今年も福島の子らのキャンプ


 第6回目になる福島の親子を招くキャンプが14日から始まりました。いつものとおり、地球宿がベースキャンプで、どあい自然公園の「どあい冒険くらぶ」が幕営地です。
 あいにく天候が雨模様ですが、黒沢の谷に子どもたちの元気な声が響き渡っています。15日の午前は畑でジャガイモ収穫、昼は流しそうめん、午後は雨具を着て谷の探検でした。

ハマ隊長の田んぼはキャンプ場の下にあります。小さい田んぼです。そこをぐるりと回って探検の始まりです。
先日、この谷にサルの大群が現れて、カボチャやキュウリなどをごっそり持って行かれたそうです。犬のシロちゃんを放せばいいけど、放せばどこまでも追いかけていくから、やれなかったそうで。サルも、犬の限界をよく知っていて、たかをくくっています。
探検途中、自然公園の木にカブトムシがいるのを6年生の子どもが見つけて、二匹とりました。 




ハマ隊長手づくりの大テントの下は憩いの空間。雨水はドラム缶に流れ落ちます。ハマ隊長、何もかもを自前でやっているから、たいへんです。ハマ夫婦は毎月「子ども冒険くらぶ」の活動をしていて、遠くからも子どもが冒険を楽しみにやってきます。ハマ隊長は若かりし頃、世界を一年間ヒッピーで回ってきたそうです。ひょうひょうとして、ユーモアたっぷりで、ちょっと間が抜けた感じがするけど、実はよく気の付く人で、やさしくて、子どもたちのアイドルです。





本を読むのが好きな子がいます。雨の日は、こうしてゆっくり本を読む暮らしはいいね。キャンプ場に、何十冊か本が置いてあります。
今年の青年スタッフに、ニュージーランドに留学していたかわいい女の子が入っています。サキちゃんです。実家は名古屋で、よく子どものころから家族で信州へ遊びに来たと言います。以前から安曇野に来たかったし、こういう活動がしたかったそうです。





この大きな車は、電線工事の電線を巻いていたものだな。これを転がして遊ぶのもおもしろい。
動くものには子どもは敏感です。三人の男の子が、キャンプ場の端から端まで転がして行って、何度も往復して……。それだけで楽しい。ハマ隊長は、この車を転がすときは、上に乗らないこと、と危険について注意しました。






大木の上の基地です。すごい巨木です。去年までここにターザンごっこのロープがぶら下がっていたけど、あれ! 今年は見当たらないね。はずしたんかな。こういう基地もメンテナンスが必要です。底が抜けたら大変です。










この建物のブルーシートの下がドラム缶風呂です。風呂焚きはいつも塗装名人のオ―じいちゃんがやってきて、薪で沸かしてくれます。お風呂の水は川からホースで汲み上げ、二つのドラム缶に水を入れて風呂を沸かします。火守のおじいちゃんの横に、スタッフのサキちゃんが座って、おじいちゃんの話を聞いていました。おじいちゃんは、昔サウジアラビアで一年間、アメリカの施設の塗装をしたそうで、そのときのアラビアの暮らしの話でした。イスラムではアルコールはご法度、しかし施設内ではウイスキーもたっぷり飲めたそうで、それが楽しみだったそうで……。

ドラム缶のお風呂は、男の子が4時から、女の子が4時45分からです。みんなへっちゃらです。尻込みする子はいません。








森の中のキャンプは野性の暮らしです。食事の準備は火を燃やすことから始まります。焚きつけはスギの枯れ葉です。紙は使いません。スギの葉が燃えだし小枝に火が移り、だんだん大きな薪が燃え始めます。男の子は、火たきが好きです。あまり大きな火になると、上にある大シートに穴があくので気をつけてと、ハマ隊長が注意しに来ました。









親子のヤギは人なつこいです。ハマ夫妻が飼っています。草をバクバク食べてくれるので、大助かりです。
今年飛び入りで地球宿のウーファーにやってきたドイツ人のトビアス青年も、キャンプのスタッフです。トビ―は東京で日本語の勉強もしていて、いくらか会話ができます。ドイツの大学では心理学を専攻したそうです。日本の古美術や古い文化を勉強したくてやってきたと言います。2時間ほど、トビ―と今の日本とドイツについて話し合いました。彼は日本の現実についても、かなりよく見ていました。森の国のドイツではたっぷり休暇を取り、森の中へ入って自然に親しむが、日本人は残業が多く仕事に追いまくられているように思うとか、ドイツは日本のように学歴社会でなく、子どもたちも成績至上の競争社会でないことなど話してくれました。今度の安倍政権の閣僚に東大卒がたくさん入っていて、政治の世界もランクが強いことに驚いていました。メルケルさんの話、ミヒャエルエンデの話、シュタイナーの話などもしました。
 このキャンプのように自然の生活をみんなでつくることが、現代日本人には必要だと思うと、トビ―は言いました。