Festina Lente2

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さよなら、ブラッドベリ

一人はレイ・ブラッドベリ
私より下の世代は知らないが、(というのも、下の若い世代と、
文学談義、SF論など戦わせたことなど無いから)
この著名な作家を知らない、全く知らないという人と、
お近づきになるには、また別の分野で共通点がないと大変か?
リリカルな作風で、不可思議な世界を書き続けた人、
世界中のSFファンに影響を与え続けた巨人、
6月5日、91歳の天寿を全うして巨星落つの感。


ブラッドベリ、自作を語る

ブラッドベリ、自作を語る


SFマガジンを毎月購読していた友人のように、
資金もずば抜けた知識もなかった自分にとって、
高校から大学に掛けて、ブラッドベリの独特な雰囲気にはまり、
熱に浮かされたように過ごした短い期間。
そのせいである意味、ますますSFの世界から遠ざかるようになった、
というふうに考えられなくもない。何かに熱中した反動で
子供じみた勇者、火星人、探検、タイムマシン、宇宙船、
そういうものから離れ、真面目に? 勉学せねばならないような、
そんな気持ちにさせられたというか。


ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)

ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)


SFの魅力に取り憑かれた小学生後半から高校生ぐらいまでが黄金期、
それ以降は受験勉強と、それ以外の分野の読書が始まり、
(例えば心理学や民俗学など)SFへの興味はファンタジー同様、
随分抑えられてしまったと言ってもいい。
その中で、ブラッドベリが別格だったのは、
ひとえに萩尾望都が漫画化した一連の作品群のせいだ。


ウは宇宙船のウ (小学館文庫)

ウは宇宙船のウ (小学館文庫)


そして、字で読むSFよりも、彼女の展開する絵の世界、
漫画の世界、SFの世界の方がずっとしっくり来て以来、
私のSF熱は醒めて行ってしまった。漫画の原作、
原典に当たる、それ以外にオリジナルで面白い作品は、
ファンタジーに移行してしまい、それっきり。
彼がSF以外の作品を書いていた。
その怪奇なふしぎな作品を書いていたとわかっていても、
リアルタイムなSF作家として熱烈なファンになるには、時代がずれていた。
それでも、彼の死を聞くと自分の思春期の頃の読書熱が、
冷え固まっていくマグマと連動するような感じで、胸の奥が疼く。

華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)

華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)

10月はたそがれの国 (創元SF文庫)

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