野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

えずこホールにメッセージが届きました

3月24日のイベントで、ジョグジャで書いたメッセージが、中川真さん、佐久間新さんを介し、宮城のえずこホールに届き、4月12日の公演で展示されました。みなさん、大変な状況ですが、少しでも精神的な支えになれればと思います。(写真提供:海子 揮一さん)


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新聞にいっぱい載りました(+コンサートの報告追加しました)

一昨日のイベントが、6つの新聞で記事になりました。ジョグジャの人にも、いろいろインパクトがあったようで、よかったです。

日本のアーティストが、ジョグジャのアーティストとコラボレーション
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日本=ジョグジャのコラボレーション 別のやり方で友好を解釈する



アートが違いに橋をかける

(つづき)9月に日本で上演



ミスコミュニケーション演劇が登場〜ジョグジャのアーティストが日本の演劇と共演



インドネシアと日本のコラボレーション〜仕切りを壊し、緊密な仲間になる



日本〜ジョグジャ 4演目上演

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 一つ目の演目は、「DeKengka」構成/演出/振付:山下彩子、出演:山下彩子(ダンサー)、千田美智子(俳優)、音楽:やぶくみこ、という15分の作品です。この作品を下地に1時間強の作品に発展させて、9月には駒場アゴラ劇場でのフェスティバルで上演される予定です。ディス・コミュニケーションをテーマにした作品で、東京人のコミュニケーションとジャワ人のコミュニケーションの仕方は全然違うのですが、ジャワ人達は、大いに笑い楽しんでいたようです。
 2つ目の演目は、「Bisa Apa Saja(=なんでもできる)」というタイトルで、鍵ハモのソロをやりました。これは、即興だったのですが、司会の人が野村誠作曲の「Bisa Apa Saja」と言ったので、この即興を書き起こして、「Bisa Apa Saja」という作品にしてしまおうと思っています。ジョグジャ芸大の大学院生のアルト君は、あの演奏を聴いて、鍵ハモ+パーカッションでデュオをやってみたい、と提案して来ました。
 3つ目の演目は、山下彩子(ダンサー)、千田美智子(俳優)、Jemek Supardi(パントマイム)、Suwarto(ダンサー)、Ki Mujar Sangkerta(彫刻家)、そして4人の音楽家Yohanes Subowo、Haryanto Taliwangsa、やぶくみこ、野村誠でした。この作品は、ダンサー達は、進行に決めごとがたくさんあって、一応の筋書きなども決めていたようなので、即興ではありません。しかし、音楽家の方は、全て即興で音をつけていきました。このパフォーマンスは、日本人のダンサー/俳優が入っていたことで、ジャワ人にとっても新鮮な戸惑いや拘束になり、面白いものになっていたようです。山下さん千田さんのお二人は、ジャワ舞踊やジャワ人の舞踊観について全く知らないので、合わせているつもりでも、きっとずれや誤解が生じる。そうしたことが本当に交流としてもパフォーマンスとしても良かったと思うのです。(4つ目の演目については、また、追ってご報告しますね)
 実際、ジョグジャにいる日本人、インドネシアにいる日本人の多くは、インドネシアの文化が好きだからインドネシアに住み始めた人がほとんどだと思います。しかも、その多くは、ジャワ人に溶け込むべく熱心にジャワ文化を学んでいます。でも、彼女達は、やぶくみこさんが住んでいるという理由だけでインドネシアに1週間来て、リハーサルをしていたわけで、インドネシア語も話さなければ、インドネシア文化に詳しいわけでもない。そんなアーティストと遭遇し共演する機会というは、ジョグジャの舞踊家には希有な体験なのではないか、と思います。そういう意味で、これは事件だったのだと思うのです。
 ぼくも妻がジョグジャに住んでいるという理由だけで、ジョグジャに住んでいます。ジャワの文化を敬愛していますが、ジャワの音楽や舞踊を習ったりはしていません。それは、ぼくの役割が、ジャワ人達を刺激するという『外人』アーティストとしての役割をきちんと果たしたいと思うからです。そのことで、ぼく自身も大きな刺激を受けることができますし。
 山下+千田とジャワ人のコラボレーションを見て、ジョグジャのアーティスト達も、異文化からの刺激を欲していると確信しました。日本のアーティストの皆さん、ぼくは7月末までジョグジャにいます。1週間〜10日の短期滞在でも良いので、遊びに来ませんか?きっと、とんでもないコラボレートに巻き込まれますよ。

千田美智子さんブログはこちら
http://ameblo.jp/chida3chiko/

大学院の授業に1ヶ月ぶりに参加

 ジョグジャの芸大の大学院で、ワヤン・スニン氏の講義に出席。約1ヶ月ぶりの参加です。結局、日本で震災が起こり、その後、ずっと日本の復興を応援するイベントの準備で忙しくなり、3月24日にイベントが終わった後は、体調を崩し行けなくなり、4月に入って体調は回復しましたが、山下彩子さんと千田美智子さんが日本からやって来た途端、様々なコラボレーションが始まり、やはり授業に行けませんでした。ということで、本当に久しぶりに講義に参加しました。
 1ヶ月ぶりに参加してみると、インドネシアのリスニング能力は、若干向上しているようで、以前よりは話の内容が分かるようになってきました。本日は、修士論文の書き方について、話していたのかと思います。

1)Latar Balakang(=バックグラウンド)
2)Ide Penciptaan (=創作のアイディア)
3)Tujuan  (=目的)
4)Sumber (=情報源)
5)Metode/ Proses (=方法/プロセス)
6)Ulasan Karya (=作品の考察)
7)Daftar Pustaka (=参考文献)

といきなり説明が始まりました。12星座をアイディアに作品を作る学生もいれば、津波をテーマに作品を作る学生もいて(スマトラアチェ出身の人ですから津波を近郊で経験したのでしょうね)、ジキルという神に捧げる祈りをテーマに創作をする学生もいたりするようです。テーマは何でもありなのですが、それを、大学院レベルの研究として提示するには、理論を適用していく(aplikasi teori)ことがアカデミックなのだ、と先生は力説しているようでした。その理論も既存の理論もあるけれども、自分自身の方法(cara sendiri)でも良いと言っているようです。Apa(何を?)、Kapan(いつ?)、Bagaimana(どのように?)と、常に自問して、テーマを明確にしていくことが重要とのこと。
 来週は、いよいよ学生達がそれぞれのテーマで発表します。楽しみです。