モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

NHK番組改変問題のリンク

 http://postx.at.infoseek.co.jp/NHK-kaizan/top.html
 かなり詳細なリンク&資料集。

 出演した米山リサ氏による改ざん箇所の指摘および高橋哲哉氏による指摘は、「何が削られたのか」を通して、改ざんした人たちが何を嫌がったのかを浮き彫りにしてくれる。これこそが、本来私たちが知らされなければならなかったことだ。

NHK・政治圧力疑惑・・・Nステに安倍生出演

 4年前の、女性国際戦犯法廷の特集番組に関する政治圧力疑惑に関連して。

 安倍が出てきて言ったことを乱暴に要約すれば次の通り。

  • 圧力をかけた事実はない。NHK幹部を呼びつけた事実はないし、先方からNHK予算についての説明に来たのが1月29日。中川氏に至っては、番組関係者と会ったのは2月2日、番組放送後。
  • NHK内部では、番組の改編作業に26日時点から着手しており、自分と会ったこととは関係がない。
  • 告発した長井氏は伝聞だけで物を言っており、そしてそれは事実と違う。証拠を出して欲しい。

 Nステ古館のつっこみがイマイチだったので、安倍の宣伝に使われただけじゃないか、といいう印象。NHK幹部に会っていないことをしきりに強調していたが、これは杓子定規すぎるだろう。そんなことはどうでもよい。女性国際戦犯法廷については、その法廷が行われた当初から自民党内ではこれを問題視する動きがあったことは周知の事実だ。その中心にいた安倍氏が「公正公平な報道をお願いします」と言えば、それがどういうことを意味するのか分からないほど子どもでもあるまい。そもそも、NHKが公正公平な報道をしなければならないのは誰に言われる必要もないことであり、ここで安部氏がわざわざ言う必要もないはずなのだ。そのことを「私は知りませんよ」とカマトトを言うのだろうか。言うのだろうけど、ちゃんと質問してそのカマトトぶりを赤裸々にすべきだったろう。古館手ぬるい。

 それと、いずれにせよ忘れてはならない問題は、安倍個人が具体的に法に触れる形での圧力をかけたかどうか、という点ではない。おそらく、この点に関しては抜かりはないだろうし、実際法に触れるような手段はとっていないだろう。本当の問題は、そんな法的にダーティな手段を用いなくても、放送局の方で勝手に自主規制をしてしまうほどの力は作用するのだという事実の方だ。安倍氏は番組出演にかこつけて、チャッカリと女性国際戦犯法廷をクサしていたが、結局のところ、安倍氏の思惑通りに番組改変が行われたということは、今日の安倍のコメントからも明らかだ。

 NHKの現場サイドでは番組改変にかなり反対したことは長井氏のコメントからもハッキリ分かる。これは伝聞ではない。その現場の反対を押し切って、NHK上層部の判断で(そしてその判断だけで)番組は改変させられた、という事実、これも伝聞ではない。このようなNHKの非民主的なあり方そのものをもっと問題にすべきだ。

+α:ドサクサ紛れの女性国際戦犯法廷への中傷

 女性国際戦犯法廷が行ったことは、日本がその真相究明を放棄している従軍慰安婦問題を、民間レベルででも可能な範囲で追求したということだ。安倍氏はドサクサまぎれにあの法廷を批判していたが、その原因のすべては日本政府の怠慢にある。なぜ法廷が必要だったのか。日本政府が真相究明への努力を怠っているからだ。未だに隠匿されている戦争当時の行政資料さえある。法廷の内容に問題があるならば、日本政府としてきちんとした事後処理をすればいい。それをしないから好き勝手いわれることになる。*1

 さらに女性国際戦犯法廷に関して、「北朝鮮工作員を検事、日本と天皇を裁く側においた法廷」と言っていた。北朝鮮というキーワードを出せば、誰もが自分の味方になるだろうという計算づくの態度にしか見えない。Nステ加藤氏が「自分も面識のある人だが」と、驚きを隠せない様子でその点について尋ねたところ、これは「広い意味での工作員」ということで、「北朝鮮について良い印象をもってもらうために報道関係者に働きかけたりすること」も「工作員の仕事」であり、そういう仕事をしていた「工作員」ということらしい。だとすれば、これは外交官を「工作員」と呼び変えただけに等しい。どこの国でもやっていることだろう。そして、北朝鮮から政府の許可を受けて国外に出られる人々は、拉致被害者でさえもが日本に帰国した当初はそうであったように、北朝鮮政府ににらまれるような発言はできない、自由には行動しえない人々である。その意味で、安倍氏の理屈に従うなら、北朝鮮からやってくる人は皆工作員であろう。彼は殊更に工作員工作員と連呼していたが、これはかなり悪質な印象操作だ。

 従軍慰安婦問題が朝鮮半島全域にわたる問題であるため、北朝鮮もその範囲に含まれることは確かだ。他方、現在の北朝鮮の政府が独裁的な政権であり、従軍慰安婦問題の告発が、北朝鮮政府に政治的に利用される可能性は当然にある。その意味で、この法廷において北朝鮮の取り扱いをどうするかは、幾つか選択肢はあっただろう。どのような形が望ましかったかどうかは僕にはよく分からない。北朝鮮抜きというやり方がありえて、あるいはありえなくて、その中で議論があってあのような形になったのだろう。それがよかったかどうかは分からない。ただし、唯一言えることは、北朝鮮からの二人の参加がどうであれ、あの法廷の基本的な意味や価値が変わるような重大事ではない、ということだ。安倍氏は明らかに、昨今の日本における北朝鮮への悪感情を利用しようとしている。そして、法廷が必要とされる根底的な要因として、彼自身もその中枢にいる日本政府の怠慢があることには口をぬぐっているのだ。

*1:一応念を押しておくと、好き勝手、というレベルのものではないというのが僕の印象。どうしても自分の目で確認したい人は、『女性国際戦犯法廷の全記録 (日本軍性奴隷制を裁く―2000年女性国際戦犯法廷の記録)』、『女性国際戦犯法廷の全記録〈2〉 (日本軍性奴隷制を裁く―2000年女性国際戦犯法廷の記録)』を参照。