石立山は十数年ぶりでした。
当時、がむしゃらにピークを目指していたせいか、
つらく、きつい記憶しか残っていません。
石立山に行くとなると、意気込みというより、
覚悟したような、開き直りの気分になってきます。
・・・が、しかし、
山のことを知ってくるうちに、
この山の豊かな植生、
しかも、石灰岩地帯にしか見られない、
土佐固有の植物のある山であることが解ってきました。
そうだ「登山」ではなく「遊山」です。
どんな植生なのか・・・?
そんな想いで、登ってみたくなりました。
岩を這い、木の根をつかみ、ぐんぐん標高を上げていくと
以前には気づかなかった、ミヤマビャクシン(ヒノキ科の樹木)が、
やせ尾根にしがみついていました。
軽く百年は越えるだろうブナの大木や、モミ、ツガ、ミズナラ、
不入山でみたコウヤマキも凜と立っていました。
その地面は、広く張った根の上に沢山の落ち葉が積もり、
フカフカで、穴だらけです。
石灰岩の山には、蛇が多いと聞きますが、
まさか、その穴に冬眠中?
・・・・ いや、考えるのはやめよう。
その石灰岩の山肌の樹木に、多くのサルオガセを見つけました。
他の山で、見かける事もありますが、
急峻な、岩場の枯れ枝に沢山付いると、よく目につきます。
サルオガセは地衣類で、空気中の水蒸気を吸収し、成長します。
言わば、仙人のように、霞を食べて生きているわけですね。
干して煎じれば、胃腸薬や痰を押さえる薬にもなるこのサルオガセ、
良く見ると、そういえば薬になりそう、
身体に良さそうな、不思議な形態をしています。
湿り気があると、ゴムのように少し伸びるし、
乾いていると、ボロボロになったりします。
面白いですね。
今回の石立再訪、昔気づかなかった、植生の豊かさを再発見出来た事が、
極度の筋肉痛に変えても、実りある「遊山」でした。イテテ・・・