kurakenyaのつれづれ日記

2016-08-28 意識の随伴現象説





こんにちは


甘利さんは有名な数理脳科学者ですが,御年80歳ですので,この本はこれまでのAIブームの流行り廃りも含めた解説楽しいです.まあ,この数年突然に深層学習が流行ってきましたが,そのことも誰も予測できなかったことがよく分かります



さて「意識」は昔から哲学者の格好の話題でしたが,デカルトのように魂や心の実在を信じる人間はいなくなり,現在の主流の科学者は「随伴現象説 epiphenomenalism」という説明をしています.多様な情報を,脳の各部分のサブルーチン・回路が受け取り,それを統合する際にたまたま生まれている現象だ,というわけです.

機能の局在からすると,そうした各回路自体意識を持たない,「ゾンビシステム」であり,それを統合する際に,自己活動客観視する「意識」が生まれるという考えです.


「人の心は,長年の進化過程を経て生まれた.そこに神秘的なものは何もない.脳という物質の上に情報を乗せ,自らの機能を高めるように進化が進み,自然に発生した.だからニューロンという生物細胞ではなくて,シリコンで作られ情報機械の上に意識が生じて心が宿っても,それ自体は何の不思議もない.

 意識は,多数の情報統合の上に生じる.これは,脳という超並列のコンピュータ環境を生き抜く必要から発生した.ニューロン動作スピードは,コンピュータと比べると非常に遅い.ミリ秒のオーダーである.この遅い装置を使って素早い情報処理を行うためには,並列のシステムが好都合である.そこでは,多くの情報処理課題を専用のサブシステムに任せ,ゾンビシステムとして無意識で素早く働かせる.

 一方で,ゾンビシステムでは扱えない需要案件を処理するのに,意識というシステムを作り上げた.ここでは他種類の情報統合され,ポストディクション(後付け)の過程機能する.これが「意識である意識は,実行前なら自己の決定を覆せる.また,これを反省の糧として,学習を進めることができる.

 意識とは,自分がいま何をしようとしているか自分で知っていることである.こう考えれば,コンピュータ意識を植え付けることは容易であろう.」


とまあ,甘利先生スタンダード意見を述べられています.納得です.

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ところで,シンギュラリティは本当に2045年なのか?? 僕はエキスパートシステムなどの普及スピードからして,そんなことはないに違いないと訝しく思っていました.しかし,このところのdeep learning AI進歩が目覚ましいのを見て,各種のパターン認識などの多くの人間活動が,あと30年もあればAIに圧倒されることについては完全に確信しています

それでも,別に人間不要になるとか,人間の知性の「すべて」がAIに劣るようになるようにはとても思えません.なぜって,おそらく人間的な行動や価値機能感覚の多くは,成長につれて洗練されていく単なるソフトウェアではなくて(=タブラ・ラサ仮説),物質的・先天的な発達傾向によって規定されている脳の配線や細胞機能などのハードウェアに完全に依存しているはずだからです.


あ,甘利さんのやってきたような数理的な脳科学へのアプローチはあまり成功しているように見えないことについては,次回また.



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2016-08-26 科学の方法論論争




こんにちは


科学哲学者たちは,ポパー反証主義のように多くの,科学発見科学であることのルールを定めようとしてきました.そうした試みは,近代におけるフランシス・ベーコン経験的な帰納主義や,あるいはデカルト演繹主義などが有名です.(297ページ)


デカルトベーコンも,何世紀にもわたって科学研究ルールを決めようとしてきた大勢哲学者の一人というに過ぎない.科学研究ルールどおりにはいかない.どのように科学研究すべきかというルールをつくることによってではなく,科学研究するという経験から,われわれはどのように科学研究すべきかを学ぶ.そして,われわれを突き動かしているものは,自らの方法で何かを見事に説明できたときに味わう喜びを求める欲求である.」


ワインバーグが主張しているのは,過去のどんな哲学者現代科学哲学者も,現実科学実践には何の意味ももっていないという,厳然たる事実です.昔も今も,科学者たちは勝手に真理を探すのであって,そこには科学哲学者の主張するような指針=ルールは,まったく相手にも,参考にもされていません.


直感的な仮説から演繹と,観察から帰納を,ある程度の日和見主義適当にミックスして,何かの現象を最終的にうまく説明するのが科学という営みだということなのでしょう. 終


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というわけで,次回は甘利俊一さんの『脳・心・人工知能から少し.


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2016-08-20 なんで文化相対主義?

こんにちは


以下はワインバーグクーンのような科学相対主義批判しているところ.(52ページ)



トマスクーン自分アリストテレス批判から賞賛者へと転向した理由をこう述べている.

『 ・・・私は愕然としました.突然,アリストテレスが非常に優れた物理学者だと思えてきたからです.彼は優れた物理学者だ,ただし,そんな物理学者存在し得るとはこれまで思ってもみなかった種類の物理学者なのだ,と.・・・

 クーンのこの発言を聞いたのは,私がクーンと同時にパドヴァ大学から名誉学位を授けられたときのことだった.その後,私がその発言説明を求めると,彼は,「(物理学に関するアリストテレス著作を)自分で読んだことによって変わったのは,彼の業績を私がどう理解するかであって,どう評価するかではありません」と答えた.彼の言葉は私には理解できなかった.「非常に優れた物理学者」という言葉には,評価が含まれているようにしか思えなかった.」



ここでのパドヴァ大学でのクーン発言意味は,それほど掘り下げても意味はないでしょう.つまりワインバーグは「優れた物理学者」で言う物理学とは今日科学しかないと考えて,感じているのに対して,クーンは「他にも違った体系」があるという相対主義を採っているということです.


アリストテレス的な目的論テレオロジー)は,物理学だけでなく,国家論や倫理学などでも鼻に付く特徴です.それは中世まではすべてを支配してもフシギではありません.人間の感じる道徳的直感に適合しているからです.


近代以降,次第に物理学生物学などは,そうした古典古代的な人間的な常識の引力から抜け出て来ました.このことこそが合理主義であり,理性の力なのです.多文化主義者などは,そうした考えは進歩史観からの素朴主義だと言いますが,バカらしい話です.


なぜ核爆弾ができて,広島長崎が一瞬で焼け野原になったのか? 他の世界説明方法 = 近代物理学以外の体系,から,そうした爆発的に実用的な,有無を言わせない破壊兵器果たして出てきたのでしょうか? 

あるいは人工衛星はどうか? 相対主義者たちもグーグル地図やナビを使っているでしょう.あるいは,ほぼすべての日常的な機械でさえもコンピュータ制御なのです.


つまり科学という営みをしてこなかった人びとへに対する,無理矢理の規範的な平等意識の当てはめが,そうした多文化主義を強弁する人たちを支えているのでしょう.



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2016-08-17 ミレトスの自然哲学


こんにちは


レトスの自然哲学デモクリトス原子論などですが,ワインバーグによると,彼らは現代自然科学者というよりも,むしろ詩人と呼ぶべき人びとであったと言います.(29ページから


「そうは行っても,アルカイック期や古典期のギリシャ科学現代的側面を強調し過ぎるべきではないと私は考える.現代科学のある重要な特徴が,これまで言及してきたタレスからプラトンに至る思想家にはほぼ完璧に欠けている.彼らのうちの誰も,自分理論を実際に確かめようとしていないのである.誰も(おそらくゼノンは別として),自分理論の正しさを論証することさえ試みていない.彼らの著作を読んでいると,絶えず,「だから,どうやってそれを知ったのか?」という問いが浮かんでくる.この疑問は他の思想家と同様にデモクリトスにも当てはまる.現存する彼の著作の断片には,物質が本当にアトムでできていることを証明しようとした跡はどこにも見られない.」


これはこれで正しい意見だと思います


しかし,それでもやはりギリシャ哲学けが万物元素」などというものについて「無意味に」思索していることは重要でしょう.なぜなら,そうした思索自体がまったく経験的・実証的でもなく,さらに何の応用可能性もないのに,そうした記述が賢人の言葉として残っているのです.ということは,そうした疑問がそれなり多くの知的階層に共有されていたということを意味しているでしょう.


プラトンは.世界の秩序などを道徳的視点から捉えていますが,それは当時の人間限界です.それでも,別段に世界のどこということはなくて,他の地域では自然の摂理についての疑問があまり重視されていないということこそが重要なのです.


なぜ自然科学ヨーロッパで発展したのかの理由には,そうしたメンタリティが実は昔から異なっていた可能性が示唆されます



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2016-08-13 マクロ経済学は科学ではないのだろうが,,,


こんにちは


2.「ガリレオ望遠鏡で月の表面や満ち欠け,太陽黒点木星衛星などを観察したことで,月や太陽地球のような球状であることや惑星にも衛星存在することが確認された.それによって天動説よりも地動説説得力が飛躍的に高まったこと.」


ということの驚き.


これはレンズの組み合わせで望遠鏡が作られ,観察の精度が20倍というほど飛躍的に高まった結果です.その後ガリレオ重力の当加速度性を証明するために,さらに実験が盛んに行っています


さて,こうした科学発見法則は,演繹帰納的な直感を組み合わせたものです.どうやらベーコンデカルトのような「方法論者」が言うような,統一的なものはないようです.場当たり的な部分理論は今もいろいろな科学分野で使われていますが,そうした理論が完全には,さらに基礎的な理論整合的でなくても,実験結果説明するなら,とりあえずの近似であるという価値はあるはずです.


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こうした科学論経済学に引き直すなら,もし現在のDSGEモデルがどれだけかでも現実に近いモデルなのなら,証券会社などの発表している当てずっぽう,かつ適当経済予測よりもすぐれているはずです.残念ながら,そういう話はこれまで聞いたことがありません.とすると,やはり経済学アリストテレス的というべきか,ユークリッド的というべきか,演繹が主であり,あまり現実とは関係していない,ということです.


まり経済学がそれなりに人びとから学問として見られるのは,残念ながら実証科学というよりも,むしろその数理的な演繹的な審美性のおかげです.経済ほどの複雑系予測が成り立つのか? という疑問は当然に残るとしても,「経済学予測ができない学問なら,それに何の価値が有るのか?」という功利的な反論は残ります

なお,現在マクロモデルダメダメからといって,貿易論などのミクロモデルもすべてダメかどうかはわかりません.いや,自由貿易経済発展につながることは,少なくても「香港vs中国」「北朝鮮vs韓国」などから明らかであり,そうした歴史統計については,これまで無数の論文が出ていますしかしまた,それを信じないというのも,人びとや政治家経済学者などの自由なところが,難しさを生み出しているように思います


似たような話はたくさんありますが,例えば,先日の水泳を見ていると,「水の怪物フェルプスが「吸玉療法」をしていることは明らかです.吸玉療法でさえもマイナスではなくて,プラスに出ている結果だと考えることができるということの難しさです.


人には見たいものを見る傾向があって,それを反駁するためには,ミクロ実験必要ですが,国民経済命題というのは,少なくとも,ある程度の大きさでなければ実験不可能だし,人びとは民主主義下では経済実験をする気は起きないだろう,ということになるでしょうか.



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2016-08-11 科学革命


ワインバーグの「科学発見」を読みました.論点は多いのですが,まず今日は,


1.「科学革命否定するのが,昨今の流行りだが,それはアリストテレス的な自然観(目的論)との暫時的な決別として,それは実際にあった.」


というワインバーグの主張について.


ニュートンの意義は天上界と地上の物理法則統一的な説明にあったという話は,高校物理学でも,数学でも,あるいは世界史でも習います.そうした見解は,ニュートン力学による説明可能性の広さによって実感されるはずです.僕は高校時代地学ケプラーの法則ニュートン力学から導出する教師出会い,目を丸くしました.そのオドロキは30年以上たった今も,鮮明に覚えています.


社会学者歴史学者は,何でもポストモダンなどと称して相対化するのが20世紀終わりから流行りですが,それは単なるマヤカシであり,数学のよく分かっていない頭の悪い人に向けた邪教の布教書です(笑).さすがワインバーグは痛快にもそれを否定しているのが素晴らしいところです.


例えば,ケプラーは正多面体が惑星距離を決めているのだろうと言うような古代ギリシャ哲学的な発想=数秘術的な仮説を持っていました.しかし,そうした宇宙世界構造についての仮説は,別にあっても良さそうです.あるいはもっと深いレベルの法則から導出できる可能性もあっただろうからです.




結論として,自然法則の是非を人間的な価値基準から判断するではなく,自然をより多く説明できることをもって判断するというのは,確かに世界観の大変革でした.今でも,革命理解していない人たちは多数いて,「自然は〜〜を好まない」的な古代ギリシアのような発想で,エコロジー運動ホメオパシーを信じているのがフシギです.なるほど彼らは,ガリレオニュートンから自然科学の結果も方法にも興味がないのでしょう.


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2016-07-30 世界金融 本当の正体

世界金融本当の正体

世界金融本当の正体


こんにちは


世に陰謀論解説本はあまたありますが,この本は類書と違って,単に陰謀論否定するのではなく,実在した陰謀論も含めて,陰謀というものを理知的に検討しようではないか,という稀有スタンス著作です.



かつての世界には,陰謀存在していました.世界史の主要な事件を幾つかあげるだけでも,ユダヤ人差別ドレフュス事件サイクス・ピコ協定のように現代中東情勢の基礎となってしまった密約日本軍部の暴走きっかけとなった柳条湖事件,あるいは幸徳秋水などが日本政府に謀殺された大逆事件,その他アメリカ原発開発のマンハッタン計画,などなど.実際にあまりに多くの陰謀があったために,そうした陰謀があるのは,20世紀の中盤までは当然だとされていたのです.


しかし戦後から現代にかけての陰謀論言葉は,かなり侮蔑意味合いを含むものになってしまっています.実際に,それ以前の社会に比べて陰謀が激減してきているのだから,当然といえば当然でしょう.「赤い楯」を書いた広瀬隆さんのように,世界金融ロスチャイルド一族に仕切られていて,何でもかんでもユダヤ陰謀論とするのが現代の「陰謀論」の典型であり,陰謀論という言葉自体がすでにトンデモさんと同じような響きになっているのです.


本書には主題はいくつもありますが,当然にもっとも大きいのは,ロスチャイルド一族金融支配はすでに19世紀に消滅したにもかかわらず,今も根強く主張され,どうやら広く信じられていることへの反証


また,陰謀論的な視点で支持されていると思われる副島隆彦さんの言説が一貫していないだけでなく,基本的世界認識すらも間違いも多く含まれているという指摘.一番,面白いのが,「ブレトンウッズ体制,つまり金・ドル本位制が2010年には終わる」という予測. なんじゃ そりゃ〜〜 ニクソンショックでもう40年以上も前に金とドルの打感は終わっているよ!! 爆笑 


(僕個人の意見では,副島さんという人の思考には何の論理性・一貫性も,基本的な知識もないので当然なのでしょうが,,,)


それはさておき,また別の興味深い指摘には,ハーヴァードの法哲学者サンスティーンが「陰謀論社会有害から政府がそうした言説の流布をソフト妨害するべきだ」と主張していることと,そうした国家活動への批判.本当に不勉強な僕は,サンスティーンがそんなに極端な国家主義的な言説を行っていることを知りませんでした.不思議なことです,サンスティーンのソフト情報工作というのは,今まさに中国が行っている反共産党発言への人海戦術的な対策そのものなのです.国家好きな人は,どこまでも,国家がすべてをコントロールするべきだと思っているのです.


陰謀論というわけではなくとも,かつてトーマス・ジェファーソンは「政府への猜疑」こそが,今後のアメリカ必要だと再三再四書いています.そういえば,ロスバードはジェファーソン反政府的(当時はイギリス政府に対する)態度こそが,自分政府への態度と同じである旨を,常に強調しています.結局 今のアメリカは次第に普通の国になって,自然権思想自由普通ヨーロッパとおなじになってしまいましたが,それがロスバードには不愉快なのです.


さてこれは本書の主張ではないのですが,非核三原則のようなウソウソであることが,50年で公開されるアメリカ公文書からは判明するが,この国に住んでいるだけでは永遠にからないというのも,民主主義国家標榜するにはあまりに情けないことです.政府陰謀あるかないか,あったのかなかったのかをはっきりさせるためには,日本でも関係者がすべていなくなっているだろう50,あるいは100年での,公文書の完全・網羅的な公開が望まれます.(なんで右翼愛国者はそういうのを否定するんでしょうね? 国家の美しい部分だけを見たいということなのか?? まったくのナゾです.)



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世界金融本当の正体

世界金融本当の正体


こんにちは


世に陰謀論解説本はあまたありますが,この本は類書と違って,単に陰謀論否定するのではなく,実在した陰謀論も含めて,陰謀というものを理知的に検討しようではないか,という稀有スタンス著作です.



かつての世界には,陰謀存在していました.世界史の主要な事件を幾つかあげるだけでも,ユダヤ人差別ドレフュス事件サイクス・ピコ協定のように現代中東情勢の基礎となってしまった密約日本軍部の暴走きっかけとなった柳条湖事件,あるいは幸徳秋水などが日本政府に謀殺された大逆事件,その他アメリカ原発開発のマンハッタン計画,などなど.実際にあまりに多くの陰謀があったために,そうした陰謀があるのは,20世紀の中盤までは当然だとされていたのです.


しかし戦後から現代にかけての陰謀論言葉は,かなり侮蔑意味合いを含むものになってしまっています.実際に,それ以前の社会に比べて陰謀が激減してきているのだから,当然といえば当然でしょう.「赤い楯」を書いた広瀬隆さんのように,世界金融ロスチャイルド一族に仕切られていて,何でもかんでもユダヤ陰謀論とするのが現代の「陰謀論」の典型であり,陰謀論という言葉自体がすでにトンデモさんと同じような響きになっているのです.


本書には主題はいくつもありますが,当然にもっとも大きいのは,ロスチャイルド一族金融支配はすでに19世紀に消滅したにもかかわらず,今も根強く主張され,どうやら広く信じられていることへの反証


また,陰謀論的な視点で支持されていると思われる副島隆彦さんの言説が一貫していないだけでなく,基本的世界認識すらも間違いも多く含まれているという指摘.一番,面白いのが,「ブレトンウッズ体制,つまり金・ドル本位制が2010年には終わる」という予測. なんじゃ そりゃ〜〜 ニクソンショックでもう40年以上も前に金とドルの打感は終わっているよ!! 爆笑 


(僕個人の意見では,副島さんという人の思考には何の論理性・一貫性も,基本的な知識もないので当然なのでしょうが,,,)


それはさておき,また別の興味深い指摘には,ハーヴァードの法哲学者サンスティーンが「陰謀論社会有害から政府がそうした言説の流布をソフト妨害するべきだ」と主張していることと,そうした国家活動への批判.本当に不勉強な僕は,サンスティーンがそんなに極端な国家主義的な言説を行っていることを知りませんでした.不思議なことです,サンスティーンのソフト情報工作というのは,今まさに中国が行っている反共産党発言への人海戦術的な対策そのものなのです.国家好きな人は,どこまでも,国家がすべてをコントロールするべきだと思っているのです.


陰謀論というわけではなくとも,かつてトーマス・ジェファーソンは「政府への猜疑」こそが,今後のアメリカ必要だと再三再四書いています.そういえば,ロスバードはジェファーソン反政府的(当時はイギリス政府に対する)態度こそが,自分政府への態度と同じである旨を,常に強調しています.結局 今のアメリカは次第に普通の国になって,自然権思想自由普通ヨーロッパとおなじになってしまいましたが,それがロスバードには不愉快なのです.


さてこれは本書の主張ではないのですが,非核三原則のようなウソウソであることが,50年で公開されるアメリカ公文書からは判明するが,この国に住んでいるだけでは永遠にからないというのも,民主主義国家標榜するにはあまりに情けないことです.政府陰謀あるかないか,あったのかなかったのかをはっきりさせるためには,日本でも関係者がすべていなくなっているだろう50,あるいは100年での,公文書の完全・網羅的な公開が望まれます.(なんで右翼愛国者はそういうのを否定するんでしょうね? 国家の美しい部分だけを見たいということなのか?? まったくのナゾです.)



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2016-07-28 AKB=おニャン子クラブ

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こんにちは


今日アキバに来ました.もう30年以上昔,大学1年のいつだったか渋谷で中継されていたおニャン子クラブなどという存在にオドロキ,だいぶ入れ込んだ(情けない,ハハハ)小生としては,その後継としてのAKB秋元康おそるべし!!)には,抽象的にではありますが思い入れがあります.


電脳街としてのアキバには中学以来の憧れがあります.それとは別に,このAKB劇場前には確か2年ほど前にも旧知の友人と一緒に見学に来ました.今日劇場の斜め上のスタバにてカフェ・ラテ飲みながら少し時間をつぶしたということもあってアップしてみました.昔はTXなんてなかったので駅もありませんでしたので,まったくもって隔世の感があります.


それにしてもアキバはいつ行っても,元気があります.どうでもいいPCパーツとか,ヲタク相手フィギュアとか,,,

老人の街とかいうのではなくて,まさに若者,VR,ヲタクアニメAVの街です.それがまた久しぶり(永遠??)の元気を与えてくれるのが素晴らしいものです.





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2016-07-24 政治的無知

民主主義と政治的無知 ―小さな政府の方が賢い理由

民主主義と政治的無知 ―小さな政府の方が賢い理由



さて,今日は「民主主義政治的無知」という本を読んだので,この内容について少し.


1章は,アメリカ国民がどれほど一貫して政治的無知であり続けてきたかの確認.これを受けて2章は,ハバーマス的な「熟慮民主主義」とか,「討論型民主主義」と呼ばれるような,政治的議論はまったく非現実的であることを説明.3章は,経済学ではよく知られている「合理的無知」の議論,4章は,情報ショートカットによってこうした無知を克服することは難しいこと.5章は「足による投票」のほうが,政治的投票よりは実現可能性が高く,現実的であること.そして6章は,違憲立法審査権という制度は,民主主義に基づかないため,民主主義原理とは相反するものだが,にもかかわらず,その正当性有権者無知によって,これまでよりも高いものであるだろうこと,を論じます


経済学者であれば,1章の合理的無知の話については,理解・納得していることでしょう.投票行動が「実際に」影響をあたえる可能性はゼロであるため,「合理的な」人間であれば,政治について知るインセンティブは持っていません.


これを受けて3章の内容では,(ブライアンキャプランなどが主張するように,投票結果ではなく投票行動そのものが単なる自己満になっているために),人びとは(例えば,自由貿易否定など)バイアスの掛かった選択をしがちであるといいます


5章の「足による投票」もまた,経済学ではすでに十分な議論があります.実際に日本でも,子育てにやさしい自治体に引っ越すというのは,よく聞きます日本にはあまりありませんが,ゲート・コミュニティというのはアメリカでは,非常に普通に見られます


というわけで,ここまではむしろこれまでの経済学議論では,常識とも考えるべき内容です.



ソミンの著作の意義と新味は,通常民主主義原理に基づかないと否定的に捉えられることの多い「違憲立法審査権」は,こうした政治的無知現実からもっと肯定的に捉えられるべきだという主張にあります.実際,僕はこうした意見を聞いたことはなかったように思います


これは,ある意味で,ハイエク的「立法 vs 自然法」という視点であり,違憲立法審査権というもの自然法体現したものであり,自ら愚行を犯す傾向を持つ民主主義的な立法行為否定するものだと考えることもできそうです.

政治哲学はいう分野であっても,「有権者現実には無知である」という事実命題理解した上で,論理を展開したほうが説得的です.少なくとも,そうあるはずではないでしょうか? その意味で本書の良さ,意義というのは,現実を踏まえたうえで,オーストリア経済学的と整合的な政治哲学の新しい視点を展開していることでした.


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2016-07-21 愚行権はあるが,,,

皆さん,こんにちは


今日は近所のイオンに行きました.確か20年ほど前にジャスコとしてできたあと,10年ほど前には近所にイオンモールができたので,人気がなくなっていました.このところ行く機会がなかったのです.


久しぶりに行くと,随所にソファが置かれてスペースがゆっくりととられているのは結構でした.しかし,なるほど老人を集めて,ヘルストロンのような健康機械を売りつける常設スペースもあり,20人ほどの高齢者に向かって担当さんが熱弁を振るっていました.なんでも「頭痛肩こり便秘,不眠」なんかに効くんだと.まあ,医者要らずですな,ホントなら...


こういった商品は本当に難しい.まさに詐欺と,ある種のサービスとしてのセラピー,あるいはプラセボの間に位置しているものというべきでしょう.(ちなみに僕の実家でも,これまでに少なくとも2百万以上は騙し取られています.)


なんの意味もない施術でも,「効いたはず」といわれれば,その担当さんが良さ気な人なら,誰でも効いたようなプラセボ効果が生じるものなのでしょう.僕の住んでいる名古屋でも,働いている岐阜でもまったく同じ効果のない詐欺機械を売りつけるスペースが,まさに急速に増殖しているのです.


これを高齢社会の抱える(振り込め詐欺と同じ)問題だと捉えることもできますし,あるいはパチンコと同じように高齢者へのある種のサービス提供だと考えることもできます.おそらく資本主義的な拝金主義唾棄する人たちは,当然に前者だと感じているでしょう.まあ,ぼくも総じて言うなら,そういう風に感じています.


人間には誰にも愚行権がある! というのはリバタリアンの口上ですが,おそらくこれは高齢社会問題というよりも,ヨーロッパホメオパシーアフリカヴードゥー医療と同じように,むしろ人間本質なのでしょう.


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2016-07-18 インフレ期待のナゾ

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こんにちは

前述したように,2013年から異次元緩和が始まる前,マネタリーベースは120兆円でしたが,今年7月には400兆円を超えているところからすると,すでに3倍以上のインフレポテンシャルマグマのように溜まっているはずです.とはいえ,マネタリーベース銀行乗数をかけることでマネーサプライになります.このマネーサプライはここ25年の間に1.5倍ほどにしかなっていません.おまけに,異次元緩和とはほとんど無関係に,一定率でしか増加していないのです.よほど有望な融資投資先が見つからないということなのでしょう.


それにしても,インフレ期待がここ3年をとっても1%をゆうに下回っているのはフシギです.マネーサプライが数%以上で増加しているのに,10年もの国債のBEIを見ると0.5%ほどなのです.少なくとも債券ディーラーたちが,今後10年の平均的なインフレ率が0.5%ほどだと考えているのは間違いありません.


これは大きな謎です.僕が大学時代サムエルソン(今はサミュエルソンという表記ふつうのようです)を読んだ時に,すでに貨幣数量説はマネタリズムの標準公理になっていました.どの程度でマネーサプライのすべてがインフレとなるのか?  これは大きな謎ですが,もっとなのはメジャーなマクロ経済学者たちが,それを問題にさえしていないことの方です. 


価格革命は200年以上かけて,ヨーロッパインフレをもたらしました.あるいは元禄時代の改鋳でも,数年から数十年はインフレが続いたようです.そうすると貨幣数量説が成り立つ「長期」という概念は,異次元緩和から3年の現在ではなく,あと数年から(あるいは)数十年というスパンであり得るのかもしれません.


これが物理学とかであれば,公理系の破れというのは大問題になると思いますが,残念ながら,やはり経済学ソフトサイエンスだということなのでしょう.



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2016-07-01 自動運転のリスク

こんにちは


テスラ自動運転フロリダ事故死が起こったとのことです. まあ,絶対安全技術なんてないし,現在はその段階でもあるはずもないので,すぐに事故死が起きて報道されるだろうと思っていました.


もちろん問題事故死が起こったことではなくて,人間が運転する場合と比べて安全なのか,それとも危険なのか? 


テスラモデルSやモデルXは常に会社サーバーと連絡しているので,走行距離モニターできるのが良いところです.テスラの報告によると,すでに2億キロを走っているデータからすると,人間の運転よりも2倍ほど安全だということらしいです.


https://www.technologyreview.com/s/601822/fatal-tesla-autopilot-crash-is-a-reminder-autonomous-cars-will-sometimes-screw-up/


おそらく運転が下手な人よりはすでに安全であり,上手い人に比べれば危険だというほどでしょうか.まだ技術が生まれたばかりの最初期であることからすると,今後は高速道路だけではなくて,一般道でも圧倒的に安全になりそうです.こうした事件自動運転反対のタクシートラック業界に利用されないように願うところです.


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2016-06-29 デフレと資源配分





皆さん こんにちは


デフレインフレの逆でしかないので,ガチガチ合理主義者にとってはほとんど同じようなものです.予期しないデフレは,借り手から貸し手への富の移転を伴いますが,それ以外は,デフレ予測されている限りは特段の問題はないはずです.


ところで,唯一興味深い話題としては,最近八代尚宏さんや原田泰さんなどの市場重視系の経済学者が,デフレ若者を貧しくして,老人へと資源移転させると批判していることです.確かに,


1.デフレ金融資産特に単なるタンス預金銀行預金価値を高め,若者賃金相対的に下がります


2.年金デフレスライドするのが稀なので,現実的には,老人の年金は割増状態になってしまます


3.消費税は年令を問わず富裕層の消費にかかりますが,その実施を遅らせるということは,つまり現在の富裕な高齢者から税を取るのをやめて,若年世代未来に先送りして支払わせようとすることです.


こうしてデフレが続くことで,若者賃金に比べた高齢者資産は上がり,ただでさえシルバー民主主義の悪弊がひどいのに,さらにそれが悪くなるという主張なのです.


なるほど.デフレインフレによって生じる,世代間の豊かさの相対的な変化については納得できる部分が多くあります.もちろん,老人が豊かになって何が悪い!と言う意見もありでしょうが問題年金制度賦課方式であり,その負担若者にのしかかっている政治制度にあります


日本有権者マジョリティ団塊の世代はすでに60代なので,若者ますます搾取されるでしょう.若者といっても,その祖父母(の年金からサポートを受けられる人は良いのでしょうが,そうでない若者悲惨です.

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なお,「インフレにしなければ景気は良くならない」とか断言している,市井評論家サンがたくさんいるようですが,それは単純な誤りです.例えば,1880−1896年のアメリカ好景気は年率3%にも及ぶデフレとともに生じており,この期間にアメリカでは23%ものデフレが起こったことが知られています


論理的に考えれば自明なことですが,デフレという状態が,生産性の向上=テクノロジーの発達と両立しないという理由などはないし,実際にデフレ下の好況は存在しました.(しかしこの時,西部農民借金の増価に苦しみ,東部銀行家に大きな不満を持ったのは事実です.)評論家サンたちは,ただいつのもように無知不勉強直感思い込み放言しているだけです.


とはいえ,インフレによる貨幣錯覚が人びとにエクストラ幸福感・満足感を与えるらしいことは,今や否定できなさそうです.その程度については,もっと経済学者が真面目に推定して,議論しあうべきでしょう.


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2016-06-24 マネタリーベースの急増

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上の図は日銀マネタリーベースの急増のグラフです.



2012年中頃に異次元緩和が始まり,その時点で120兆円だったのが,2016年中頃までに380兆円へと3倍以上に急増しています.これは日銀市場国債をおよそ330兆円ほどまで買い取ったのと,さらに株式債権を買い増しているためです.



マネタリーベースが3倍になった場合銀行乗数が同じなら通貨供給は3倍になるはずです.しか現実には次のように,通貨供給の増加はステディに増加しています.




f:id:kurakenya:20160624205751p:image





この3年ほどの間に,通貨供給日銀用語ではマネーストックとか言うらしい)は1130兆円から1300兆円ほどまでステディに増えていますが,急増という感じではありませんね.これはつまり銀行預金があまり融資に貸出に回っていないということでしょう.銀行投資先がないということと,現金で溜め込んでいる人が多いということなの両方のようです.


ここで仮に黒田総裁の目論見を達成するためには,さらに通貨供給を増やす必要があるとしましょう.自民党伝統を受け継ぐ安倍さんは「国土強靭化」などの公共投資が,当然ながらお好きなようです.しか市場を活かすためには,公共投資よりもヘリコプターマネーで人びとに配るというのが手っ取り早い.



しかしフシギなのは,少なくともこの10年ほどは貨幣数量説が成り立っていないことです.リーマン・ショックのあと,通貨供給が2008年から1050兆円から1300兆円まで増加しています.しかGDPがほとんど同じなので,そろそろインフレがきても良いはずです.しかし,世の中にまったくそうした気配はありません.



なぜなんでしょうか?? 歴史的に類例を見ない高齢化タンス預金のせいだというのも,銀行エコノミスト評論ならありなのでしょうが,マトモな学者意見としてはどうも,,,,  あるいは,近いうちにカンと来るんでしょうか??



予想インフレ率が実際に上がっていないことについては,また次回を乞うご期待.


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2016-06-23 インフレの効用



こんにちは.これから少しインフレについて考えてみましょう.



インフレ主義者は多いのですが,通常,インフレ通貨価値の低下であり,政府ファイナンスを助けるものであるため,リバタリアンインフレ批判するのが定石です.


まずインフレは望ましいのか? インフレ主義者は多いのですが,通常,弱度のインフレが望ましいと考える現代学者は,ケインズの流れを組む制限合理性の信奉者が多いようです.とすると,インフレ反対を唱える人は,通常はガチガチ合理主義者=反ケインズ主義というということになります


インフレコスト存在することは明白です.インフレが起こると,人びとは現金預金)をできるだけ速く商品に交換するためにアタフタするというshoe leather costが発生します.また資金の貸し手から借り手にリソースの予期せぬ再配分が起こります.また経済撹乱要因にもなるでしょう.


しかし,インフレにはメリットもあるようです.どうやら人びとは賃金が上がったと誤解して,より働くようになり(フィリップスカーブ),かつ愉快な気持ちにもなるようです.これは錯誤であったとしても,確かに幸せを感じています.この事実をどう取り扱うかが,おそらくケインズ派批判派の学者インフレ評価の分かれ目になります


ケインズ主義者によると,インフレがあれば名目賃金の上昇で人びとが愉快に感じるだけでなく,モラールの低下なしに実質賃金の引き下げも可能になり,首切りではなく,賃金引き下げによるワーク・シェア可能になります.あとは借り手は貸し手よりも貧しい場合が多いので(かならずしも現実にはそうではないでしょうが),弱者保護が好きな大きな政府主義者インフレ政策に賛成することになります.これはケインズ自身がそう考えてもいた社会思想です.彼は「利子生活者安楽死」を標榜していたはずです.こう考えると,インフレ大きな政府社会政策主義者親和的政策になります


ガチガチ合理主義者は,こうした見解を怪訝に感じます.僕は長い間,こうした貨幣錯覚について,どうしても納得できませんでした.しか証拠はすでにあまりに膨大です.人間世界認識現実貨幣錯覚存在するのであれば,錯視やVRが脳内では現実であるように,人びとの効用の増加を認める必要がありそうです.


さて,ここで仮にインフレが望ましいという前提を肯定するとしても,ハイパーインフレは誰も望みません.すると,何%が最適なのか? この答は,上記の錯誤の問題あいまって,難問です.これまで僕は正直,誰ひとりとして,マトモな推定をした論文を見たことがありません.(通常,エコノミスト評論家は軽い感じで,インフレが望ましいとは言いますが,,,)まあ,錯誤の程度,あるいはそれによる効用の増加分や,賃金交渉費用の変化など,すべてまったく金銭的に明確ではないのですから,当然です.


オドロキなのは,本書でクルーグマンは「日本にとって望ましいインフレは2%,8%でなく,4%である」と断言していることです.特段の証拠は挙げていないので,彼自身直感的な数値なのでしょう.まあ,この本自体が単なるインタビューの書き起こしなので,厳密さを求めても仕方がないのでしょう.しか別に否定する気はなくて,もう少し高いかもしれないよ? と感じる程度です.


10%ほどにまでインフレ高まると,貨幣錯覚が「錯覚であること」と強く認識されてきてしまい,逆効果になるということなのでしょう.でも2%じゃ効果が弱い.そこが近視のかけるメガネと同じでトレードオフがあって,落とし所が難しそうです.


ところで僕が実家の母などと話していると,高度成長時代給料の増加や高金利を懐かしむことはとても多いです.やはり名目的なインフレであっても,名目賃金の上昇は嬉しいもののようです.


さて,最後に残された疑問は,「こうした貨幣錯覚現代社会インフレに慣れているからで,デフレ時代が続けば,人びとはデフレによる実質所得の変化に注目するように変化する」というマネタリスト的な・あるいはオーストリア的な主張です.これは本当かもしれないし,そうでないのかもしれません.社会実験不可能からです.


でも,僕はあまりこの意見は賛成できないように感じています特にカーネマンの『ファスト・アンド・スロー』なんかを読むと,どうしても貨幣錯覚普遍的大脳回路の認識作用に基づいているように思えてしまいます


おまえリバタリアンじゃなかったのか!? リバタリアンフリードマンルールオーストリア学派からデフレこそが望ましいと主張するべきだろう! と批判されそうです.あえていうなら,インフレ課税国防予算に当てるべき,現在無意味有害産業振興保護公共事業予算をやめてベーシック・インカムとして配るべき ということになりそうです.


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2016-06-16 検察庁のシナリオ


こんにちは



今日ヤメ検バブル紳士たちの顧問弁護士をしていたところ,石橋産業手形詐欺事件で(本人曰く検察庁の話の捏造に嵌められて)5年服役したという男の人生記です.なるほど,こういうのを読むと,検察庁というのは,筋書きをつくってそれにあった供述をさせるプロ集団なのだということがわかります.



別に本人は懺悔しているというわけではなくて,検察に都合の悪い弁護活動をしていたために彼らににうらまれて,その結果冤罪で投獄されたということになっています.今となっては,この部分は本当なのかもしれないし,彼の妄想なのかもしれません.



それにしてもこういう過酷な取り調べの人権侵害状況を考えると,厚生省の村木さんという人は本当にすごい.すべての筋書きに頑として否認を続けたのですから,たいへんな精神力の持ち主です.おそらく彼女冤罪事件のおかげで,面談の録画がされるようになったのです.官僚組織の自浄作用というのはほとんど存在せず,それなりの制度変更にも実に何十年・何百年という単位必要であることがよく分かります.



また庶民関係するのかははっきりしませんが,さまざまな陰謀というものが,今でもこの世の中に実際に常に存在するということが,よくわかる人生訓話でした.




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2016-06-13 ビットコインに似たマルチ商法

皆さん お久しぶりです.


先日,友人からメールで「エターナルコイン」という,マルチ商法そのもののアルトコインがあることを教えてもらいました.


https://eternallive.jp/


これはひどい!! リップルを利用した単なるマルチです.時々授業を使って学生にも注意しておくべく,覚えておくことにしました.


しばらくムッときていた小生ですが,よく考えてみて,リアル通貨でさえマルチ商法が常に存在してきたのが資本主義なのだから,突然流行り始めた暗号通貨に便乗する詐欺野郎たちがいても不思議はないことを悟りました.あるいはリアルワールド詐欺強盗もいるんだから ネットにいるのも当然です.


残念ながら,人間社会には常に悪人がいるのですね.気をつけることにしましょう. 


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2016-04-05 Tesla Model3 by Elon Musk

皆さん こんにちは


クルマのような商品は,単に発売されて購入者が買って消費するというかエンジョイするものだと感じていました.しかし,マツダロードスターの発表を見た時にも少し感じたのですが,さらに先日テスラ・モータースの Model3 の発表を見ていて,完全にiPhoneと同じように,クルマの発表それ自体が一大イベントになっていることがよく分かりました.


なにせイーロン・マスク現代カリスマの一人です.CO2エミッション問題がそんなに重要なのかは僕にははっきりしませんが,電気自動車にはそれ以外のメリットもあるので,彼が偉大なヴィジョナリーであることは間違いありません.


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クルマを買うことも含めて,コンサートに行くような感覚で,商品の発表を一緒に楽しむのはアップルのやり方と同じです.プレゼンテーション重要なので,日本サラリーマン社長にはなかなかマネのできないショービジネスという感じです.


何はともあれ,クルマでもこうした「体験=感動」を売る時代になったということなのでしょう.ちょうどミュージシャン音楽を聞いてから,そのコンサートに行くのを楽しむ感じでしょうか.コンサートに行ってから音楽を楽しむというのもありですね.


だんだん世界の娯楽のあり方が変わってきたんでしょうね.



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2016-04-04 Philosophy of Liberty by Ken Schoolland

皆さん こんにちは


先日 ハワイKen Schoolland と会って話をする機会を得ました.以前から彼のサイト Philosophy of Liberty のファンだったので,『のんきなジョナサン冒険 The Adventure of Jonathan Gullible』の話とともに,とても楽しい時間になりました.


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現在山梨にお住まい村田稔夫先生とは30年来の付き合いなので,前日に会いに行ったとのことでした.彼いわく,「数年前の東京でのモンペルラン・ソサイエティー(MS)に来たら,Murata Senseiが呼ばれていなかったのは驚いた.なにか派閥問題でもあるのだろうか?」と不思議がっていました.

 

また「MSはもう単なるスノッブの集まる会合になって,もともとハイエク意図していたものとは全く違っている.僕らは別のmeetingを立ち上げてるから,また気が向いたら来いよ」と誘ってもらった.MSについては僕もまったく同感で,まったくもって自由主義というお題目から遠く離れてしまっている.


その後,1980年代日本で誰が自由主義者を語っていたのかをもう一度調べる機会がありました.結果,オーストリア学派自由主義者というのは日本には長らくいなかったことが分かりました.今でも尾近先生経済思想だし,経済学者と呼べるような感じの学者はいないような状況です.


なんでだろ?? オーストリア学派経済循環論なんかは,検証してみる価値があると思うけどな〜〜 まあ,それはアメリカでも同じか.もちろんポスト問題なんだろうと思いますが,自由主義者を論じる経済学者もいないのは残念なことです.



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2016-02-28 エネルギーの高い水

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こんにちは


今日スーパーホテルからもらった水を飲んでいたところ,そこに書いてある能書きをなんとなく読んでみると以下.


霧島国立公園指定された霧島生まれの天然水. 軟水よりミネラル豊富で,しかも飲みやすい硬度127mg/lの「中軟水」.ケイ素サルフェートなども含まれています.「健康深層水」は,さらにMICA加工によって生まれ変わった健康維持やリラクゼーションに貢献する安心で体に優しいお水です.」


MICA加工って  ???


さてその下に別囲みでさらに


MICA加工とは,水を加圧しながら特殊鉱石と接触させることにより,分子活動が活発化したエネルギーの高い水に変化させる技術で,世界8カ国で特許取得されています.」


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スーパーホテルサービスシンプル安価・快適なのはいいけれど,健康を気にするロハスな人の心をつかむために,こうした「体に良い水」を配るのはある種の人間心理必然なのだろうか.それにしても「水の分子活動が活発化する」,「エネルギーの高い水」ってなんだろう?「還元水」の系列で,こうした疑似科学表現がそこかしこ自然に入っているのは,人の心というもの不思議だ.






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2016-02-22 認知症薬の投与


こんにちはちょっと本を読んでみました.福岡県にある宅老所「よりあい」の所長である村瀬さんという人が後述するところを記した本です.これは介護方法に関する本ではありますが,ボクの興味を引いたところとしては,「認知症」という診断自体が,(若年性を除く)高齢者場合現代医療問題であると指摘しているものです.


さてウツクスリを処方するためにうつ病の診断が激増したというのはよく知られています.同じ話では,最近イーラリリーADHDクスリを出したために,妙に「あなたADHDではないですか?」的なパンフレットが目につくようになりました.


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基本的に同じような話が本書として,「認知症」が載っています.それは,次第に認知能力が低下してきた高齢者アリセプト認知症改善薬)などを処方するため,また「介護保険」を適用するために,認知症という診断が乱発されているというものです.


一般論として介護がどうあるべきかは難しい問題ですが,知的能力が下がりつつある人間環境入院なり,子どもの家に呼び寄せたりして激変させれば,それが悪化することは頻発するでしょう.この場合認知症に対する投薬,さらにそれに伴う副作用に対する向精神薬の大量投薬を繰り返すというパターンが多いのですが,これが現代医療問題であると本書は告発しているわけです.

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さて宅老所よりあいのように,「胃ろうはなし,オムツもなし,などというのは,理想論しかない」,「現実にはそういう方法しか介護できない高齢者がたくさんいるのだ」という主張もありそうです.本書が言うように,「ほとんどすべての認知症高齢者は,実はそういった非自立型の介護必要としていないし,ほとんど最後まで自分トイレに行けるし,行きたがっている」という主張が本当なのかどうかは,ボクのような素人にはちょっと判断できません.


ただそれでも感じるのは,本書の村瀬さんが主張するように,被介護者にも尊厳必要だということ. おそらくほとんの人は薬漬け,チューブ胃ろうオムツと一緒に何年も生きていたいとは思っていないように思われます


最後に,経済学視点から一言.もし「宅老所よりあい」のような施設が,通常の老健特養施設よりも人間的に望ましいだけでなく,介護という視点から見ても資源節約であるのなら,もっと素晴らしいことです.より良いグループホーム制度として,ぜひとも宅老所類似施設が全国にあまねく広がってほしいものです.




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2016-01-16 預金契約の任意・自発性



こんにちは


友人から,「おまえの訳したデ・ソトの著作では,銀行預金契約では銀行による寄託金の流用を禁止されるべき,などと主張している.しかし,そもそも自由主義者物理力による強制以外の自由契約はすべて許されるはずではないのか? 矛盾しているだろう」という,スルドイ指摘をいただきました.


ここには,まさに問題があります


ディヴィド・フリードマンやあるいはマレー・ロスバードなどのアナルコ・キャピタリズム合法的政府を認めていませんから政府による禁止というのは,そもそも否定されることになります.また,今回僕が訳したデ・ソトによる「通貨銀行信用・経済循環」の立場のように,オーストリア学派(のほとんど)は最小限の政府正当性を認めたうえで,政府による銀行への寄託金流用という特権は,廃止されるべきだと言います


そこで,こうした主張の論理的整合性については,整合しえる・し得ないを含めて,いくつかの立場が考えられるのでしょう.次のような考えが一番整合的なように感じます


まず,ハイエク的に「制定法」と「自然法」を分けて考え,そもそも銀行による預金の流用は,自然法として認められない(殺人契約と同じ)ため,政府があってもなくても,同様に否定されると考える.この考えによると,現在のように政府存在することを前提とするなら,政府はそうした流用を禁止すべきだし,仮に無政府資本主義社会が実現する場合も,自然法的な法秩序において,銀行による預金流用は否定されることになります.明言はしていませんが,著者デ・ソトはこの立場に立っているようです.(なぜって,彼は無政府主義者であるロスバードを敬愛していますから.)


次に,ミーゼス的に自由銀行主義の立場をとり,銀行契約自由を認める立場もありかもしれません.この場合契約自由を認めるなら,人びとは,利子がつかず預金料金を取るような銀行を使わず,むしろ預金に利子をつけてくれるような現行の普通預金制度を利用するでしょう.この立場はしかし,銀行信用の部分準備制度永続化する可能性が高い,いやほとんど間違いなくそうなるという問題があります


僕はあまり外部性を強調する考えは好みませんが,これはつまり温暖化ガスと同じような「共有地の悲劇」なのでしょう(ここでは地球温暖化問題は通常のマスコミの言うとおりである仮定して議論します).誰もが自分利益を追求するが,その結果は全員が損をしてしまうような囚人のジレンマ状況であるわけです.


銀行信用という通貨の伸縮性が経済変動をもたらすとしましょう.だとしても,この命題自体一般的には共有されていないし,検証されてもいません.そのため,かつて温暖化ガスがそうであったように,そもそもそうした銀行活動外部不経済をもたらしていることはまったく理解されていないわけです.


いつの日かこうした状況が変化して,実際に銀行預金制度経済循環を引き起こしていると検証され,広く認識が共有されるまでには長い時間がかかるだろうし,銀行業界世界中でひじょうに大きな利益団体になっているので,果たしてそうした業界規制することができるのかは大きな課題です.


まり通貨というもの交換手段としての性質からして,銀行預金を流用することで,その量を自由に伸縮させることができるという制度からは,大きな負の外部性が生じています政府がこれを(自然法的な観点から規制して,銀行には預金の流用を許さないというのが一つの解決法です(「通貨銀行信用・経済循環」での提言).


はるかに難しいのでしょうが,また別の解決法は,bitcoin世界の唯一の通貨として(各国政府強制力を超えて)流通するようになることです.これが実現すれば,政府への税金その他の国家的な強制支払いに対しては,皆が一般的日常的に利用しているbitcoinを各国通貨(円やドルなど)に替えて,支払うようになります両替がいらなくなるだけでも大きな意義があると思うのですが,マネーロンダリングがそもそも「不正」なものである考える人には,国家主義によってすべての個人の所得資産が補足される社会よりも,かえって危うい社会だと感じられるようです.




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門外漢門外漢 2016/02/03 22:44 全くその通りです。
国民の財布から直接金を抜き取り、
健全な貯蓄を妨げる天下の悪法、貯蓄税に対抗する数少ない手段がbitcoinだと思います。
私自身の個人資産も、大半はドル建で海外銀行に預け、即時bitcoinに変換出来るようにしております。

2015-12-29 福井探訪

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27日に福井に行ってきました.写真では,福井駅読書している恐竜博士,Rex系の肉食さんと記念撮影をしました.ご一緒したのは,「子どもにツケを回さない」活動を通じて減税・小さな政府を訴えている吉田寛さん,ホッペ.ミーゼスの翻訳アマゾンで公開している岩倉竜也さん.福井県歴史博物館福井県歴史を巡ってきて,なるほど富山出身にとっても福井県って意外と知らないこと多かったです.


拙訳になる「通貨銀行信用・経済循環」の話で盛り上がりました.うーん,なんで世の中の人って「消費をすれば経済が良くなる」という信念を持っているのか? これはケインズ経済学者も,その影響下にある政治家マスコミすべてについてです.「消費活動を支えるための生産活動は,長期的な生産財への投資があってころ実現しているのだから,貯蓄のほうが(少なくとも)長期においては重要だ」という,ある種自明命題がなぜ否定されているのか??


もし100歩譲って,「短期においては経済カンフル財としての,消費の刺激が必要だ」という主張をするなら,どこまでが緊急で,どこからが通常のオペレーションに戻すべきなのか? 理論おかしいと思うが,それ以上に実験エビデンスコンセンサスもないのが気になります.結局は,戦後ケインズ経済学が主流化して以来,一貫して常に刺激策というクスリ漬け状況が続いてきたというのに.



為さねばならぬ事

為さねばならぬ事


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2015-12-15 デタラメ健康科学



皆さん こんにちは


週末にベン・ゴールドエイカーの「デタラメ健康科学」を読んでみました.これは3年ほど前に友人から薦められて読んだのですが,興味が湧いたので,再読したという次第です.


サイモン・シンの冷めた代替医療批判とは異なり,コールドエイカーはるか辛辣民間療法代替医療医療産業マスコミ批判ます.ここで重要なのは,おそらく医療産業と,マスコミでしょう.


製薬会社スポンサーを務める多くの臨床研究では,効果があれば大々的に発表されるが,効果がないような場合には,まったく発表しなかったり,あるいはマイナージャーナルに載せたりということになります.こうした実態は一般にpublication bias と呼ばれ,メタ分析ではそうしたことが実際に起こっていることが,これまで数多く検討・報告されてきました.


これは科学界全体に蔓延る深刻な問題で,僕自身過去テストステロンリスク・テイクについてうまくいかなかった研究はいくつかのジャーナルリジェクトされて,公表できなくなったのでよく分かるつもりです.あまり興味深くない結果は誰も読みたくないということになるのでしょう.


ついでゴールドエイカーマスコミの持つ,代替医療への偏向についても痛烈に批判しています面白い記事は載せるが,代替医療否定するような,重要だが,耳目を集めないような記事は載せない.それは記者科学というもの理解していないこと,そしてまた商業主義にすぎること,であると.


こうした意見はまったくもっともなもの全面的に納得できますが,しかしマスコミBBC)・新聞批判には疑問が残ります.なんといっても,結局新聞社テレビ大衆からの支持がなければ営業していけないわけで,その点は学術ジャーナルとはそもそも立ち位置が違います科学的に正しいがまったくウケない記事を載せてばかりいて果たして人びとから支持されるものなのか? 最悪の場合もっと悪質なメディアに取って代わられるのではないのか? という疑問が残ります


結局は一人ひとりの人間は,聞きたいことを肯定してくれるような記事を好む傾向があり(心理学で言う肯定バイアス),そうした傾向を振り払ってまで,懐疑主義を貫ける人はほとんどいないのが現実です.これはISのテロ祭りと同じように,人間というものの本性に突きつけられた難問であるように思われてしまいます



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2015-12-08 EBMへの不満とは??


皆さん こんにちは

今日は前から思っていた, Evidence Based Medicine (EBM) についてもう少し.


1.多くのまともな医者EBMにおいて,代替医療効果を疑っていますだって,そうした治療法が効くんだったら,実際にやってみれば統計的有意な差が現れるはずじゃん! ということで,当然,まずは否定することが前提になります


2.しかし代替医療宣伝文句表現典型的に見られるのが,「個別的」という言葉です.これは通常医療では個人の状態配慮したものではない,つまり「画一的」な処置であるという批判対応する言葉です.もちろん実際の通常医療では,「患者の病状・年齢・体力・その他の状況」に可能な限り配慮した治療法を選んでいますから,こうした批判おかしいというのは「科学的」には,正しい反論だと思います


でも,代替医療の好きな(多くは女性の)患者は,そうした個別性を超えた「個人としての人格的なレベル」での個性にまで配慮してもらいたいと思っているのだと思います.ちょうど自分は人とは違うかもしれない,いや違うはず,という直感に沿った形で治療法を決めてもらいたいと感じているのです.


当然,こうした配慮を突き詰めていくならば,「科学」も「統計」も溶けてなくなってしまいます自然科学規則は「一般的に」はてはまらなければ意味がないですし,統計というのも,観察対象がそもそもある種の基底的な画一性をもっているという前提に基づく概念です.また実際には,通常医療の支持者が実験によって何度も反証しているように,例えばホメオパスはどのレメディが誰に効くのかについて「それぞれの単なる直感」に頼っていて,まったく一致した意見がありません.だから効くはずがないのです.まあ,占いと同じですね.


しかしそれでもホメオパスが繰り返し,大衆から支持されるのは,人の来歴や人格個性を徹底的に聞くという過程で,人から話を聞いてそれに共感するという発想が,人間コミュニケーション本能欲望合致しているからでしょう.生化学的な普遍性を唱えるような,これまでの科学的な発見などの話は重要ではないのです.むしろ通常 人は自分他人と同じであるとは思いたくないし,いや個性を持った独自存在だと信じたいということなのでしょう.


3.実際に,人間は一人ひとり(微妙には)異なった生化学反応をするはずです.だって遺伝子もそのメチレーションも若干は異なっていますから.とすると純粋理論的には,tailor-made治療法が考えられるかもしれません.これは実際に通常医学が目指す方向ですが,かといって代替医療実践している人にそういうことがわかるとは思えないし,実際に彼らの「個別化」が奏功しているというエビデンスも,ほとんどまったくありません.


というわけで,代替医療勧誘表現にあるように,通常医療は「同じような人間は同一であると考える」という科学的な「画一性」の前提を持っていることは疑いありません.それこそが医学経験科学であり得る理由なのですが,残念なことに,そうした前提自体を嫌うような人間本能があるように思われます




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2015-12-04 がんばれNATROMさん

皆さん こんにちは


NATROMさんのブログを再読していたら,彼が現役の医者であるということがよく理解できました.なぜかって,ボクは医療従事者ではないので,どれだけ代替医療無意味であることを読んでも,しばらくすると「まあ,個人が信じてる分には良いんじゃないのかぁー」というような考えに戻ってしまいますしかし,これがクセモノで,代替医療を信じて実践している人の多くは通常医療否定する傾向があって,そのために自分健康を害するだけでなく,その子ども関係者健康までも害しているという事実があるのです.


http://d.hatena.ne.jp/NATROM/


新生児ビタミンKを投与するのは通常医療では不可欠だと考えら得ているのに,ホメオパシーを信じていた助産師はその代わりになるというレメディ(単なる砂糖の塊)を(勝手に)与えて,その結果 乳児がなくなったという事件.これは,先日ネットでみた「ずんずん体操」のリスクと同じで,愚かな母親子どもを殺してしまったというものです.助産師公的資格なのに,そうした人たちが通常医療否定していることがあるという,残念な現実があるのです.


http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20151009#p1


真剣医療に向かい合っている人間であれば,こうした自分以外にも及びえるリスクというのは本当に通関するのだろう.ということが再び,ボクのようなヘタレにも理解されたのです.で,前に読んだ「代替医療トリック」をもう一度読んでみると,まったく同じことが書いてある(健忘症自分が情けないです).サイモン・シンの著作はすべて素晴らしかったのですが,やはり現実的重要性という意味では,本書が一番なのかもしれません.


なお本書の内容を繰り返しますが,鍼治療ホメオパシーカイロプラクティックにはプラセボ以外の効果はなく,ハーブは何らかの物質が含まれているために,ある種の効果はあることもありますが,それだったら効果を生み出す抽出成分を使った,より安価通常医療に頼るべきでしょう.エセ科学は他にも無限にありますが,もっと費用対効果の見込めるものに,公的・私的な資源は投入すべきだということになります






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2015-11-25 通貨・銀行信用・経済循環




皆さん こんにちは春秋社から,ついにオーストリア学派の決定版を,すばらしい装幀をもって完成出来ました.


僕の今年のほとんどすべての時間をかけた翻訳書「通貨銀行信用・経済循環」が出版されました.今年のはじめに春秋社から依頼が来たときには,あまりの分量に逡巡したのですが,ちょっと読み進めたり,調べたりすると,素晴らしい本であることがわかり,今年はほとんど全力投球しました.(おかげで,その当時やっていた別の活動を休止することになってしまいました.)


この著作は,おそらく経済学プロパーの部分としてはGarret Jones のTime and Money などと同じように思うのですが,1−3章に法律的会社における,銀行活動違法性預金をローンに貸し出す行為非道徳性が,その後のオーストリア学派経済循環論と整合しているのが,本当に素晴らしいのです.


僕はあまり倫理」というような考えを重視してこなかったので,むかしロスバードが同じような主張をしていた時には適当に読み飛ばしてしまっていました.今回,本書を訳して,「なるほど,倫理や法制度と経済には本質的関係があるのだ」と通関したわけです.これはまたレオーニやハイエクの考えとも軌を一にしています.こうした偶然(必然)には本当に数学のような美しさを感じます.


自分が物知らずだったということも,単純にありますが,できるだけ多くの人に読んでもらって,現状のマクロ経済学の「標準モデル」に従事する人にも,興味を持ってもらいたいです.また前書きには,カルボ(もしあなたカルボを知らなかったら,正直に行って,あなたマクロ経済学者ではない)によるオーストリア学派の再評価も載っていますので,ぜひとも(本物の)経済学者にも読めるものになっています.


あと,ヒックスによるオーストリア学派の再評価もぜひとも読んで下さい.サムエルソンは共産主義を認めましたが,ソヴィエトの最盛期でさえ,消費者満足度アメリカより低かったことは認めていないのがフシギです.



やや脱線してしまいましたが,現状のオーストリア学派の到達点として社会科学者すべてに読んでもらいたい一冊になりました 

よろしくお願い致します.m(__)m




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2015-11-14 幼児教育は効果があるか?


皆さん こんにちは


今日はヘックマンの小著の翻訳を読みました.これは彼の40ページほどの論文に対して,10人ほどの学者感想を述べ,それに対してまた20ページほど答えるという形で,150ページほどの著作になっているものです.


ヘックマンの論文のほとんどはフリーPDFで読めます.単純に言えば,ペリープレスクール,アベセダリアンの2つの幼児教育からすると,そうしたリスク家庭の児童への早期介入は10−15%ほどの投資リターンを生み出すという,ある意味で衝撃的なものです.これは認知能力IQ)の向上ではなくて,忍耐,努力,対人関係などの非認知的な能力の向上によって得られるというのも,重要結論です.


反対派の(主に自由主義者たち)人びとは,なぜヘックマンはペリープレスクールとアベセダリアンだけをとりあげ,その他多くの社会実験(それははるかに大規模なヘッドスタート計画などを含む)での,失敗例を取り上げないのか? と疑問視します.


結局のところ,こうした状況に対してもここが違う,そこが違うなどという言い訳無限にあるのですが,EBMと同じように,メタ分析をするしかありません.ノーベル賞を受けたほどの知性であるヘックマンがメタ分析をしたがらないのは,彼が経済学者であって,経済学ではメタ分析は未だにほとんど普及していないからだと思います.


しかし,時代は変わります.今後の経済学が「科学」と呼べるものになるのかどうかは,これまでの「精緻数学的な理論」ではなくて,「統計的実証」に重点が移るはずです.ちょうど友人が薦めてくれた「ソーシャル物理学」を読んで感じたことですが,結局,アダム・スミス以来の経済学者古代ギリシャ哲学と同じで,自然はこうじゃないの? とか議論はしてきたが,それを実証するための望遠鏡顕微鏡実験機器といったツールを持っていなかったのです.


今後,ライフログソーシャルグラフ安価に利用可能になれば,結局は何が重要で,何がどうでも良かったのかがはっきりしていくでしょう.だって古代ギリシャでは,空に投げられたボールには後ろから力が加わっているという考えが主流でした.しかガリレオからニュートンを経て,そうした考えは現実説明するには適切ではないということで否定されました.そういう意味では現在もっともらしい経済学の「理論」は将来的にはほとんど否定されそうです.つまり理論なしの「統計学が最強」というのは,本当に違いありません.結局,理論というのは現実説明するために存在するはずなのに,現実がはっきりしていなければ,理論を優先してしまうのが「知的な」人間限界なのでしょう.





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2015-11-13 教育の経済学

「学力」の経済学

「学力」の経済学



皆さん こんにちは

たまには経済学もいいかと思って,読んでみました.内容はつまり,エヴィデンス・ベースト・エデュケーション(EBE)の実例集で,よくまとまっていてとても読みやすいものです.


例えば,40人学級から35人学級にすると,国語の成績が若干上がるという日本研究.あるいは,アメリカでの大規模な介入社会実験によると,中学以降は習熟度別の授業のほうが,「すべての」学生にとって学習効果高まる


(まあ,教科内容の効率的学習けが学校制度目的ではないので,それでも全体で同じ学習をすることにも意義があるかもしれません.こうした命題そのものしかし,EBEによって確かめられる必要があります.あるいはみんなで学習すると,逆に思いやりのない人間になるという可能性もあるからです.本書でも,「平等教育」をすると,かえって他人への思いやりの無い子どもになる,という逆説が解説されています.なぜかって? それは論文の著者である阪大大竹教授が指摘しているように,「みんなが同じポテンシャルをもっている」という前提を素直に信じると,うまく行っていない人生努力不足のせいだということになるからかもしれないし,あるいはもっと単純なことで,そうしたウソの繰り返しに白けてしまうからかもしれません).


あと,子どもの才能を褒めると,勉強への努力をしなくなるが,努力を褒めると,もっと勉強するようになるとか,「勉強しなさい」と親が子どもに声掛けをしても,まったくムダか,あるいは反発する可能性があるため,時間をさいて,一緒に課題に取り組んでやる必要があるとか.こうした教育心理学的な知見は,けっこうまとまっているので,役に立つかもしれませんね.


こうした実験は非常に多く報告されてきていますが,日本では「実験」が倫理的理由から許されてこなかったので,不毛な議論が蒸し返される傾向があると本書でも嘆きが.またハイリスク児童の幼少期の介入には,10%を超える社会投資リターンがあるというヘックマンの研究も紹介されています.


それから,この本は「〜の経済学」と銘打たれていますが,経済学という「金の計算」ではなくて,「実証的,科学的な議論であるか,という点が重要です.政治学社会学は,つまり学者と呼ばれる人たちの言っている命題がただしいのかどうなのかを検証することができないことが問題なのです.

最後に興味深いのは,日本では文科省の全国標準学力調査を始め,ほとんどのすべての政府データ研究者に公開されていないことです.では誰が利用しているのか? 政府機関内部の「研究者」」という役人です.(税金でやっているのだから基本的には個人特定ができないかぎりパブリックにすべきだと思うんですが,,,,)また政府の発表していることは,第3者が検証できないシステムになってしまっています.う〜ん,残念.本書で指摘されているように南アフリカだけでなく,多くの国の政府データオープンドメインになっていることが多いのに.





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2015-11-06 暴力の解剖学


皆さん こんにちは


友人の勧めから,エイドリアン・レインの「暴力解剖学」を読んでみました.レインは著名な犯罪学者で,これまでいくつか彼の論文を読んできましたが,まとまった本を読んだのは初めてでした.また彼がオックスフォードで,ドーキンスから直接に利己遺伝子論を学び,当然にそれを犯罪行為に応用している点も興味深いものでした.


例えば,PETやfMRIの画像解析からは,犯罪者前頭前野の活性度が低い=計画的活動ができにくい,とか,あるいは凶悪犯では眼窩前頭皮質がよく発達していない=感情抑制ができにくい,などは,これまでにかなりスタイライズされた犯罪者大脳機能です.(だからといって,こうした特徴が当人を「免責する」かどうかは難しいところであり,そうした自由意志責任論への疑問も提示されています.)


その他にも,DHAなどが認知機能改善犯罪の抑止に効果的,とか,認知療法効果があることがあること,5HTTLPRのショート遺伝子を持つ人々=アジア人に多い,は幼児期虐待に弱いという遺伝子環境の交互作用,鉛・水銀ヨウ素不足などの純粋環境要因についても実例も交えて詳説しています


(なお,僕は(単に金がないという理由から原著で読んだのですが,彼のイギリス教養人的な表現にはやや違和感が残りました.外国語話者としては,彼自信が思うところを,もっと直接的に書いてもらいたい! つまり反語疑問文について考えるのは面倒なのであります.)


さて,こうした犯罪行動学という学問日本はまったく存在しない,またこうした学際的な研究者日本では存在していないのはなぜなんでしょうか? どうしてfMRIの機械世界で一番数多く設置されている日本にはこうした学問存在せず,ヨーロッパアメリカしかないのでしょうか? この地の集団的排他性,好奇心の欠如,学問セクショナリズム反省させられます


結論犯罪と呼ばれる人間活動に対する,現時点での統合的な科学的探求の名著です.スバシイのでオススメです.



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2015-11-04 孤独のグルメ

皆さん こんにちは


僕はやや現在メンタルに落ち込み気味なので,アマゾン先生オススメプライムビデオを見ています.僕はヘヴィーなアマゾンユーザーなので,当然プライム会員であり,映像無料で見れることになった(アリガトー!)ということで,ちょっと試してみました.



孤独のグルメ2

孤独のグルメ2



で,オススメされたのが,「孤独のグルメ」.これはテレビ東京政策テレビドラマなのですが,主人公中年男が,なんとなく,どこぞの駅周辺の料理屋を訪ねて,そこでの料理を楽しむ話です.ほとんどが彼の独白であり,料理そのものへのウンチクなどがまったくないのが,素晴らしいのです.まあ,例えて言うなら,庶民がよくあるような夕食メニューなんかを楽しむ内心を,そのまま主観的に,韻文のように,詩のように愛でる,という変わった趣向の番組(もともとは漫画)です.


人は何のために生きているのでしょう? もちろん,一人ひとりまったく異なっているはずですが,多くの人が,食事の楽しみを人生の目的にしていることはよく理解しています.僕はいろいろな本を呼んで,内心いろいろと感心したり,批判したりと,楽しいんでいるのですが,それが多くの人にとっては,食事ということなのでしょう.もちろん,僕もラーメンサラダ,その他を試すことは結構頻繁にあります


孤独のグルメ」というのはあんまり実態とは合っていなくて,むしろ一人で食べることに楽しみを見出す「孤高のグルメ」という方が適切な名前かと思います.体が疲れたりして,ボーッとしたい時にはオススメいたします



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