露反発、他地域に飛び火も コソボ安保理協議打ち切り

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070722-00000909-san-int

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会は20日、国連の暫定統治下にあるセルビア南部コソボ自治州の最終的地位をめぐる協議を行ったが、コソボ独立を事実上認める決議案にロシアが拒否権を行使する意思を表明したため、協議は決裂。米欧は安保理の外で、コソボ独立を実現する外交努力を開始する方針を決めた。これにより、コソボは一方的に独立を宣言すべきだとの声が強まるのは必至で、国際社会との調整も含め、情勢が混迷する可能性もある。

                   ◇

■「一方的独立」道探る

 【ベルリン=黒沢潤、モスクワ=遠藤良介】セルビア南部コソボ自治州のチェク首相は20日、コソボの最終地位確定に関する国連安保理の協議が決裂したことを受け、「アルバニア独立記念日の11月28日にコソボの独立を宣言すべきだ」と語った。首相発言は、自治州内で約9割を占めるアルバニア系住民に配慮したものといえる。

 コソボ側はこれまで、欧米が支持しない独立の期限設定に慎重な姿勢を示してきたが、国連事務総長特使が今年3月、事実上の独立を認める最終案を安保理に示したのにらちが明かないうえ、コソボ内の失業率が70%に上り、住民の不満が限界に達している。

 2004年3月には、独立が実現しないことに反発するアルバニア系住民が実際、少数セルビア系住民を襲撃し、19人が死亡、民家800軒が放火される事件が起きた。今年2月にも数百人の過激派が警官隊と衝突。今後、大規模な暴動へとつながる可能性もある。

 チェク首相は23日、コソボの一方的独立を支持する米国のライス国務長官と会談するが、国際社会が納得する形での独立の可能性を探る方針だ。

 一方、コソボ独立に反対してきたロシアは、米英独仏伊とともに構成するコンタクト・グループ内で自国の立場を強力に主張、独立阻止を各国に働きかける。ロシアはセルビアと同じ正教圏で、スラブ民族として歴史的にもセルビアとの関係が深く、コソボ問題をテコに国際政治上の影響力を拡大する思惑がある。

 ロシアは今後、欧米との外交交渉のカードとして、旧ソ連グルジアアブハジア南オセチアモルドバ沿ドニエストルという「非承認国家」(分離派地域)を持ち出す可能性がある。各地域は事実上ロシアの庇護(ひご)下で、ロシアは独立を支援する立場にある。

 コソボ独立が承認されれば、「それは他の係争地域にも適用される原則となる。アブハジアなどは自動的に独立し、ロシアへの加入が実現する」(クレムリンに近い専門家)と主張することで、交渉を優位に進められるというわけだ

 一方、欧州連合(EU)加盟実現をちらつかせ、コソボ独立を認めるようセルビアに圧力をかけるEUは、非武装監視団の派遣を実現するためにも、独立には安保理など国際社会の“お墨付き”が必要との立場をとってきた。このためコソボの一方的独立にどれだけ理解を示すか不透明だ。

 チェク首相はEUへの配慮を示すため、自治州議会に提出する予定の「一方的独立」の決議文に、EU高官をコソボの特別代表に就任させると明記する意向を示している。

                   ◇

【用語解説】コソボ紛争
 1998年、旧ユーゴスラビアセルビア共和国コソボ自治州で、人口の約9割を占めるアルバニア系住民(イスラム教)が分離・独立の動きを強めたため、これを抑えようとするセルビア治安部隊と衝突。セルビアによる民族浄化などが行われたとされ、99年に北大西洋条約機構NATO)軍が空爆を実施した。この結果、セルビアが撤退。国連安保理決議が採択され、現在国連の暫定統治下にある。

【関連記事】
コソボ協議打ち切り 安保理外で独立の動き
コソボ決議案、交渉大詰め 露反対で採決断念も
・【20世紀のきょう】NATO軍、コソボを解放(1999・6・12)
ブッシュ大統領アルバニア初訪問 コソボ独立支持鮮明
コソボ問題めぐり各国激しく対立 サミット協議

ロの反対でコソボ討議打ち切り=現地情勢悪化の懸念も−国連安保理
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070721/1185003645
へのロシアからの回答ですね。まじでどうなるのか分かりませんが。
アルバニア系といえば
<米国>アルバニア系のテロ計画に衝撃 ニュージャージー州
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070514/1179146386
とかもありました。