大河ドラマ「平清盛」 第9話『ふたりのはみだし者』

あらすじ
1138年、清盛と明子の間に男児が生まれる。平氏一門から祝福され生を受けた子は清太と名付けられ、以後すくすくと育つことになる。

順風満帆の平氏とは対照的に、朝廷では相変わらず伏魔殿の如き業が渦巻いていた。
崇徳帝には子が恵まれず、拠り所のない孤独に苛まれていた。それとは逆に鳥羽上皇の側室・得子が自身にとって待望の男児である体仁親王を出産。朝廷内での勢力図に一石を投じる。

朝廷では体仁親王誕生を祝う席が設けられ、その場に清盛と、その友・佐藤義清も招かれることになったが、得子が義清に祝いの歌を詠むよう命じたことをきっかけに場は不穏な空気に包まれる。義清は崇徳帝からの信頼が厚く、この場に居ない崇徳帝を慮るような歌を詠んだのである。
そんな重苦しい席に、一人の男が乱入する。崇徳帝の弟であり、白河院のもう一人の落胤である雅仁親王である。雅仁親王は居並ぶ多くの出席者の前で兄・崇徳帝や鳥羽院の妄念、得子の業、そして実母・待賢門院璋子の業を喝破し、場を混沌の渦に叩きこむのだった。

有耶無耶に終わった宴席の後、清盛は自分が仕えている朝廷の連中の浅はかさ、おぞましさに深い怒りを覚える。その清盛に、雅仁親王の乳父である高階通憲は言う。乱れた朝廷を変えるには、その朝廷の闇を知らなければならない。そして雅仁親王こそが、その凝縮した闇であり、毒そのものである、と。

そこに、雅仁親王が突如失踪したという報が届く。成り行きで捜索に当たった清盛は、賭博場にて身ぐるみ剥がされた雅仁親王を発見する。
とりあえず自分の屋敷に案内したが、そこで雅仁親王に双六遊びをしようと誘われる。不承不承受けた清盛であったが、そこに父の帰りに目を覚ました清太が駆け寄ってきたことで、状況は一変する。雅仁親王が、双六遊びに負けたら清太を差し出すよう申し付けたのである。それだけはならないと拒否する清盛を強引に押し切り、雅仁親王は賽を振り始める。
この先、長きにわたって繰り返される清盛と雅仁親王の双六遊びの、これが最初の一手であった。

感想
清太誕生

  • 後の重盛君ですな。この回ではある意味主役。前回のラストで「身ごもった」と報告したところだったのに今回冒頭で早速誕生したので、本放送の時に「展開、早っ!」とのけぞった覚えがある。
  • 生まれた清太を抱いて「俺の子だ…!」と涙を流す清盛。子を授かった主人公としては当然の画かも知れないが、彼の場合は初めて得た自分と血の繋がった平氏一門の子であるわけで、別の感傷もあるのだろう。生まれてすぐ母を亡くし父(白河院)に捨てられ、自分を子として育ててくれた忠盛や一門には強い絆を感じているけど、血の繋がりのある絆ではない。しかし清太は違う。長らく欲していた、血を分けた無条件の絆がある。
  • 祝いの場が盛大に開かれ、清盛は上機嫌、家盛は清盛をからかい、盛国は絡み酒、絡まれた兎丸がツッコミ、ケツモブが褌一丁で横切る。最近ではとみに珍しくなった、まったく不穏な空気の無い平家パート。

松田聖子引退と双六遊び

  • 祗園女御が朝廷から辞して地元に帰るシーン。去り際に盛大なフラグを立てていく。
  • 「今は遅れを取っている者でも、賽で良い目を出せば勝ち上がる事が出来る」と清盛に向かって言うけど、これ他の全メインキャラたちにも当てはまる台詞で。このシーンの直後に義朝の木登り、三浦一族との関わりで東国で名を挙げていく場面とか入れている辺り、脚本も確信的。この先何度も何度も繰り返されるキャラたちの栄枯盛衰の象徴としての、双六遊び。
  • そう言えばこの先に何度も出てくるこの双六盤、この時に祗園女御がくれた手向けの品だったんだな。ずっと清盛が趣味で持ってたと勘違いしてた。

で、雅仁親王ですよ

  • 現在、朝廷のトップとして君臨する地上最自由天皇・後白河帝の貴重な初登場シーン。顔見せは博打場だが、本格デビューは毎度おなじみ、鳥羽院と璋子の愛のSM劇場。「アーッハッハッハ!」と笑いながら鳥羽院を公衆の面前でフルボッコにして泣かせて帰ると言う、パンチの効いたデビュー戦を飾る。
  • 白河院落胤。朝廷では疎まれ居場所がなく、傾いて賭博場などに出入りする。境遇については清盛とほぼ同じ。そして彼こそが祗園女御言うところの「今は遅れを取っている者」なわけで、後に賽の目で現状を覆す者なわけである。まあ、ラスボスですよ。ラスボス。
  • そんな雅仁親王と清盛の、ファースト双六バトル。秋山VS L。正直大河ドラマで、こんな手に汗握る死闘を見られるとは思っていなかった。

その他

忠実「忠通!頼長!奴にジェットストリームアタックを掛けるぞ!」
忠通「おう!」
頼長「おう!」
黒い摂関家ジェットストリーム帰宅!」

  • このドラマは、各勢力をとにかく対比で見せる。平氏が清太の誕生を心から祝っている横で、体仁親王誕生祝いを権力やら愛憎劇の象徴として描くという。
  • そんな愛憎劇の主役・鳥羽院&璋子のバカップル。普段は二人で泣いたり泣かされたりしているが(主に鳥羽が)、今回は最強のS、雅仁親王が出てきたので、二人して泣かされる。でもそのすぐ後に「璋子が愛おしすぎて、つい傷つけちゃうんだよね」とか得子にノロケてみせる。傷つけられてるのは主にあんただ。
  • 佐藤義清が破滅へと向かってフラグを立てまくる。まあ、こいつは次回散るので、その時に色々考えよう。

と、言うわけで次は第10話「義清散る」。ここからしばらくは、オチがしょっぱいんだよなー。ちょっと辛いなー。