イザヤ42章・神が是認した僕イエス・キリスト

「見よ、わたしがしっかりととらえているわたしの僕を! わたしの魂が是認したわたしの選んだ者を! ・・・・・・彼は諸国民への公正をもたらすであろう。」(イザヤ42:1)


イザヤ42章には、エホバが是認して選んだ神の僕が登場します。その神の僕は、公正をもたらします。この神の僕とはイエス・キリストです。イザヤ42章の神が是認した神の僕に関する預言は、どのようにイエス・キリストに成就したでしょうか。


イザヤ42章1節から4節までが、マタイによる福音書に引用されています。そこで、イザヤ42章の預言がイエス・キリストに成就したことが述べられています。そこではイエスが人々をいやされたにも関わらず、ご自分のことを明らかにしないように人々に言い渡されたことが述べられています。(マタイ12:15,16)そしてそれは、イザヤ42章の成就であったと述べられています。


イザヤ42章1節から4節には、(1)神はその僕を是認し、愛される、(2)その僕は神の霊が置かれ、公正を諸国民に明らかにする、(3)その僕は、声を上げて叫ばない、(4)その僕は、打ち傷のついた葦やくすぶる亜麻の灯心を消さないことが述べられています。(マタイ12:15-21)


(1)エホバは、イエスが神が「是認した」「愛する者」であることを明らかにされました。イエスヨルダン川でバプテストのヨハネからバプテスマを受けられた時、エホバは天から彼に聖霊を注がれ、「自分の霊を彼の上に置(かれました)」。また、その時エホバは、イエスに対して「あなたはわたしの子、わたしの愛する者である。わたしはあなたを是認した。」という声を聞かせました。(ルカ3:21)


(2)またイエスはイザヤ42章の預言によると、「公正とは何かを諸国民に明りょうにする」ことになっていました。(イザヤ42:1。マタイ12:18)イエス福音書の中で「公正」について言及されました。それは、その当時の宗教指導者を糾弾されたときでした。


エスは書士とパリサイ人たちが、律法の犠牲の細かい規定を守りながら、「律法のより重大な事柄,すなわち公正と憐れみと忠実を無視している」と述べて、彼らを非難されました。(マタイ23:23)


確かに、律法を厳格に守ることも無視すべきでなかったとはいえ、イエスは、真の公正とは憐れみと忠実の伴うものであることを明らかにされました。


エスは生き方によっても公正とは何かを明らかにされました。当時の宗教指導者たちは、一般の人々を見下げていました。(ヨハネ7:49)しかし、イエスはその当時罪人とされていた人たちとも交わられて、エホバとその王国について教えられました。また、多くの病気の人々を憐れみの気持ちからいやされました。そのようにして、神の公正とは、人々に対する憐れみを特徴としていることを示されました。


(3)イエスは、どのように「叫びもせず、声を上げもせず、ちまたでその声を聞こえさせもしな(かった)」のでしょうか。(イザヤ42:2)マタイ12章にもあるように、イエスは、奇跡によって病人をいやされた時にも、その人がそのいやしについて他の人々に明らかにしないようにと命じられました。





エスは人々をいやされた



そのようにして、イエスはご自分の奇跡がちまたではなばなしく喧伝されないように取り計らわれました。イエスは人々が感情的に動かされることによってではなく、聖書の理解にもとづいて冷静に判断してご自分をメシアとして見分けることを望まれたのでしょう。


(4)また、イエスはどのように、「砕かれた葦を折らず、薄暗い亜麻の灯心については、それを消すこともな(かった)」のでしょうか。(イザヤ42:3)イエスは自分の罪の重さによって砕かれた葦、また消えかかった亜麻の灯心のようになっている人を、それ以上糾弾して、その人が罪の重さに押しつぶされてしまわないようにされました。(ルカ7:47,48。マタイ9:2)


エスは弟子たちに罪を悔い改めた人を許すように、人を罪に定めるのをやめるようにと諭されました。(ルカ17:3;6:37。マタイ18:21,22)人々が罪を犯したくないという願いを持っていることを信頼され、それ以上罪を犯さないように優しく励まされました。(ヨハネ5:14)


確かに、イエスは、イザヤ書で予告されたエホバ神が是認し選んだ僕でした。予告された神の僕であったイエスの言葉と生き方から、神の公正とは憐れみを伴うものであることが分かります。私たちはたとえ、罪を犯してしまっていても、悔い改めるなら神とイエスから、憐れみ深い扱いを受けることを信頼することができます。



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