TPP密約?

昨日は定例の関電前行動.久々の参加であった.こちらが休んでいる間も,こうして人々は集まり,集会は行われていた.参加者およそ60〜80人.関電本社脇のハナミズキは美しい.思わず見とれるが,再稼働を目論む原子力村は醜悪である.この関電前行動が今後どのようになってゆくのかはわからないが,こちらも参加してきていろいろ教えられ考えさせられた.これからも時間と体力の許すかぎりは参加したい.集会のあといつもの彼と喫茶店で話をし,面白そうな本も紹介してもらってきた.
ゆく途中の駅の売店で新聞の見出しを見る.読売新聞は「TPP基本合意」と大きな見出し.日刊ゲンダイは「TPPケンカ別れ」の見出し.いったいどちらが正しいのか.日経も「合意届かず」と流している.共同声明がオバマ出発のぎりぎりまで遅れたことなどから,大筋合意にいたらなかったのはまちがいない.しかし,読売はあえて「基本合意」と別の表現をしている.
実は読売新聞が正しいのではないか.天木直人さんのブログが「日本の全面譲歩が密約されていたTPP日米交渉の衝撃」との記事を配信しておられる.沖縄密約と同様の密約がおこなわれたことは大いにありうる.農産物の関税割合などは合意しなくても,ISD条項や医療分野のようなもっとも基本的なところで,密約があったのではないか.それは大いにありうる.天木さんのメール配信にもあるが,オバマは共同記者会見で公言していた.

 閉鎖的な日本の市場を開放して,米国の経済と雇用を守る.これは「我々のボトムライン」である.

こう言った以上,何らかの密約があったのだろう.しかし,「閉鎖的」とは強欲な金融資本が自由に収奪できない,ということなのだ.アメリカはドルを刷り続けた結果,インフレが進み,このままではこの夏,いくつかの都市での暴動が避けられないといわれている.金融資本のアメリカにとって,ここからの活路は日本の資産をアメリカに移動させるしかない.オバマも追いつめられている.郵政民営化のはじまる一連の日本の歩みは,結局,日本の国民の金融資産をアメリカに移すための方策であったが,TPPはその仕上げである.帝国アメリカを生き延びさせるために,目下の同盟国日本がその資産を差し出す.そのことが国民に隠されたまま,密約されたのではないか.
本当はアメリカの再建は,金融資本がアメリカの国内,国外で人々を収奪をし尽くし荒廃させていることをやめさせ,「人民の人民による人民のための」政治を再建するしかない.このリンカーンの言葉にいう「人民」には,アメリカ原住民は入っていない.だからこのままこちらが支持するわけではないのだが,今改めてアメリカ大陸に住むものすべてを「人民」というと再定義して,アメリカはこの原点に立ちかえるべきだ.これはまた,日本列島に住むものすべてを「人民」として,日本にもあてはまることだ.
このままでは帝国アメリカはますます凋落し,世界中を荒廃させ,とりわけ日本を道連れにして,そしていずれ崩壊する.現在,人類がかかえる最大の問題は,実は「アメリカ問題」なのだ.地球という舟に乗りあわせた疫病神,それが帝国アメリカである.この暴れん坊を何とかおとなしくさせないと,地球という舟が沈没する.アメリカをどのようにするのか.これが問われる時代である.われわれはこのような立場からTPP問題をとらえ,それに対するひとり一人の備えも考え,生き,次の時代を準備してゆかねばならない.いずれにせよ,現在が大きな歴史の転換点であることはまちがいない.
追付記:「アメリカ問題」については「アメリカ問題は人類の課題」も参照してください.