メジャー史上最強の4番手?の引退 〜ケビン・ミルウッド〜

先日1人のピッチャーが引退を発表しました。

その選手とは元アトランタ・ブレーブスのケビン・ミルウッドです。

ミルウッドは1993年にブレーブスに入団。
5年目の97年にメジャーデビューと初勝利を挙げると翌98年には17勝とブレークします。

この時期、1990年代ですがブレーブスは黄金期の真っ只中にありました。

91年に監督がボビー・コックスに代わると突然チームが強くなりメジャー史上初の前年最下位からリーグ優勝、そしてワールドシリーズへ進出します。
そのワールドシリーズの相手であったツインズも前年最下位でこの「前年最下位チーム同士のワールドシリーズ」もまたメジャー史上初の出来事でした。

このシリーズでブレーブスはツインズに敗れましたがここから「ブレーブス黄金期」が始まり90年代5度のワールドシリーズ進出で95年にはワールドシリーズチャンピオン、その後2005年まで14年連続地区優勝という「メジャー史上最強チーム」と言われるほどの強さを誇っていました。

特にその特徴は強力な3本柱の投手陣。

グレッグ・マダックストム・グラビンジョン・スモルツがいました。
(もう一人スティーブ・ベイリーという投手がいましたがミルウッドとは被らないのと私の記憶にはあまりないので置いておきます。むしろ同時期に出てきたデニー・ネイグルの方が記憶がある)

この3人ともサイヤング賞を獲得しているという「史上最強の3本柱」の居る中でミルウッドが出てきました。
そしていきなりの17勝。

こりゃあブレーブスの時代は続くなあ…)

野手でもチッパー・ジョーンズや今年楽天に入団したアンドリュー・ジョーンズという若くして将来有望な強打者もいました(デービッド・ジャスティスもかな?)からとてつもなく強いチームでした。

そこへ登場した剛腕ミルウッド。

例え3本柱が崩れてもミルウッドが育ってきたからブレーブスは安泰…というかまだまだ3本柱がいてそこにミルウッドが加わった(さらに前出のネイグルも成長してきたので)…。

最強投手陣にさらなる次世代のエースが登場となり私はワールドシリーズで中々優勝できない(90年代は5回出場で1回の優勝)とはいえその後のブレーブスの「天下」を疑いませんでした。

しかしブレーブスは勝っていましたがミルウッドは故障もあり私の予測ほど安定した数字を残せませんでした。

ずっと彼に注目していたわけではありませんでしたがこの時期のブレーブス投手陣の強烈な印象とそこに登場したミルウッドという名前が記憶として残ってたのですがついに2002年にフィリーズへトレードされます。

ブレーブスにおけるミルウッドの出現はとても印象が強かったのでトレードを聞いた時は、
「えっ!ミルウッドがトレードされるの?」
とびっくりしたことを覚えています。

私の中で「メジャー史上最強の4番手投手」は世界一を経験することなくブレーブスを後にします。

その後彼はフィリーズ、インディアンス、レンジャーズ、オリオールズロッキーズそしてマリナーズと移籍を繰り返し2003年にノーヒット・ノーランを達成、レンジャーズ時代は毎年のように開幕投手を務めるなどそこそこ活躍しましたが正直私が衝撃を受けた「ブレーブスでのミルウッド」はありませんでした。

実労16年で169勝で2087の奪三振
メジャーデビューしたブレーブスでの最初の6年間で17勝1回、18勝2回という印象を考えると生涯成績は物足りない数字です。

ミルウッドにはずっと注目してたわけではないと書きましたがやはり私にはそれなりに期待を抱かせてくれた選手なので気にはなっていました。
しかしいつしか同時期というか少し後ですが出てきたカブスのケリー・ウッドと面影やその他いろんな事が重なりどっちがどっちか区別が付かないというか混乱までしてしまいました。

同じ剛腕、髭面、大柄な体型、故障が多い、そして名前の最初が「ケ」で始まり終わりが「ド」というのも共通してます。

そのケリー・ウッドは昨年の5月に引退しました。
最後の試合の最初の登板で153キロという豪速球を披露したにも関わらず。

私はてっきり引退したのはウッドではなくミルウッドかと思ってました。

ところが同年9月のマリナーズとの最終シリーズ、あのA'sの快進撃の最中に私はミルウッドがマリナーズにいることを知りました。

試合前の練習で目の前に居たミルウッドは最初誰だか気付かなかったのですが友人が教えてくれて初めて気付きました。

えっ!ミルウッドは引退してなかったか?あれはウッドだったか?どっちだったけかなあ…><)

この時も混乱してましたが目の前に居たのは確かにミルウッドでした。

正直ブレーブスの時の面影はなくただのベテラン投手といった感じでみんなのサインに応えていましたが私の中ではあの「黄金の3本柱」に続く大物ルーキーであったことは間違いまりません。

ブレーブス黄金期という点においてはチッパー・ジョンズも引退したのでブレーブスファンや野茂投手をきっかけでメジャーリーグを見始めた「あの時代の人達」も寂しいのではいでしょうか。

ストラスバーグやキンブレルといった剛腕が次々と出てくる中あまり騒がれずかつての剛腕達が消えていきます。

ミルウッドもついにいなくなるのか…)

私にはどこか寂しいニュースとなってしまいました。

まだまだ出来るのならもう少し頑張ってほしかった投手の1人でした。

日本のチームならブラッド・ペニーやビンセント・パディーヤより使えるんじゃねえのか?)

正直そう思いましたがこれからは家族との時間を大事にしたいと言うことのようです。

ありがとうミルウッド、あの時のブレーブスというチームは忘れないし君の名前も忘れないだろう、御苦労さまでした。