ギンリョウソウ


金曜の午後から土曜一日は束の間の晴れで日曜はまたまたぐずついた週末だった。きょう20日二十四節気の「穀雨」。穀物をはじめとした万物の生長を助けるはずの雨。けさ第一輪目が咲いた庭の牡丹にとっては、とんでもない「酷雨」のようだ。大輪を容赦なく雨と風が濡らし、揺らす。


徳川園の牡丹などはワラでできたフードでガードされていて結構だが、なまくらな年金生活者の家庭に育てられているウチの牡丹は気の毒だ。それでも、数年前までは雨の降りそうなときは傘をさしてやっていたものだが最近は冷え切った関係になってしまったようだ。


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話を「穀雨」に戻そう。今年はすでに雨が降り過ぎて、太陽の恵みが足らず、農作物の生育が心配されているようだ。土曜の新聞で4月上旬の東海地方の日照時間は例年の3割を切ると報じていた。


とはいえ、世の中さまざまだ。この雨続きが却って幸いしている場合もあるものだ。日曜の中日新聞の地方版。豊川市の寺の境内の目立つ場所でギンリョウソウが見つかったそうだ。通常、山林の湿り気のある腐葉土などで生育する植物なのだ。雨続きのせいで現れたようだ。



このギンリョウソウ、いまから4年前の5月下旬のこと。生涯学習講座「ふるさとの自然」で茶臼山高原道路の入り口にある標高1000mを超える面ノ木原生林の中で初めて見た植物なのだ。森の中にはブナを始め、ミズナラ、モミ、カエデなど多くの大木が生育していて、昼間でも薄暗いようなところが多い。


先生の説明によると、ギンリョウソウは暗い林の中で腐った木や枝葉につく植物。光合成をしないので自分で栄養分を作り出すことができない。寄生した菌類を介して周囲の腐った植物から栄養をとる。花の姿を竜に見立て白銀色をしているところから銀竜草と名付けたとのことだ。


あんな山の中の昼なお薄暗いような場所で見かけた植物がまちなかの寺の境内で見かけられたというのだから驚きだ。これというのも、雨続きのせいだろう。太平洋の水爆実験の影響でゴジラが生まれたように、雨続き、日照不足が何をもたらすかわからない。まちなかで出現したギンリョウソウがその前兆でなければいいが・・・。