meineko’s blog

元つくばの某独立行政法人勤務の植物屋です。最近は、ほぼ、突発天体の話題です。

いるか座新星の写真

いるか座新星のキャンペーンサイトでは、写真の募集をしています。
写真を送る送らないにかかわらず、せっかくの機会ですので、写真を撮っておきましょう。


撮り方は、ペルセウス座流星群を撮ろうと思った方は、その時の方法のままでokです。
ただ、ISOの設定は、あまり高感度にはし過ぎずに、800くらいまでにとどめて置くのが無難なようです。
で、記念撮影なら、露出をうんとかけて天の川も綺麗に写るようにしてもいいのですが、明るさを測ろう思う時には注意が1つだけあります。
飽和してしまわないように、露出時間や絞りに注意する必要があります。
具体的には、最初は、露出時間を何段階か変えて撮ってみて、後で、室内で、ゆっくり、確認をすれば良いと思います。
固定撮影の場合は、星が流れるので、あまり飽和には注意を払わなくて良いのですが、ガイド撮影の場合は、注意が必要です。
新星が明るいので、案外、短い露出でも飽和してしまいます。
場合によっては、すこし、フォーカスをぼかして撮ると良いかもしれません。


で、飽和しているかどうか確認する方法ですが、Ngaさんに教えていただいた方法は、PCが必要ということになってしまいますが、マカリ等のソフトで画像を読み込んで見て、星像の形を確認します。富士山の様に頭が平になっていたら、飽和しています。
#ステライメージを持っている方は、ステライメージでも確認できます。


なお、測定には、RAW画像のほうが、Jpeg画像より、情報が失われる可能性が低いので向いています。


(追記)
測光には向かない悪い画像の例
https://meineko.com/etc/bad-example.jpg

  • JPEG(JPEGでも必ずしも悪いわけでは無いのですが、RAW推奨)
  • 露出が長すぎて、新星が飽和してしまっている。
  • 線等が描き加えられていて、測定の邪魔


あと、トリミング等も行わないでいただくほうがベターです。
広い範囲が写っていたほうが、多くの比較星が使えます。


RAWとJpegの違いなのですが、最近のデジカメでは、内部14ビット処理、14-12ビット記録なのですが、JPEGにすると、JPEGの規格の制限から8ビット(各色8ビットx3)になってしまいます。
もったいないです。
飽和もしやすくなります。
14ビット=16384階調
12ビット=4096階調
8ビット=256階調
です。

新星

さて、そろそろ、新星って何って話を書かないといけません?
新星は、新しい星とかきますが、新しく星が誕生したわけではありません。それまで、星がないと思っていたところに突然明るい星が現れたので、昔の人は新しい星と思ってそういう名前をつけたようですが、元からあった星が急に明るくなる現象です。
いるか座新星の場合も、まだ、確実には確認されていませんが、もともと、17等くらいの星があって、それが、明るくなったようです。
で、どうして、明るくなるかというと、白色わい星の表面で核融合の暴走が起こって、表面が吹き飛んで、膨張して、急に星が大きくなったようになるので、明るくなります。


実は、新星になる星は、白色わい星と普通星の連星で、お互いの距離が近いので、普通のほう星の表面の水素が、白色わい星の表面に流れ込んで溜まります。
#すこし、詳しく書くと、普通の星のほうが少し進化が進んでいて、ロッシュローブを満たすまでに膨らんでいるので、ラグランジェ点を超えて外層の水素が、白色矮星のまわりの引力にそって流れ込みます。降着円盤をつくって、徐々に白色矮星に落ちていきます。あぁ、説明書くの難しい。
これが、ある程度の量以上溜まると、温度が上がって、核融合を起こします。
この核融合反応が急速に起こって、表面を吹き飛ばして膨張するのが、新星です。
百聞は一見にしかず?で、想像図。
表面に少し影響を与えるだけですし、相手の普通の星もそのままですので、(この状態が保たれる間は)しばらくすると、また、新星爆発を繰り返すと考えられています。
これは、星全体が吹き飛んでしまう超新星とは異なる現象ですし、同じような連星ですが、核融合でなく、降着円盤に溜まった物質が間欠的に急速に白色矮星に向けて落ち込んで、円盤の温度が高くなるので明るくなるわい新星とも、別です。


さて、なぜ、白色わい星の表面に降り積もった水素が爆発的に核融合を起こすかです。
水素が降り積もって、白色矮星の重力で圧縮されて、圧力で温度が高くなって温度が上がります。
白色矮星の重力と圧力(温度依存)が釣り合っている間はいいのですが、ある程度の量が降り積もって温度も相当高くなると、白色矮星に表面に近いところで核融合が始まります。
そうすると、粘度が急速に低くなって、降り積もっていた水素が一気に白色わい星の表面に落ち込んできます。
ところが、表面にぶつかってそれ以上落ち込めないので、圧力(温度)がますます上がって一気に反応が連鎖的に進みます。
こうして、爆発的に核融合が進んで、温度と圧力が上がるので、表面に積もった水素ガスを吹き飛ばされます。
温度も高いし、表面積も広がるので、明るさが急激に増します。これが新星です。
#合ってる?嘘書いていたら、指摘して。
#いや、大学の授業で、なぜ、核融合が静かに進まないのか習ったんだけれど、思い出せないw
#ちなみに、教養の授業です。わたしは、天文の専攻ではありません。どういう授業でしょうね。レベル高過ぎ?


(追記)
Wikipedia(英語)の記述を読んでいると、だんだん嘘を書いている気がしてきました?
積もった後、ある時核融合に火がつくんでなく、普段も定常的に静かに核融合は起こってるけれど、あるときに、暴走する??
とりあえず、今晩、シリーズ現代の天文学か、Classical novaeを読み直すorz

恒星 (シリーズ現代の天文学)

恒星 (シリーズ現代の天文学)

Classical Novae (Cambridge Astrophysics)

Classical Novae (Cambridge Astrophysics)


(追記2)
相手の星についても、曖昧に書かずに、いつも使ってる表現で書いておきます。
主系列星か、それよりやや進化の進みかけた星ですね。
で、連星の進化なので、素直に、お互いの星が進化してきたかというとそうでも無く?


(追記3)
Wikipediaにも、stableな核融合を起こすには、accretion rateは、狭い範囲に限定されるって書いてありました。
だから、やはり、stableな核融合は起こっていないと考えていいのですね?
っていうか、Wikipediaを読んでもらうのが早い?ただし、日本語以外限定?


(追記4)
さて、新星爆発の解説は、人に説明しようと思うと、きちんと理解できていないのがばれるという良い実例でしたが、
Mhhさんに、Twitterで教えていただいたところによると。

(白色矮星は縮退していて)縮退していると圧力が温度に依存しなくなるので、核反応で温度が上がっても、膨張して密度・温度が下がって核反応率が下がるというフィードバックが働かなくなり、いったん核反応が始まると暴走的に進みます

核反応率は温度に強く依存していて、温度が少し上がると反応率が大きく増加することも反応が暴走的に進む理由の一つです

とことです。


Iakさんに教えていただいた理科年表のサイトの新星の説明、さすがに、専門の方が書かれるとよくわかりますね。
#おい、新星の専門家じゃないのか>自分
#いや、理論は、弱いもので。
#というか、判った気になっていても、人に説明しようと思うと、曖昧に理解していたところでぼろが出るorz
#わかっていても、だんだん自信がなくなってしどろもどろになる?言い訳。

いるか座新星の分光

CANPで知り合いの某氏からも、簡易グレーティングと簡易CCDで、スペクトルを撮ってみましたと、連絡をもらいました


手軽なのと、物理観測の基本なので、明るさを測りましょう(測光観測)を呼びかけていますが、明るい新星なので、分光観測も楽しいです。
本格的にやるには、それなりの分光器を用意する必要があるのですが、簡易的には、カメラレンズの前に、レプリカグレーティングをつけて撮るだけでもいけます。
#スペクトルに分散させると暗くなるので、追尾は必要かも??
望遠鏡にカメラをつけている場合は、光路中、カメラの直前に入れてやります
#もっと安く済ますには、レーザープリンターで、OHPシートに線をかいてやるだけでも。この場合は、線の間隔が広いので望遠鏡の筒先に。


新星の外層の希薄な部分から、輝線がでていて、それがよく写って楽しいです。
わたしは、まだ、いるか座新星を撮っていないので、以前のへびつかい座新星の例