ルート181

とうとう『ルート181』関西での上映が決定しましたね、でも、各館毎たったの一日限りです。物忘れが酷くなってきたので、忘れないようにアップします。今日、24日の午後10時からNHKのETV特集で監督二人が登場します。これも見逃さないように注意しなくては…、色々な人からオススメが来ているので、『ルート181』はどうしてもみたい映画なのです。
高槻市立総合市民交流センター5階視聴覚室 1/21(土)14:00〜17:00
(付記:こちらはプレイベントでミシェル・クレイフィ監督のビデオ:『マアルール村はその破壊を祝う』が上映、『ルート181』の学習会が行われます)
大阪市阿倍野区民センター大ホール 1/29(日)10:30〜16:30
★ひと・まち交流館京都大会議室 1/28(土)14:30〜19:45
高槻市の方はプレイベントで予約は要らない。他は予約が要ります。長時間なので、昼食が出来る阿倍野ホールがいいかな、予約締め切りは1/27(金)午後6時まです。定員があるので早目にゲットした方がいいですね。【Tel:090-3840-0454(ルート181関西実行委員会専用電話)Eメール:route181kansai@gmail.com
詳細はこちらです。

ユダヤ人としての苦悩 私のなかの「ユダヤ人」

 作者のルティ・ジョスコビッツは今、現在、無国籍であるかどうかわからない。『私のなかの「ユダヤ人」』が最初に出版されたのは1982年である。その年の集英社のプレイボーイ・ドキュメントファイル賞をもらってのです。僕の手元にあるのは絶版になったのを三一書房が再刊した1989年版です。彼女はユダヤ人として1949年イスラエルに生まれるがキブツで写真家広河隆一と出会い、結婚を決意する。そして1981年、ルット・ジョスコビッツ・広河として日本帰化申請を出し、そのために法務省の指導で、まず、フランス国籍を離脱するように言われたので、その通りの手続きを行ったのです。だが、法務省は「あたなにフランス国籍を抜けと言った覚えはない」と言う。彼女は無国籍になった。フランスも日本も暗に「イスラエル国籍」をとれば問題解決になる言っているのです。でも、彼女にとってユダヤ人といえども自分が希望する人間になる権利がある、他人の望む通りにはいかないのだと、そのような異議申し立てのメッセージもあって本書を上梓したのだと思う。

 イスラエルは、その国々に生きる多くのユダヤ人にとっては外国である。しかもユダヤ人しか受け入れようとしない国だ。イスラエルではユダヤ教による結婚しか認められず、しかもユダヤ人同士でしか結婚する権利がない。日本人の夫を持ち、割礼(陰茎包皮を切除する宗教儀式)を受けていない息子を持つ私が、イスラエルの国籍を取ったからといって、一体何ができるだろうか。おまけに私も娘も息子も、成長すればその国に昔から住んでいたパレスチナ人と闘うために徴兵され、私はというと、そのパレスチナ人の昔住んでいた家の中に座って、子供たちの無事を祈れとでもいうのだろうか。

 辛辣である。作者は広河隆一氏と別々の道を歩んでいるみたいですが、本書が発刊されて15年以上経っているのですね。戦争報道写真家としての広河隆一はフォトジャーナリストたちの発表メディアとして『DAYS japan』を創刊したが、彼女は今どうしているのだろうかと、気になります。作者は「ユダヤ人とは何か」と、彼女の一家を足跡を辿りアウシュビィッツの底からパレスチナへと向かう内なる旅を本書で刻印するのです。
 映画 『ルート181』を見る前に再読したいと思います。
 付記:biiさんのコメントで初めて知ったのですが、ルティさんが『ルート181』の日本語字幕編集の監修をしていたのですね。