魔法少女リリカルなのは 第1話「それは不思議な出会いなの?」

とらいあんぐるハート3からのスピンオフということですが、原作は未プレイにつき特に予備知識無し。魔法少女ものは基本的に好きなので期待です。美少女ゲーム出自の深夜枠作品ということでどんなものかと不安半分でしたが、初回はお約束をしっかりとなぞりつつ作画も丁寧で、実にスタンダードというかオーソドックスな出来と見えました。取り立ててあざとく見えるところも少なく(変身シーンはちょっと裸過ぎな気がしましたが……)まずは安心です。カードキャプターさくらを思い起こさせる部分も結構ありましたが、系統的にはプリティサミーでしょうか。良作だった先達にどこまで追いつき、あるいは追い越せるか、楽しみです。

……しかしなんですかね、オーソドックスな作りなのは良いのですが、それはそれで返って違和感があるといいますか、本来子供向け、それも女の子向けジャンルであるはずの魔法少女ものが深夜に普通に放映されているという現状に歪みを感じてしまったりもしますね。

魔法少女リリカルなのは 第2話「魔法の呪文はリリカルなの?」

ええと、自分はやはりこういうジャンルに弱いようです。なにかこう、無条件で萌えてしまう。もちろん、作品としての出来がとても丁寧でいい感じなためでもあるのですけどね。今回は色々説明が入りましたが、「魔力をもった宝石が暴れている」というのは、まあ「カードが暴れている」とほぼ同義でしょうか。でも魔法少女の王道的ライバルキャラも今後現れるのでしょうから、その辺どういう展開となりますか。なのはがユーノの手助けをする理由として、「話を聞いたから」ということ以外の動機付けがないのが少し弱い気がしますが、お人好しぶりは描かれてますので納得の範囲内ですかね。バトルシーンは2話目にして起動呪文も変身シーンも省略という、なかなかの意外性で作画の迫力も十分。今後の期待値が上昇する第2話となりました。
ところで、タイトル語尾は「なのは」にかけてたんですね。一話では気づきませんでした。

魔法少女リリカルなのは 第3話「街は危険がいっぱいなの!?」

なのはのモチベーション補強の回。自分が見逃したジュエルシードのために町に被害が出てしまい、これまでの「お手伝い」から「自分がやる」に、なのはの立ち位置が変わるというエピソードでした。前回まで、魔法少女をやる理由が「なのはの善意」というだけでは弱いかなと思っていましたが、なるほど、こういう流れで来ましたか。客観的に見ればユーノの言うことがもっともで、なのはには別段責任まではないように思えますが、目の前で色々崩れ去った町並みを見れば、なかなかそうも割り切れないのでしょう。そんな状況を示すべく、帰り道でも壊れた道路や塀などがはっきりと描かれていましたね。実際これは大損害で、建物のみならずけが人も出てしまったはずです。このあたりの描写は、似たような状況だったカードキャプターさくらのアーシーの回ではうやむやにされていただけに、興味深い対照でした。
絵的には遠距離魔法がとてもかっこよかったですね。魔法初心者であるなのはが何を根拠にあそこまで自信を持って使えるのか、ご都合主義といえばそうなんですが。今回も安定して楽しめるできでした。
ただ一言加えますと、以前も書いたのですが変身シーンが素っ裸に近いのがどうしても少し引いてしまいます。うがった見方かもしれませんが、そこだけ妙にこびてるような感を受けてしまうんですよね。基本の出来が良いのだから普通でよいのに……。魔法少女の変身シーンは何よりの燃え&萌えポイントですから、ちょっともったいないです。

魔法少女リリカルなのは 第4話「ライバル!?もうひとりの魔法少女…なの!」

ライバル少女登場。黒っぽい衣装に金髪というのが実にツボを押さえています。でも「私と同い年くらい」という設定はどうでしょうかね。どう見てもあんな大人びた9歳はいないだろうと思ってしまいます。まあこの辺はなのはにしても同様で、多少設定年齢上のほうが良かったのではないかと感じるところなのですが。ともあれフェイト・テスタロッサさんはまだまだ正体不明なようです。ただ、「悪い魔法に操られている」とかそういう感じではなさそうですね。あくまで自分の意思で行動しているようですが、さて……。
それにしても、街の広々とした区画割りといい、休日にお屋敷でお茶を楽しみところといい、基本的に上流階級な人々ですなあ。

魔法少女リリカルなのは 第5話「ここは湯のまち、海鳴温泉なの!」

重々しくて実に強そうだった獣は、実は変身すると派手なお姉さんになるのでした。……というあたりはさておき、再びなのはとフェイトが邂逅。ジュエルシードを集めるという目的が一緒な以上、協力できる可能性もあるわけで、なのはが話し合いを申し出るのは性格的にも理屈的にも至極もっともと言えましょう。それだけにフェイトのほうが問答無用で戦いに持っていくのはどうかと思いましたね。もっとも、彼女も母親に言われて集めているだけで理由は分かっていない様子ですが。「言葉だけでは伝わらない」というのも、母親との関係が影響しているセリフなのでしょうか……。一つの戦いは終わりましたが、二人のやり取りはまだ途中。来週は、なのはの過去エピソードも絡ませつつ、もうちょっと突っ込んだ会話が聞けそうで期待大です。
ところで、なのはのモノローグ「今日はお子様らしく年相応に」っていうのには苦笑でした。いったい精神年齢どのくらいなのですかと聞きたくなってしまいます(笑)

魔法少女リリカルなのは 第6話「わかりあえない気持ちなの?」

今回は、これまでただ良い子として描かれてきたなのはにも、割と頑固だったり、内に抱え込んだりするところがあるということが出てましたね。いくら幼い頃(今でも十分幼いはずですが……。どうしても設定年齢には違和感がでます)とはいえ、他人をひっぱたくような面もあったとは意外でした。でもやっぱり、強くて良い子です。
フェイトとの対話をはかるなのは。前回に引き続きその主張は実にもっともでしたが、フェイトの発言はアルフに止められてしまいました。その糾弾するかのようなアルフの言葉には、なのはも結構ショックだったかもしれませんが、今後彼女がどう答えていくのか。このへんも興味深いところです。
それにしてもここに来てお話は次回へ続き、その上またも新キャラクター登場とはなかなかせわしいですね。やはり全13話というのはどうしても急ぎ気味になってしまうものなのでしょうか。キャラクターも世界観も魅力的ですから、26話くらいかけてゆっくり見たい作品なのですけど。

魔法少女リリカルなのは 第7話「三人目の魔法使いなの?」

「やっぱりレベルの高い作りだなあ」とあらためて思わされた回でした。前半のなのはのお姉さんの練習風景は、朝の光が差し込む道場に静謐感と緊張感が感じられました。そして後半はフェイトと母親プレシアとのやりとり。虐待されながらも母親を信じようとするフェイトの姿が痛々しく、そんなフェイトを思うアルフも、なのはに対して見せる厳しさとは違うやさしさが印象的でした。これだとジュエルシードをただ「集める」だけのなのはよりも、フェイトに渡したくなってしまうくらいです。もっともそれではプレシアが何をするか分かったものではありませんけどね。
タイトルにもなった問題の魔法少年は最後に二人の前に登場。クロノ君ですか。てっきりまた女の子かと思ってましたが、良く見るとタイトルも「魔法使い」でしたしね。リンディさんの弟でしょうか? 突然時空艦やらなにやらが出てきたのは驚きましたが、考えてみれば最初も異世界の科学力はちょっと出ていましたので、何とか世界観の範囲内といたします。
「私が勝ったら……ただの甘ったれた子じゃないと分かってもらえたら、お話、聞いてくれる?」前回も垣間見せたなのはの強気な一面が現れたセリフでした。高町家の武道の血は争えないといったところでしょうか。勇ましいです。

魔法少女リリカルなのは 第8話「それは大いなる危機なの?」

クロノ君は艦長の弟ではなくて息子さんでしたか。なのはの家族といい、親の年齢が判然としない作品ではあります。さて、時空管理局に「民間人の問題ではない」ということで手を引くように言われたなのは達ですが、これは結構斬新な言葉に聞こえました。魔法少女ってよく考えると私的行動ですよねえ。大きな問題となればそれなりの公的組織が関与するのは当然な理屈ですか。結局彼らへの協力を申し出るなのはですが、こそこそ家を抜け出したりするような展開でなく、母親への説明と別れもしっかりと済ませるあたりは好感が持てました(しかし、魔法抜きでどう説明したんでしょう?)。もちろんこの辺はフェイトとの家庭環境の差を示す効果もあるのでしょう。ただ、そのフェイトにも親身になって心配をしてくれるアルフがいるわけで、完全な孤独では無いというのは見ているほうにとっても救いになります。相変わらず良いつくりの作品だなあと思うことしきりでした。

魔法少女リリカルなのは 第9話 「決戦は海の上でなの」

良かったです。フェイトを思い、一緒に戦うなのはの姿には感動でした。フェイトを勇気付けるかのようなバルディッシュの変形がまた渋くて泣けます。雲の切れ間から光と共に降りてくるなのはのシーンは、作画こそちょっと怪しげでしたが綺麗で印象的。久々の起動呪文も決まってました。


高町なのは、指示を無視して勝手な行動をとります!」


以前の感想にも書きましたが、だんだんとなのはのもつ強さや頑固さが表に出てきてますね。学校10日も休んじゃって大丈夫だろうかと思ってしまいますが、気にもしない意思の固さ。あまつさえ特別参加の身で命令無視の行動ですよ。ただの良い子で終わらない(もちろん良い子なんですが)描きかたには、良い意味で予想を裏切られてます。
時空戦艦だのが出てきて序盤からの雰囲気が変わったときは少し不安もあったのですが、今回を見ているとむしろ、この作品の個性が確立したということなのかなと思わされました。これまでも評価高かったとはいえ、どうしてもCCさくらの影が見えてしまってましたが、ここに来てそれもほとんど払拭されたように感じられます。パロディの域を超え、独立した作品として十分楽しみな存在になったということで、クライマックスにも期待大です。

魔法少女リリカルなのは 第10話「それぞれの胸の誓いなの」

今回は次回への溜め的お話でしたので感想と言うほどの感想は無いですが、ここのところ日常から遠ざかっていたなのはをいったん返して、家族や友人との再会させているあたりは視聴者もほっと一息つくところ。構成が上手いなあと思いました。ともあれあとは、フェイトとの激闘が予想される次回を心待ちにするばかり。

魔法少女リリカルなのは 第11話「思い出は時の彼方なの」

前半はアクションを堪能させてもらいました。二人ともちょっとやりすぎではないかというくらい全力でしたが、それだけ相手の実力を分かってのものということにしましょう。で、後半。まさかああいう設定でこようとは予想できませんでした。フェイトが哀れすぎて言葉もないです……。とにかく”頑張れ”という気持ちばかりですね。プリシアはともかく、アリシアのことは憎まないで欲しいなあ(そもそもアリシアの出番があるのかという問題もありますが)。
組織も大人達もいる中でさんざん子供に戦わせているのがちょっと引っかかりますが、毎回本当に良い出来です。クライマックスも楽しみ。音楽もかなりレベル高いと思いますので、サントラ欲しいですね、CDドラマじゃなくて。

魔法少女リリカルなのは 第12話「宿命が閉じるときなの」

色々とお約束的展開が詰め込まれた決戦模様。なのはのピンチをフェイトの魔法が救って、二人で力を合わせて強敵を倒して。分かっていてもやっぱりジーンと来ますねえ。

「本当の私を始めるために、今までの自分を終わらせよう」

前回大ショックで寝込んでしまったフェイトですが、意外にも早期復活。これまで散々プレシアに期待を裏切られていたので逆境に強いということもあるのかもしれませんが、やはりアルフとバルディッシュの存在が大きかったんだろうなあと感じられます。今回もフェイトの声にこたえるバルディッシュが例によってカッコよい。加えて挿入歌も決まってました。こういうとき歌が下手だったりすると台無しになってしまうものですが、そこはさすがでしたね。なのはと会って照れたように脇を向くフェイトの表情と、共闘の言葉に「うん、うんうんっ!」と何度もうなづくなのはの反応が素晴らしかったです。
戦いの方はアルハザードを目指したプレシアが、アリシアと共に次元断層に落ちていくことによって終結。結局、約束の地というのはプレシアのはかない幻想に過ぎなかったのでしょうか。それともまだ本当の終わりではないのか。そのへんは次回を見てみないと分かりませんが、覚悟はしていたにしろ最後まで自分の声が届かなかったことに、フェイトの悲しみはやはり深いものがあることでしょうね……。

魔法少女リリカルなのは 第13話「なまえをよんで」

タイトルに「なの」も無く、特別を感じさせる最終回。きっちりと綺麗に終わってくれました。
崩れゆく城の中で、母親の消えた暗闇に心引かれながらも、差し出されたなのはの手をつかんだフェイト。この冒頭の場面からしてぐっと来るものがありました。やがてなのはに戻ってくる日常。フェイトとの再会と別れ。お互い笑顔と涙でリボンの交換という図は、背景の青空、光る海とあいまって、とても美しい情景でした。ちゃんとリボンを身につけている後日の二人の姿も微笑ましかったです。フェイトの処遇もとりあえず悪い方向にはならない模様で(……まあ、9歳の子を捕まえて裁判するというのもムチャな話ではありますが)、世界が違うとはいえ、きっとまた二人で、もしかしたらもっとたくさんの友達と一緒に、笑いあえる日が来ることだろうなと思えました。まさに「さわやかなラスト」という言葉がぴったりでしたね。
ともあれこれでこの作品ともお別れ。当初はさほど期待度高くなかったのですが、今は「良い作品でした」とためらうことなく言えます。本当に嬉しい誤算でした。どうかと思った変身シーンも幸い後半あまり使われなくなりましたし(苦笑)。唯一欠点らしきものを挙げるとすれば、それはむしろ「短すぎ」ということですかね。友達に兄姉にメイドさんに忍さんにと魅力的なキャラクターがたくさんいただけに、せめて2クールあればさらに世界の魅力が広がったのにと惜しむばかりです。
あくまでアニメファン対象の、それも深夜放送魔法少女モノがこうも出来が良いというのは、何か間違っている気がしないでもないですが、まずはスタッフの皆さんお疲れ様でした。

魔法少女リリカルなのは オリジナルサウンドトラック(ASIN:B0007URZJW)

待ちに待った一品がようやく登場。放映が去年に終わっているのにサントラ発売が5月11日とは遅すぎな気がするところでありますが、早速予約しました。これだけ楽しみなサントラというのも久しぶりです。なのはは第2期の話も静かに進行しているみたいなのでこちらも期待して待ちですね。

魔法少女リリカルなのは オリジナルサウンドトラック

魔法少女リリカルなのは オリジナルサウンドトラック

魔法少女リリカルなのは オリジナルサウンドトラック

待ちに待ってました! 去年暮れの放映中から待っていたわけですから正味半年。当初は発売予定自体が無かったようですが、きっと僕のようなファンからの要望が多かったのでしょう。とうとう発売です。
一聴、「素晴らしい」。サントラを聞いててこれほど楽しく、嬉しいというのもずいぶんと久しぶりのことです。素直にカッコよくて燃える曲がずらり。特に「雲海を抜けて」は絶品ですね。やっぱりなのはの音楽は良かったんだなあとあらためて感じさせられました。たった13話の放送なのにすごく耳に残りましたからね。聞いていても「こんな曲あったっけ?」という曲がほとんど無いのがすごいです。しっかり杖ボイスもはいってお買い得(笑)。全なのはファンにお勧めの一枚です。