ゼロの使い魔 20〈古深遠の聖地〉

著/ヤマグチノボル イラスト/兎塚エイジ レーベル/MF文庫J

サブタイトルは「いにしえのせいち」と読みます。そしてこの巻を入れて残り3冊で終了と発表されました。つまり22巻が最終巻となります。MF草創期から7年に渡って続いてきた看板タイトルもついに結末を迎えることになります。
2011年2月末発売の作品なんですが、3月末発売だともしかしたら発売延期だったかもしれません。チェルノブイリとか放射能とか被爆とか核ミサイルとか出てくるので。ガンダールヴとして全ての武器を操る事が出来るサイトがついに手にしてしまった人類の作り上げし禁断の大量破壊兵器・核ミサイル。物語に拳銃が出てきたらそれは撃たれなければならない。創作の基礎だそうですが、核が出てきた以上それは使用されなければならないわけです。あと2巻で収集付くのかちょっと心配です。
女の子とのラブコメパートでは今までのルイズ・シエスタとの3P関係にティファニアが加わって4Pな関係に。ティファニアとは虚無の使い魔としての契約も結んでしまい(ルイズの使い魔でもあるので二重契約)もはや一蓮托生。週7日のうち5日がルイズ、2日がシエスタというサイトのただれた夜の生活がさらに乱れた方向に加速する事は想像だに難くありません。とりあえずエロゲライターやってただけあって、男の子が喜ぶ可愛い女の子やシチュエーションを書くのがホント上手だと思います。個人的にはティファが好きです(*´ω`*) おっぱい的な意味で。
そしてビッチ姫ことアンリエッタ女王陛下におかれましては、家柄は微妙ながらも実力で成り上がったゲルマニア王を身分が低いと見下していたりと相変らずの無能女王っぷりを遺憾なく発揮されておられまして、トリステイン王国の最大の不幸はこの国難の時期に彼女が最高指導者であった事に尽きると思わざるを得ません。だがそれがいい。だってビッチ姫だもの。世が世なら懺悔女王だの失地女王とか呼ばれるんでしょうね。・・・・・・湿地女王だとそこはかとなくえっちぃ感じ(*´ω`*)フヒヒ
閑話休題
6000年前に始祖ブリミルに何があったのか、地球とハルケギニアの関係と言った物語の核心部分、核兵器の登場、2つの世界を生きたサイトが迫られる決断、ティファニアのけしからんおっぱいetc...残り2巻で風呂敷を畳みきれるのか少し心配です。ヤマグチ先生には渾身のラストスパートを頑張って欲しいです。

シュガーダーク 埋められた闇と少女

著/新井円侍 イラスト/mebae レーベル/角川スニーカー文庫

えん罪により逮捕された少年ムオルは、強制労役で送り込まれた共同霊園で、自らを墓守と名乗る、美少女メリアと出逢う。死なない怪物“ザ・ダーク”を埋める穴を掘る日々のなかムオルは彼女に惹かれていくが――。

第14回スニーカー大賞《大賞》受賞作のダークファンタジー。大賞は涼宮ハルヒの憂鬱以来という事で2年くらい前にかなり話題になった作品です。ちなみに2巻が出ない事が既に作者によって明言されています。
ハルヒ以来となる大賞をとっただけあってとても面白かったです。ネタバレしてるので話題作をまっさらなまま読みたい人はスルーして下さいなのですよ(>_<)



ダークファンタジーと銘打ってあるように、プロローグから挿絵・話の随所に至って暗い終着点へとまっしぐらだったのが、最後の最後で全てをひっくり返して凄く希望のある終わり方をしていて良い意味で期待を裏切られました。色んな設定や伏線を絡めながらハッピーエンドへと導いた筆力の高さも秀逸です。いわゆる萌え要素を徹底的に排除し、バッドエンドを想起させる徹頭徹尾暗く救われない路線で話が進みながらも、主人公の墓掘りの少年とダークと呼ばれる異形を狩る墓守りの少女の恥ずかしくなるような恋物語が丁寧に綴られていて、最後に白雪姫(原典じゃないよ!日本で一般的なディズニーアニメ的な御伽噺の方ね)のラストの如く少年のキスで女の子が目を覚ますところはそれまでの主人公の気持ちの変遷や丁寧な描写も相まって素晴らしいの一言でした。白雪姫とは逆で毒リンゴの力によって生き返っちゃいますけれども。
という訳でとても面白かったです。イラストも作品に良く合ってました。お勧め。普通のラノベっぽくは無いけれども。

ひだまりスケッチ 1 ようこそひだまり荘へ

著/日暮茶坊 原作・イラスト/蒼樹うめ レーベル/芳文社KR文庫

蒼樹うめの人気4コマ漫画のノベライズ作品。原作は読んだ事が無くアニメも見た事がないので、はじめての血だまりじゃないひだまりスケッチです(エロ同人除く)。
特に何か起こるわけではなく主人公のゆのっちが入学してから初夏くらいまでを4章仕立てで優しくあったかいストーリーで描かれています。おそらく原作の雰囲気もこんな感じなのでしょう。
媚び媚びの露骨な萌えキャラが出てこなかったので、ほのぼのな日常を最後まで楽しく読めました。
ちなみに芳文社KR文庫は7冊刊行されたっきり全く新刊が出ない休眠レーベルです。その7冊のうちの1冊なので、そういった意味では貴重なラノベなのかもしれません。