よろず屋退魔士の返済計画 1 100億の契約書

著/SOW イラスト/蔓木鋼音 レーベル/オーバーラップ文庫

角川書店リクルート買収を契機にポケモンの支援を受けてMF文庫Jから独立し2013年4月に創刊された新レーベル「オーバーラップ文庫」の創刊ラインナップの1つ。
作者は確かメガミノベル大賞受賞者。
こつえーイラストのボーイミーツプリンセス「みすぷり!」を読んだ記憶があります。
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腐敗しきった退魔の名門「神堂家」を破門された主人公が、幼馴染の女の子に父親が借金した100億円を返済するために、インチキ霊能力者を介して幽霊たちの「他人にはくだらないけど本人たちには超大切な願い事」をかなえてあげて成仏へと導くお仕事をするお話。
100億円という額は若干無理ゲーな感じですが、主人公は名門の中でも1,2を争う能力者だったので、幼なじみのサポートも得つつ予定では10年ほどで完済できます。
1巻では文字通り命を賭して達成した大口契約もあり10億ちょっとを返済しています。
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債権者であり雇用主でもあるツンデレ幼なじみとの鈍感ラブコメがニヤニヤ。
鈍感のくせによくも他人の心の機微に触れられるものだな、みたいなヒロインの台詞が印象的でした。
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もちろんそれだけじゃ締まらないので最後は少しシリアス展開。
前述の大口契約というのがこれで、神堂家開祖ですら封印するのがやっとだった1000年の時を経た凶悪な祟り神を黄泉帰りの呪法でもって調伏します。
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作風が好きで補正入ってるのもあるんだろうけど、レーベル創刊ラインナップに入るだけあってとても面白かったです。
お勧め。

天翔虎の軍師 1

著/上総朋大 イラスト/庄名泉石 レーベル/富士見ファンタジア文庫

トーレ帝国の侵略により、シエルは祖国・フレリカ王国を失った。それから2年――帝国最強の軍師に仕えながらも密かに反逆の策を巡らす彼が、ついに表舞台に立つ! 軍師たちが火花を散らすファンタジー戦記、開演!

ファンタジア文庫4月新刊。
天翔虎は「カルーディア」と読みます。
奪われた祖国を取り返すために圧政を敷く帝国に反旗を翻した軍師シエルを主人公にした戦記物。
専門用語や数字満載のガチ戦記ではなくライト層向けに説明その他をバッサリ取捨選択してあって、かなり読みやすい作品。
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1巻は2年間の臥薪嘗胆を経てメインヒロインの王女を助けだして逃走、迫りくる縛吏を迎撃した後かつての祖国を締め上げる皇帝の従弟を撃破するところまで。
祖国復興のために集まった一芸に秀でた武人・文官たちを巧みに差配し、敵の大兵力を寡兵でもって打ち破る王道ストーリーでした。
王道の無いファンタジーなんてファンタジーちゃうんや!
囚われのお姫様助け出したりガンダム盗まれる場に居合わせて偶然乗り込んで戦うのは男のロマンなんや!
P11(子供の頃の約束)とP245(現在)のイラストの対比が印象的でした。
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イラストも可愛いし女の子も可愛いし、しっかり練られたストーリーラインをラノベ用に敢えて軽めに進行させる作者のバランス感覚がとても良い感じなのでおすすめです。
富士見ファンタジア文庫は良質な中世ファンタジーがあっていいレーベルだと改めて思いました。

蒼柩のラピスラズリ 3

著/あさのハジメ イラスト/菊池政治 レーベル/MF文庫J

真由香がダイヤモンドエッジと対話して能力覚醒させます。
セツナは霧谷雪奈で、6代目当主でした。
最後真由香が主人公に告白して次回に続くんですが、まよチキ!の次に期待させるヒキからの次巻冒頭のションボリ展開から察するにどうせ無かったことになるんでしょう。もう期待するのには疲れました。
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「革命軍(レジスタンス)」とか仰々しい名前の割に、実はラピスを殺したくなかったんだーとか、実はアリスは生きていたのとか、50年にわたる敵対勢力同士がちゃちゃっと同盟結んだのとかetc...言文不一致というか言葉の割に中身がしょぼくてギャップが切ないです。
あとまよチキ!と同じようなキャラが同じようなギャグするので新鮮味がほとんどありません。続きと言われても納得できます。
なんというかかなり微妙。