凍/沢木耕太郎

makisuke2005-12-05

凍今月の十日までに読み終えたいと思っていたこの本ー沢木耕太郎の「凍」を昨夜遅くまでかかって、読み終えることが出来ました。最強との呼び声が高い、クライマー・山野井夫婦が、ヒマラヤの高峰、ギャチェンカンに挑んだノンフィクション。読み終える目標だった十日は、私のトモダチが五年前に山で命を落とした。言うならば命日なので。私なりの墓参りの意味も込めて。

この本に惹かれたのは、以前、全く偶然にこの夫婦のドキュメント番組を見たことがあって、二人の人となりが記憶に強く残っていたことと、曖昧な記憶ではあるけれど、私は五年前に山で命を落としたトモダチから山野井さんというクライマーの名前を何度か聞いていた。その彼女がクライミングに夢中になっていったのも、確か、彼の影響があったはずなのです。


神々の山嶺(いただき)〈上〉 神々の山嶺 下 (集英社文庫) 以前夢中になって読んだ、夢枕獏の「神々の山嶺http://d.hatena.ne.jp/makisuke/20010304#p1)」のような派手さはないけれど、淡々とした文章から、充分に過酷なクライミングが伝わってくる。あまりに壮絶で絶望的で恐ろしい。読書という行為は経験していない大概のことを疑似体験できる素晴らしい行為でもあるのだけれど、クライミング小説だけは、そこに書かれていることの半分も理解できていないのではないか?という疑問が残ってしまう。とても心細いのだけれど、それでも、少しでもその世界に近づきたいという祈りのような気持ちで読んでいる。読み終えて、満足のような悔しいような気持ちになる。本当に向かい合いたいモノを見つけてしまった人たちの姿はいつも眩しい。少ない持ち物だけで生きている。私は余計なものばかりを抱えることで、日々をを紛らわしているのかもしれないなとそんなことをいつも思うけれど。とにかく、いろんなモノをかなぐり捨てて、山に挑み続ける彼らに、ココロからのエールとありったけの敬意を送りたい。少しでも高みへ「絶対の頂」へ近づいて下さい。と、そう祈りのような気持ちで。

発車〜オーライ〜

  
Amazonさんから届いた初代コロンビアローズの「東京のバスガール」を聞きながらのごはん。今夜も呑み処化しています。油揚にたたき納豆葱味噌のせ焼き/昨日の残り物(モツ煮と煮浸し)/鉄鍋で肉豆腐(鉄鍋は美味いのだけれど、どうしてもフォトジェニックに撮影できないなぁ…ので写真はカット)などなど。