17世紀のスカリゲル

History of Magic and Experimental Science, Vol 7

History of Magic and Experimental Science, Vol 7

History of Magic and Experimental Science, Vol 8

History of Magic and Experimental Science, Vol 8

 ソーンダイクの『魔術と経験科学の歴史』全8巻は、古代から17世紀までの魔術とそれに関係ありそうなその他いろいろの情報をとにかく集めにあつめた結果、30年以上かけてようやく完成しました。科学史の記念碑的大著です。

 この記事ではその17世紀を扱った7巻と8巻からユリウス・カエサル・スカリゲルが言及されているところを抜き出してまとめました。というわけでこれは完全に私用のメモなので注意してください。

  • 7:183–84

 Johann Ernst BurggravのIntroductio in vitalem philosophiam (1623; これ), p. 19. EEのインデックスにあるex. 251への文言が引かれている(ここ)。

  • 7:204

 ゼンネルトスカリゲルにしばしば言及することについて。

  • 7:206-207

 ゼンネルトが混合の定義としてスカリゲルのそれを引いていること。

  • 7:211

 ゼンネルトがスカリゲルのカンフルについての考えを引いていることについて。スカリゲルによればカンフルには性欲を抑える作用はない。性交中にそれを握り締めていたわかものは激しく交わったものだし、それを犬に食べさせたり動物の鼻から注入しても効果はなかった。この実験をゼンネルトは無効だと考えている。

  • 7:213–14

 ゼンネルトがオークニー諸島には鳥に似た実をつける木があって、その実は水の中に落ちると鳥になって飛び去っていくという伝承を紹介している。その伝承のソースの一人としてスカリゲルが挙げられる(ex. 59, sec. 2)。

  • 7:257

 De Claveが1635年のParadoxesで鉱物の質料についてスカリゲルを引いている。

  • 7:278

 Heinrich Kornmannが1610年の『処女性について』で、スカリゲルが伝える挿話に言及している(ここ)。アフリカのアトラス山脈に生えているスルナグと呼ばれる根を現地の人々は強壮のために用いている。「もし牧草地を管理している処女たちがその上に座るか、その上に尿をかけると、男性に陵辱されたのとちょうど同じように彼女たちの自然の膜が突き破られる」(ex. 175, sec. 1)(ここ)。

  • 7:285

 ゴクレニウスの息子Theodorus Christophorusが、狼についてのスカリゲルの証言を引いている(http://books.google.co.jp/books?id=cqI8AAAAcAAJ&dq=mirabilium%20naturae&hl=ja&pg=PT9#v=onepage&q&f=false:title=ここ)。スカリゲルによれば狼を見たからと言って声を失ったという者は鞭で罰するべきだ。自分は見ても声を失わなかった。また母蛇に危害を加えることなく生まれてきた蛇のことを自分は知っている(どういうこと?)。

  • 7:306

 ガファレルがユダヤ人やエジプト人やアラブ人によって実践されていた占星術はスカリゲルが非難したようなものではないと反論している(ここ)。

  • 7:315

 Valerio Martiniが1638年の著作のなかでゼンネルト経由でオカルト質についてのフェルネルとスカリゲルの見解を引いてそれを否定している(これ。閲覧不可)。

  • 7:376–78

 Keckermanが天には補助的形相しかなく、天に本性的な形相はないというスカリゲル、ザバレラ、ピッコロミニの見解を引いている。またスカリゲルは演習73番で太陽の光によって炎が弱まるのは、太陽の熱によって空気が希薄化するからだと説明している。これをKeckermanが引用(ここ)。

  • 7:408

 GirardusとArnoldus Botiusが残した反アリストテレス主義の自然誌著作の草稿にスカリゲルが引かれていること。

  • 7:418

 Albert Kyperが真空を否定するスカリゲルの文を引いている(ここ

  • 7:456

 ガッサンディが自然発生を否定するために、スカリゲルの証言を引用。それによればフランス王のもとに貝のなかにほぼ完成された小さな鳥が入っていた(ex. 59, sec. 2)。これはヘブリディーズ諸島の木の実が水に落ちると鳥になって飛び去るという報告を、実は身に付いた微細な貝の中にいた鳥が飛んで行ったと解釈することを可能にする(メモ)。

バーナクルダックは、兎を一羽二羽と数えるように、断食月にあれは魚だから食べて良いよと食べてた鴨。松になっている貝が海に落ちてそれが鴨になると信じられていた。アイルランドの特産。フリードリヒ二世は松をとりよせて、鴨にならないことを確かめさせた。

https://twitter.com/#!/momokanazawa/status/185040005335498753
  • 7:468

 アイルランドフランシスコ会士ジョン・ポンキウスが岩塩が体積を膨張させるというスカリゲルの見解を引いている。

  • 7:584

 イエズス会士のリッチョーリが『新アルマゲスト』(1651年)のなかで湖が生まれる原因についてスカリゲルの見解を引いている。それによると海の水は重いため、小さな水脈にあって重さのあまりない地下の水を引き上げる(ここ)。

  • 7:684

 ユダヤ人医師で哲学者のIsac Cordosoがスカリゲルの名前を、潮の満ち引きの原因を月によって行使される磁気力に帰した人物としてあげている(これのどこか)。

  • 8:5

 ヴェローナのMuseo Calceolarioの1622年に出たカタログのなかで、貝の中の鳥についてスカリゲルが引かれ、絵が添えられている(これ

  • 8:37

 Hermann Grubeが1679年の本の中でスカリゲルを引いていること(この本)。

  • 8:174

 ボイルがガスコーニュ地方のサソリについてのスカリゲルの証言を引いている。それによるとその蠍の毒は踏んだ人間の靴に染みこんで皮膚に届く。

  • 8:211

 Martin Kergerが1663年に出版した発酵についての本でスカリゲルが引かれている(この本)。

  • 8:265–66

 Wolfgang Frantziusが1613年の本でユニコーンを見た友人がいるというスカリゲルの証言を引いている(ここ)。またスカリゲルが母熊は小熊の身体を舐めることで形成するという伝承を否定している箇所を引いている。

  • 8:320

 Martin Shookが1663年に出版された著作のなかで、ナイル川流域でのペストについてのスカリゲルの証言を引いている(これだが閲覧できぬ)。

  • 8:324

 J. A. Osianderが1664年の著作で、彗星は凶兆という議論に対して、彗星を見た後に惨事が続かない例がいくらでもあると反論しているスカリゲルを引いている(ここ)。

  • 8:401

 Johann Ludwig Hannemannが1692年に出版した錬金術書のなかで、Morhofをスカリゲルより高く評価すると言っている(これのどこか)。

  • 8:445

 Pierre Petitが1687年に死んだときに残した遺構のなかにスカリゲルの『演習』へのノートがあった。

  • 8:633

 Christian Friedrich Garmannが1660年に出版した著作のなかで、ハイエナは人間の肉しか食べないということがスカリゲルの権威のもと言われている(このあたり)。