- 作者: 二宮清純
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/06/20
- メディア: 新書
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
江夏豊の全盛期、「ツーストライクに追い込んでしまえばストライクはいらない。」わざとボールになる球を投げ空振り三振に切って取る。「どんなボールにも対応しなければ…」というバッターの心理を逆手にとって料理していた。1968年の401奪三振という空前絶後の記録の秘密とは?…本を見てね。
野茂英雄は、2ストライクに打者を追い込むと7割近い確率でフォークを投げる。
「もし、フォークを狙われたら?」
「狙っても無理でしょう。フォークボールはストライクゾーンにこないんですから。ワンバウンドになるボールを、どうやって打つんですか。それは物理的に不可能ですよ。」
工藤公康。「ネクストバッターズボックスでのスイングは一番自分の好きなコースを振っている。無意識のうちにね。もう見え見えですよ」「バッターボックス内の立ち位置の変化で狙い球が分かる」
そして最も感動したのが、通算代打本塁打27本の世界記録を残した阪急ブレーブスの高井保弘の高井メモだ。1974年のオールスターゲーム。セ・リーグが2対1と1点リードで迎えた9回裏。マウンドはヤクルトのエース、松岡弘にパ・リーグの野村克也監督は高井を代打に送った。そして球史に残る代打逆転サヨナラホームラン!(^◇^)
それから十数年後のインタビュー。「松岡にはちょっとしたクセがあってね。カーブを投げるときには左肩があがるけど、逆に真っすぐの時は心もち左肩が下がりよる。オールスターやから、それほど難しいボールは投げてこんやろうと思うて、ワシはストレートに的をしぼっとったんですワ。投げる瞬間、わずかに左肩が下がった!もろた!と思ってワシの好きな低めに入ってきた。」
実は、<高井メモ>という克明な投手研究レポートがあったのだ!そして最初に見るのが手のスジ。スジを見ればほぼ球種を当てることが出来るのだという。ひえ〜!(>_<)
高井は引退した今でも、バックネット裏に数十分もいれば、ピッチャーの球種をほぼ間違いなく言い当てることが出来るという。一振り稼業に生きてきた男の目はピッチャーのちょっとしたクセは見逃さない。水島新治の野球漫画『あぶさん』のモデルとも言われる。
実は400勝投手の金田正一は若かりし頃、練習中、真夏でも手首まである長袖のアンダーシャツを着込んで投げ込みを行った。「暑くないか?」と同僚が訊ねると「ピッチャーはヒジを冷やしたらあかんのよ!」と真面目な顔で答えた。これが新聞記者に伝わり、「プロの鑑(かがみ)。カネだの自己管理を見習うべし!」的な記事が紙面を飾った。
しかし、金田の真の目的は「手首のスジを隠すこと」にあった!当時そこまで注意深く目を光らせるスコアラーがいたとは思えないが、金田は用心に用心を重ねた上で、カムフラージュのセリフまで用意した。400勝はこうした「完全犯罪」の上に成立した不滅の記録なのだ!
カア〜!やっぱり極めた人の行動や視点はすごいね〜!見習わなきゃ!