2009-2-04でも書きましたが建物の高さを規定するものの一つに道路斜線があります。
その道路斜線の壁面後退による緩和という手法が登場したのは中曽根民活時代だったと思います。壁面後退距離に応じて道路の反対側から立ち上がる道路斜線制限がスライドし、後退距離の2倍分道路巾が広くなったと仮定する、今にして思えばデリバティブのはしりのような緩和手法です。さらに天空率計算そのものによる緩和が登場するのは最近のことで、これはパソコンの普及もあるでしょうが、年次改革要望が関係しているのではないかと推測します。推測ついでに言うと、ひところ人身事故をよく起こしていたシンドラー社のエレベーターの導入も年次改革要望がらみではないかと推測しますが、改革要望自体の問題なのか、メラミン入古米流通事件のときのように行政指導に大きな問題があったのか。
建物高さの話に戻ると、天空率計算の計算書はCADのデータとして出力した段階で、その気になれば簡単に数字を書き換えることができます。ソフト会社の人にこの問題について尋ねると「そうですよ」と涼しいお答え。この点は「善管義務」によるとして、なんともこうした緩和手法も方便に近い疑似科学といえば、まぁそうなのかもしれません。
ところでルネサンスベネツィアの建築家フランチェスコ・サンソビーニの書いた文章にダウラ法というのが登場するそうです。「ダウラ」はイスラム圏その他で「国家」を意味するそうで、ともあれ「かつてわが市民たちは統一と平等を示すためにダウラ法に従って建物の高さを揃えていたが、交易で富を得たものたちが違う高さのものを造った」といったことが書かれているそうです。
ひところ景観法の話をよくききましたが、最近はどうなっているのでしょう。この法律を推進されていた方々は、これは三文字法なので法体系上上位の法であるとよく言っていたように思います。ちなみに憲法、刑法、民法は二文字、都市計画法建築基準法は五文字、まぁ消防法は三文字、駐車場法は四文字・・なのですけどね。
いずれにせよ、この法律は機能するのか。機能したとして吉と出るのか、私は語る立場にはいませんが。