ケータイにおける自己紹介系サービスのマルチメディア化 〜「プロフ」から「CM」に!?〜

カンタンに自己紹介CMが作れるモバイルサービス、「ツクシィ」がリリースされた。 


サイト上に用意されたCMテンプレートを選択して、いくつかの質問に答え、CM作成ボタンを押すと、自動的に自己紹介CMフラッシュが生成される・・・というサービス。質問項目は「前略プロフ」とも連携させることができる。
とくにSNS機能がついているわけではないが、作ったCMのURLをカンタンに共有するための仕組みはきちんと作られており、「前略プロフ」同様、ヴァーチャルコミュニティではなくリアルコミュニティでメールや赤外線を用いて交換・共有されることを狙っていると考えられる。


サイトや文言のトーンを見れば明らかだが、ターゲット層はもちろん女子高生。
親しみやすいサイトデザインや、かわいいキャラクターを採用したCMテンプレートなど、それなりに受けそうな予感。CMの長さ、質問の量もストレスのない程度に収まっている。


ただ、「前略プロフ」並にヒットするかどうか・・・というと、1点だけひっかかるポイントがある。
「オリジナリティのだしにくさ」だ。
前略プロフ」の場合、質問項目やデザインテンプレートや素材が豊富であること、また基本的には文字・画像のみで構成されているため少しHTMLの知識があれば自分でもンタンにデザインテンプレートを作れる。その結果、非常にオリジナリティが出しやすいメディアとなり、自己表現欲求の高い女子高生たちの間で爆発的に流行った。
「ツクシィ」の場合を見てみよう。「動画(Flash)」という面白さはあるものの、テンプレートの数は少なく、質問項目も増やせない。しかもケータイでFlashコンテンツを作る・・・となると、ある程度の専門知識が必要となるため、大半のユーザーはサービサーが提供するテンプレートを使うしかない。つまり、「なんとなく新しくて面白いんだけど、オリジナリティが出しにくくてつまらない」自己紹介サービスになりかねないのだ。



これは、「ツクシィ」に限ったことではなく、マルチメディア化がもたらすデジタルデバイドという、webサービス全体が抱えている問題だと思う。
いくらYouTubeニコニコ動画が流行っているといっても、そこに作品を投稿しているユーザーは確実にマイノリティだし、そもそも利用していないひとだってたくさんいる。ブロードバンドが普及して、文字だけのコミュニケーションから画像、音声、動画とさまざまなメディアを使ったコミュニケーションへとシフトし、サービスの機能が拡充していった。しかし、その技術の、マルチメディア化の流れについて行けているユーザーはどれだけいるのだろう?パレートの法則が絶対とは思わないが、やっぱり2割程度なんじゃないかと思う。


重要なのは、「どれだけカンタンに、多くのひとにマルチメディアコミュニケーションを楽しんでもらうか」ということ。たとえば、それはアプリケーションの簡易化だったり、blogサービスであったりするわけだけど、それも臨界点が近い。そろそろ本腰入れて、真の意味でのリテラシーの教育体制の確立・強化をしていかないとやばいんじゃないだろうか?別に全員が全員、FinalCutとAfter Effectをバリバリ使いこなしてコンテンツ作って、PHPガリガリとサービスを作れるようになる必要なんてないが、理論というかフレームワークというか、「こういうものはこうやったら作れる」みたいな大体の考え方を把握しておくことが大切なんだと思う。


「ツクシィ」に関しては、これがきっかけで高校生が遊びでFlashコンテンツ作って、昼休みに友達と赤外線で交換しあう・・・なんて時代のきっかけになるようなサービスになったら、それはそれで面白いよね、っていうお話。
とりあえず、現状のサービスについて言うなら、一回CM生成したら飽きるし、ぶっちゃけ出来たモノも「・・・」って感じだから、あえて共有したい!という気にもならないし、どうなんだろうなぁ。まあ、ターゲット層からは外れているので、仕方ないのかもしれないがwww