領へのノーベル平和賞は、プラハの演説を評価したというよりも、プラハ演説の言質としてオバマ大統領に与えられたという考え方も出来る。



しかも、辞退したくても辞退出来ない状態だから、オバマ大統領には受賞するしか選択肢は無いのである。

ホワイトハウスの関係者が懸念する理由も良くわかる。



グローバルな視点

米国の国益を損ないかねない受賞なのだが、もっとグローバルな視点で見れば、世界最大の軍事力を保有する米国を、首輪と鎖で繋ぎとめる事に成功したという事も言える。

過去のイラクやアフガンに対する武力行使のような事は出来なくなった。

世界の紛争解決に、米国の武力は使用不能になった。



ホワイトハウス関係者は、今回の受賞でアフガニスタンへの米軍追加増派は困難になったと評価する人もいるようだ。



世界平和という視点からみれば、紛争が拡大し難い状態になったと言えるのではないでしょうか。

米国の国益には反する事になりかねないし、ひいてはわが国の国益にも影響するだろうけど、グローバルな視点から見れば歓迎できると思います。



最後に

今回のエントリには、管理人の邪推が含まれているので、くれぐれも妄信しないでくださいね。