続・ロングトーン♪

 
 久しぶりついでに、もう1本のテナーも出してみた。
 出したら吹いてみたくなるのが人情というもの。
 当然、試しに吹いてみたのは言うまでもない。
 
 なんと、オリジナルの太くて黒いマウスピースが見当たらない。
 その代わり、黄金色に輝く細身のメタルマウスピースがあった。
 
 楽器を組み立てて、リードをセット。
 このリードが、なんかやたらとぶ厚い。
 
 はたして、鳴るのか?
 恐る恐る息を吹き込んでみた。
 
「…………」
 
 鳴らない!
 
 

 
 
 気を取り直して、今度はもっと勢いよく息を吹き込んでみた。
 なんとか鳴った。てゆーか、いきなりズバーンと鳴りやがんの。
   
 あービックリした。
 
 

 
 
 そうそう、アルトにつづけて、なぜもうひと回りデカいテナーを買ったのかっつーと、テナーを鳴らしきるにはそれなりにパワーが必要だからで、てことはテナーを鳴らしきるパワーがあればアルトなんかバンバン鳴らせるじゃん?って思ったからだったのでした。
 
 練習用というかなんというか、ってゆーか、アルトもテナーも、どっちも練習の身ではあるんだけどね。プロじゃないんだし。いや、プロだって、ふだんから不断の努力のプラクティスを欠かさないはず。
 
 で、このパカッと口の開いたマウスピース+ぶ厚いリードっていう組み合わせは、ブハブハと無節操に吹きまくって体力つけたい向きの筋トレマシーン的セッティング(←自分比)でありまして、繊細なコントロールなんてどーでもいーやと考えていた(←むしろ、そっちはアルトでやることだと割り切っていた)、当時の自分の考えがどんなんだったのか、よーくわかります。
 
 よーするに、何にもわかっちゃいなかったんです。
 
 

 
 うむ。加齢とともに体力が落ちていることを、ハッキリと思い知らせてくれるではないか。だって、これ、今の自分にはマトモに鳴らせるものではないんだもんね。ハッキリ言って、手に余る。
 
 でも、これ、鳴らしきりたいもんだね。
 
 この、ぶ厚いリードをしっかり振動させて、かつ、しっかり押さえ込んでコントロールすれば、びっくりするくらいに美しい音色で鳴るんだよ。その見本というか、お手本にしたいミュージシャンを紹介します。
 
 
 武田和命(たけだ・かずのり)さんのアルバム『GENTLE NOVEMBER』です。
 
http://www.amazon.co.jp/dp/B001VEH2ZA/

 
 
 YouTubeに動画が上がってたのでこっちもどーぞ。
 曲は、アルバム『GEMTLE NOVEMBER』から、『Soul Train
 
http://www.youtube.com/watch?v=jBRvcn4JimQ

 
 
 おそらく、人間に出せる、世界で最も美しい音のひとつだと思います。
 武田和命さんは、1989年にわずか49歳(←今の私の年齢)で亡くなってしまいました。
 
 私は、このアルバム『GENTLE NOVEMBER』を、たしか1990〜91年頃に手に入れたと思います。亡くなった翌年にCDで復刻されたのを吉祥寺の新☆堂で買いました。それで、この音を自分でも出せないものかと思ったような。。