【風呂美】 視察に行ってきたよ

どうも。染谷です。

皆さん、今日の岩手めんこいテレビ西和賀ほっとだより」(毎週日曜11:45〜11:50)はご覧になりましたか?
「放課後のちいさな芸術家」のWSのようすが放映されてましたねえ・・・!!


放映されているテレビを必死に撮る担当者の村上くん。
西和賀の皆さんや西和賀ファンの方からもツイッターで反応をいただけて嬉しかったです。



閑話休題、6/25、26日と今回の「風呂美2014 夏」の参加者である古山さくら子さんと
今回のギンガクの夏で滞在する湯本地区を中心に西和賀町を取材、視察してきました。



この日、東京は大雨と雹で大変そうでしたが西和賀は晴れ!



これは湯本地区を流れる和賀川

二年前のプレイ・タウンではみんな泳いでたなあ









相変わらず綺麗な川です。魚がいっぱい泳いでいるのが見える。





和賀川に後ろ髪をひかれつつ、今回風呂美がお世話になる3つの旅館さんにご挨拶を取材をしてきました。


写真は湯本温泉・山田屋さんの女将、やえこさんと。84歳のやえこさん。背筋がぴんとした立ち姿と綺麗な言葉が印象的でした。
湯治客で溢れていた1960年代の湯本地区のようすをたくさんお聞きしました。
山田屋さんの自慢は?と聞くと「一年中美味しい西和賀のわらびを提供していること!」とのこと。
西和賀の特産物である西わらび、本当に美味しいもんなあ。








こちらは一城さん。
ご主人の圭さんにお話を伺いました。初代のお父様からの「町を盛り上げるためには自分の家(旅館)を盛り上げることだ」という
言葉を体現していらっしゃいました。一城さんの料理は圭さんの愛情がたくさん入っています!
今年2月に泊まった時は料理が美味しくてみんなでたくさんおかわりしました。まんぷくの図。







最後に一休館さん。こちらは最初のプレイ・タウンから毎夏お世話になっています。
とにかくお風呂が気持ちいいんですよねえ。。。


滞在する度に色々な思い出話を聞かせてもらっています。
去年の滞在した時に女将さんから「私の話が町の紙芝居になっているのよ」とお聞きしていたので
今回はそれを実際に読んできました。






銀河ホールに移動し、今回公開制作の舞台となる湖畔ステージをホワイエから撮影。
いい夕暮れ。錦秋湖ではカヌーが出ていました。
夏はここでみんなで制作するよ。わくわく。



まだ陽が落ちきっていなかったので地域おこし協力隊となった企画委員の森さんと合流し、
銀河ホールを離れ大急ぎである場所を目指しました。



どうしても今回の視察で見たかった場所。
それは、今年2月の風呂美で作った手ぬぐいのモチーフとなった七ツ釜。

滝の水圧で岩盤に7つの窪みがあったことから七ツ釜と呼ばれ、女神が住むと民話で伝えられていました。


車で走ること20分。ありました。確かに不思議なかたちに窪みがある!すごい!
冬は雪で見れなかったので、こうして実際の七ツ釜が見れて嬉しかったです。





今回の視察では、町民の方とじっくりお話を聞くことができてとてもいい時間でした。
これまでの滞在だけでは見ることができなかった町の顔を見ることができました。

「どうしてここに住んでいるのか?」

その答えはなりゆきのようなもので片付けられるものだけじゃなく、住み続けていることには「それまで」と「それから」がきっとある。
「それから」があるとして、私はどうやって関われるんだろうか。
そんなことを改めて考えた1泊2日の滞在でした。




ギンガクの夏、参加者募集の〆切もいよいよあと1日。
まだまだ間に合いますので、ぜひご連絡くださいね。

21日に西和賀に滞在した広報・土田もブログの記事を準備しているようす。
どんどん更新していきますのでお楽しみに!


それではまたね。

【放課後のちいさな芸術家】 今年もWS企画がスタートしました!

こんにちは。村上です。

夏季合宿企画の〆切も残すところあと1日と迫っていますが、
今日は先週末に始まった通年WS「放課後のちいさな芸術家」の第1回WSの様子をお伝えします。

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この企画は今年で2年目、昨年は西和賀町内の湯田小学校の学童の子ども達と一緒に活動していました。
昨年5月から2ヶ月に一回、山形や東京から来る美大生と一緒に学童にお邪魔してペーパークラフトのカバンと名刺、カラフルなモザイクキャンドルなど
毎回の活動で一人一つずつ作品を作り、今年2月に開催されたギンガクの冬期企画「ギンガクノフユ」の中で作品の展示会をおこないました。


今年は湯田小学校学童から西和賀高校に活動の場所を移して美術部の生徒たちとのワークショップ。

美術部員たちとの相談の結果、今年は美大生と美術部とで短編アニメーションを制作します!


6/22の今年度初めてのWS当日は
東北芸術工科大学の卒業生でアニメーションを制作していた高森萌未さん
筑波大学の学生で夏冬の合宿期間中には毎日一本映像作品を作ってしまう及川和也くん
このとても心強い講師陣と地域おこし協力隊の森・村上の4人で進行していきました。


まずは高森さんの卒業制作のアニメーションや、及川君が作っているギンガクのダイジェスト映像を見ながら、講師陣と美術部員それぞれ自己紹介です。


自己紹介を終えたらいよいよワークショップスタートです。
まずは美術部のみんなに「アニメ」という言葉から連想するものを書き出してもらいました。
高校生がどんなイメージを持っているのかを知るためのブレーンストーミングです。
「たくさん出て来て嬉しい」と高森さん。



次にアニメーションが動いて見えるのはどうしてなのか、アニメの原理についての解説を高森さんがしてくれました。
残像効果とストロボ効果、それぞれの説明をしたあと高校生に体験にしてもらうためにソーマトロープという道具を作ってみました。



これは美術部の顧問である菊地先生が持って来てくれたゾートロープ。
他の部活動で作ったものを借りて来てくれました。高校生も興味津々のご様子。


原理についてを説明を終えたら次はアニメがどんな形から始まって進化してきたのか、アニメーションの歩みを見てみました。
アニメと映画の原点はどちらも同じところから始まっていることや、アニメが見せ物として当時は楽しまれていたこと、ディズニーの白雪姫が物語や音楽のついた初めての長編作品だったことを映像を見てもらいながら説明していきました。

原理や歴史についてを確認したところで、現在どんなアニメが作られているのかいくつかの参考作品を見てみました。
手描きの線で描かれている作品、音楽を聴いたイメージからできた作品、それを一人で作っているのか、チームとして作っているのか、
様々な手法で作られている作品に高校生も見入っています。


さて、ここからはいよいよアニメを作っていく作業です。
アニメの元になるストーリーをみんなで一緒に考えていきます。
「高校」というお題で、どんな人物が出てくるか、舞台になる学校はどんなところかをどんどん書き出していきます。

出て来た単語を今度は起承転結に合わせて組み合わせていきます。


この作業がなかなか難しく、とりあえずのストーリーは出来たものの作品に使うかはとりあえず保留。
次のワークショップまでの宿題ということになりました。


今回のワークショップの様子を岩手めんこいテレビの「西和賀ほっとだより」(毎週日曜11:45〜11:50)で取材していただきました。当日の活動の様子をご覧頂けます。
放送日は6/29(今日です!)西和賀町の皆さん、岩手にお住まいの方は是非ご覧ください。

今回のワークショップを終えて、反省することがたくさんでてきました。
参考作品を見せたのは良いけれど、どんなアニメを作りたいかを高校生に聞いていなかったり、
体験するための道具を作るのはいいけど、それがワークショップのどの部分につながってくるのか。
課題はたくさんありますが、これからの活動に向けてもっとしっかり準備しなきゃいけないと感じています。

1年間をかけて高校生と短編アニメを作っていく上でまだまだ今はスタート地点です。
これからもワークショップの様子や活動の経過をブログで更新していきますので、
今後も「放課後のちいさな芸術家」の活動にご注目ください!

『今年も岩手県西和賀でお芝居作ります』(「適刊・近衛虚作」より転載)

夏の西和賀町に訪れるのは、今年で三度目になる。そしてそのたびごとに、町の新しい姿を発見してきた。最初の滞在で、西和賀町は僕にとって涼しくてのどかな町でしかなかった。二度目は深刻な過疎と高齢化を抱える町の姿に気付いた。今年の夏は何を見つけるだろう。

東日本大震災で甚大な被害を受けた釜石や大船渡といった岩手県沿岸部。そこから内陸にずずいっと進むと、秋田県との県境に西和賀町がある。町を最初に訪れたのは2012年の夏。ささいなことから知り合った実行委員に熱いプレゼンを受けてのことだった。そのとき僕は京都に住んでいたが、西和賀町に乗り込む直前には東京で公演を行っていた。うだるような京都の蒸し暑さ、東京の都会特有の熱気、そこから鈍行でのんびり14時間かけて(途中で大雨で電車が止まった)乗り込んだ西和賀町は驚くほど涼しく、あとから聞くには実は異例の涼しさだったらしいが、これがこの世の極楽かととろけきった顔で一週間を過ごすことになる。

この年は初対面の四人と班を組んで芝居を作ることになった。僕が脚本と演出を担当することになったが、完全に手ぶらで何の準備もせずに町に乗り込んだので、取材と称して駅で乗り降りする町の人を眺めたり、町をぶらつきながら木々の匂いと虫の声を浴びたりした。結局、僕が西和賀町に到達する直前の北上という街で実際に遭遇した花火大会を題材に、20分の小品を作った。とてもかわいらしい作品になった。

二年目の夏、今度は全国から集まってくる学生たちが一丸となって一つの作品を作り上げることになった。脚本と演出は僕だ。六月から八月の本番が終わるまでの二ヶ月、僕は町の人に居候させてもらいながら、取材を行った。そして一年目には見えなかったいろいろなものが見えてきた。西和賀町は乳児の年間死亡ゼロの達成など医療で知られた沢内村と、温泉の湧き出る観光地である湯田町が合併して生まれた町だ。合併から10年たった今も、もともとの自治体ごとの気風の違いはいまだに残っている。そして過疎と高齢化の問題だ。日本は2040年に自治体の半分で人口が半減するらしい。そんな遠い未来のことはうまく想像することができない。しかし、それよりももっと早くに、町が機能しなくなるほどに人がいなくなる西和賀町の姿が想像でもましてや妄想でもなく、僕にははっきりと見えた。

都会住まいの人間の目線から見れば、西和賀は確かに退屈だが、毎年夏に訪れてもいいほどに、この町の空気、のどかさは心地のいいものだ。しかしそれは外からやってくるお客さんだけが享受できるものであって、町の人間にとってみれば、それは真っ暗な夜がやってくる直前、黄昏の美しさでしかない。そう思った。実際には町の人々の間でも危機感には大きな差があって、問題はより複雑で困難さを増している。このプレイ・タウンという取り組みも、ただの合宿事業ではなく、町をアピールするためのものでもある。

脚本は難産だった。一年目に書いたような、かわいらしい話ではいけないと思ったからだ。このままではきっと滅びるこの町が、それでも町を外に対して開こうとしているその姿勢を、どうにか脚本に生かそうとした。締め切りを何度か延長して完成した脚本は『鬼剣舞甲子園二〇二八』。15年後の、まるで西和賀のような町の話だ。西和賀町伝統芸能鬼剣舞が滅びようとする中で、西和賀とそっくりな町の高校生が不純な動機から「鬼剣舞甲子園」での入賞を目指す。概要だけかいつまむと、間抜けなタイトルと使い古された設定だと思うだろう。実際僕もそう思う。しかし、この作品は、その上演を見ていた、鬼剣舞の数少ない担い手である青年の心をえぐった。彼は「絶対に鬼剣舞を滅びさせない」と言った。

そんなこんなで三年目である。今年のプレイ・タウンの演目は『鬼剣舞甲子園二〇二八』。つまり去年の再演だ。ただし再演とはいえ、全国から西和賀を目指してやってくる学生たちの顔ぶれは違うものだし、脚本だって演出だって手を入れる。しかも今年は、これまでの滞在を倍にして、二週間もの期間を西和賀で過ごすことになるし、お盆に行われる成人式ではその途中経過の上演も行う。仙台に出かけていって、交流イベントまでやったりする。できあがるものは、幕が上がるまでわからない。ただ言えるのは、この二週間で何も感じない不感症体質であるならば、ここから先、どこへ行っても、何をやっても、あなたの心は震えないだろうということだ。

つらつらと書き綴ってきたが、実のところ僕はまったくもって気さくな人間で、お芝居大好きな少年のような心を持っている。だから今年の夏を、また西和賀で、全国からやってきた奇特な人たちと町の人間と過ごすのがたまらなく楽しみなのだ。要は西和賀町で二週間ともに過ごして、一度きりの逢瀬だろうと、それを目一杯楽しみませんかと、そういうお誘いなのである。


文章=喀血劇場主宰・近衛虚作
「適刊・近衛虚作」(http://urotsuqu.hateblo.jp/)より転載

締切迫る!プレイ・タウン2014

ご無沙汰しております。小堀です。
京都ではだんだんと湿度も高く夏らしい気候になってきましたが、
皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日は締切が近付いてきた夏季合宿企画のうち、
「プレイ・タウン2014」について思うところを書きます。
それからちょっとだけ、個人的な近況報告もさせてください。

***


6月30日は、ギンガク夏季企画の参加申込締切です!

「プレイ・タウン2014」「湯田温泉峡風呂美術大学2014夏」締切まであと11日となりました!
特に「プレイ・タウン2014」は、まだまだ参加者大大大大大募集中です!
参加を検討中の方、まだ予定が立たずためらっている方、興味はあるけどなあ…という方、
ぜひ一度ご連絡ください!
ギンガクはそこに参加する人がいてこその事業、参加者といっしょに企画を作っていく事業です。
いつもながら、できるかぎりフレキシブルに対応いたします。

「プレイ・タウン2014」についてご紹介

今夏は、これまでの参加者から寄せられた要望にお応えした企画内容になっています。
・銀河ホールから外に出て、町の人とも交流したい
・どうせならもっと長く滞在してちゃんと稽古したい
・でも費用は抑えたい
西和賀町内だけじゃなく東北の演劇界隈との接点もほしい
えっ、それ全部盛り込んだの?と思った方、今一度上記のリンク先から募集要項をご確認ください!
それぞれ少しずつではありますが、昨年度に比べるとかなりボリュームアップしておりますよー。

さらに!取組む作品は、
近衛虚作さん作・演出の『鬼剣舞甲子園2028』(再演)です。
昨夏の「プレイ・タウン2013」に参加した方はご存知かと思いますが、
ギンガク初年度からの参加者でもある虚作さんの稽古はめちゃくちゃ楽しいです。
妥協しないという意味できびしいこともありますが、稽古の雰囲気がまったく淀まないんです。
演劇経験に関係なくその人の持ち味をうまーく舞台に乗せるのが上手な方です。
私自身も昨夏に参加・出演した時はほんとうに楽しすぎて、
制作委員としての仕事を忘れるほどでした(すみませんでした)。
鬼剣舞甲子園2028』は、県内人口減少率が一位である西和賀町の未来をテーマにしながら、
全力でエンターテインメントな作品です。

起こりうる未来についての作品を書くこと、よそ者が演じて形にするということ、
当事者である町の人が楽しめる形で上演できるということ…
などなど、楽しく上演した後に持ち帰って考えることも、個人的にはたくさんありました。

虚作さんも多忙な方ですので、来年度も再演できる保証は今のところはありません。

ぜひ!


***

最後に私自身の近況報告です・・・

私事で恐縮ですが、
7月末からNPO法人DANCE BOXの事業「国内ダンス留学@神戸」を受講できることが決まりました。
神戸で8ヶ月間ダンス漬けになるため、その間は(この夏も!)ギンガクの合宿企画に参加できなくなってしまいます。
昨年度開催していた通年WS企画の「ダンスの時間」についても、今年度はお休みします。
(通年WS企画「放課後のちいさな芸術家」の方は続行しています!)
とはいえ、ギンガクでリベンジしたいことは沢山あるので、また戻って来ます。
DANCE BOXは神戸の新長田の商店街で、地元のおじちゃんおばちゃんたちとビールを飲みながら語らうことで
コミュニティでの立場を築いてきた劇場という一面を持つところでもあるので、
ギンガク企画委員としてはそうした姿勢にとてもシンパシーを感じつつ、体験的に(!)学んで来ようと思っています。
事務的な作業での参加は継続しますが、西和賀でお会いできるのはしばらく先になります。
みなさまとまたお会いできますように。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございます。


最後にもう一度!
「プレイ・タウン2014」「湯田温泉峡風呂美術大学2014夏」は、
6月30日に申込締切です!

まずはお気軽にご連絡・ご相談くださいね。
お待ちしております!

http://gingaku.jimdo.com/


小堀

【風呂美】参加者とプロジェクトメンバーを募集しています


どうも、染谷です。
梅雨入りした東京の自宅から投稿します。

皆さんの住む町はいかがでしょうか。
こちらは猛暑日から急に気温が下がり、強く冷たい雨が降っています。


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さて、先日森さんがブログを更新してくれましたが、
ギンガクは夏に向けて【プレイ・タウン2014】と【風呂美2014夏】の参加者募集を開始しました。
今日は私が担当する【湯田温泉峡風呂美術大学2014 夏】 通称:風呂美についてのご紹介をしようと思います。

風呂美のはじまり

まだギンガクが演劇の合宿のみを企画していた頃、演劇に携わる学生はもちろん、これまで演劇をしたことがない人達…
日頃絵を描いている美大生や、文芸を専攻する学生、民俗学を研究する大学院生、大学時代は表現に関わっていたけれど今はフリーターをしている人など
演劇というジャンルを超えた人達が西和賀町に集まり、日頃演劇に携わる人達と一緒に上演作品を制作・発表していました。
そんな参加者から合宿を終えた時に
「楽しかったけど、この町で演劇だけじゃなく、自分たちが普段学んでいる美術のこともやりたい」
「もう一度この町に来て、今度はものを作りたいな」
という意見が寄せられました。

「この町で美術のことをおなじ年代の人達と一緒に考えたり、作れたらきっと楽しいだろう」
そんな考えから町の温泉旅館組合と協働で立ち上げたのが風呂美のはじまりです。

でも、学生だけが楽しいだけじゃギンガクではありません。

ギンガクは地域振興と若者の表現活動の支援を目的とする事業です。
それに、西和賀町には「銀河ホール」という立派な演劇専用の劇場があり、ほとんどの町民の皆さんは
演劇に触れていて劇場に行き慣れているというものすごい町なのですが、
美術についてはこれまでになにかプロジェクトが行われていたわけでもないし、人が集まる場所として機能している劇場のようなハードもない。
どうやって西和賀町に美術を使ってつながっていけばいいのだろう…、と毎日毎日唸りながら企画を考えていました。
そして、風呂美プレ開催の募集チラシが完成したのです。





Sは美大生なりに考えて、東北の温泉旅館で風呂掃除をすることにした。

岩手県には、秋田県との県境に西和賀町という町がある。
この町には、山峡の町の例にもれず温泉旅館がある。

西和賀町の存在を知った美大生Sは、この町に全国の美大生を集めて何かやりたいと思った。
Sは美大生なりに絵を描いたりモニュメントをつくったりすることを考えた。
そこで大学の先輩であるMに相談した。
Mはめんどくさそうに言った。
「そんな役に立たないものをつくるより、旅館の風呂掃除でもしたほうがましだ」
Sは美大生なりに(どうして自分たちがそんなことを)と思った。
しかしSは一方で(風呂掃除を〈そんなこと〉と思った自分は何様なのか)とも思った。
Mは無責任に続けた。「掃除は美化だから、〈美術=美化する術〉ってことで掃除したらいい」
Sは反論した。「風呂掃除のために岩手まで来る美大生はいない」
「だったら掃除した後、そのまま風呂場をインスタレーション作品にでもしたらいい」

Sは美大生なりに考えて、それを実現してみることにした。
まず、参加する美大生をチーム分けして、会場となる旅館を割り振る。
それから、その旅館に格安で数日間滞在させてもらい、清掃と作品化をおこなう。
そして入場券がわりにタオルを販売し、町民や宿泊客に湯めぐりをしてもらう。
企画には「風呂美術大学」というふざけた名前が付けられた。
考えたのは、言うまでもなくMである。

ちなみに、この町には美術館もある。



なんとぶっちゃけた募集チラシだ…!!!
言うまでもなく、美大生のSというのは当時学部2年の染谷であり、大学の先輩のMというのは
同じ大学の修士課程を修了し、京都に住み始めた森さんのことです。(今は西和賀町に住み、働いています。)
このように企画委員の皆さんから叱咤され、ともに考え、助けてもらい
2013年の2月にプレ開催を迎えました。

同年8月には町内にあるダム湖錦秋湖に沈んだ集落を再び浮かび上がらせるというイメージで家のかたちをした灯篭をつくり、ダム湖に放流したり、
今年2月には町に伝わる民話を基にシルクスクリーンを用いてオリジナルの手ぬぐいを全て手刷りで製作・販売をしてきました。
これまでの3回にわたって、山形・宮城・埼玉・東京・京都とさまざまな地域から美大生や美術に関わる若者が参加して
ともに考え、つくって、お風呂掃除をして、ご飯を食べて、温泉に入って、またつくってきました。


そして第4回目となる今回の風呂美は

銀河ホールの裏にある夏にだけ出現する湖畔ステージで、流木を素材とした巨大オブジェの公開制作に取り組みます!
今年は錦秋湖が完成して50年(!)のメモリアルイヤー。50年という時の重みに負けじと とにかく馬鹿にスケールがでかいものがつくりたい!!
今年の風呂美は、とにかくハジけていきたいと思います。グイグイいきます。
この夏、大学のこともバイトのことも一切忘れて、西和賀町で一緒につくることに熱中する時間を過ごしませんか?
参加者どしどし募集中。いつでもご連絡お待ちしています。〆切は6月30日まで!


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さいごに

参加者と併せて、プロジェクトメンバーも募集中だったりします。
企画担当者である染谷と、ギンガクの企画委員と一緒に風呂美の企画・運営を行うメンバーを募集中です。
合宿期間中はもちろん参加者と一緒に作品制作に励みますが、プロジェクトメンバーはもう一歩踏み込み、

どうやったらもっと風呂美が面白くなっていくだろう?
学生だけではなく、町の人にも楽しんでもらうためにはどうしたらいいだろう?
美術を通して、どうやって社会に関わっていこう?

などなど、制作の業務も行いつつ一緒に考えて活動してもらいます。
これまでプロジェクトメンバーを務めた参加者の中には
風呂美での経験から現在は豊島に暮らし、瀬戸内国際芸術祭に関わる仕事に就職した人や ラジオ局に就職し、地域の情報発信に携わっている人もいます。














ギンガクの企画【放課後のちいさな芸術家】で西和賀町の学童で小学生向けにWSを行っていた村上くんも
実はプレ開催の時に風呂美に参加してくれたことがきっかけでギンガクや西和賀町に関わるようになり、
今では西和賀町の役場で働いています。本当にすごい。
(今年度はまた活動場所を新たに【放課後のちいさな芸術家】も活動を進めるようです。続報を待たれたし!)


こんなことを書くと「ギンガクは就活にも使えます!」みたいに聞こえるかもしれませんが、
企画担当者の私がまだ学部4年生なので、正直に言って箔がつくような企画ではないと思います。
しかし、とにかく町の立場も、学生の立場も、あるいは今美術の界隈で起こっていること、地域振興として行われていること
色んなことを考えてディスカッションし、企画を立ち上げ、色んな人と関わりながら企画を進めていきます。
学生のあいだに、学外で…教育機関の外で(←これは結構重要かも)はじめからおわりまで関われるプロジェクトはあんまりないんじゃないかな。
そういう意味でおおきな意味を持ち、たくさんトライできる機会だと思います。

地域振興に興味がある。
企画をつくることに興味がある。
参加者としてだけではなく、制作としても関わってみたい。
そんな人も募集中です。


【お申込・お問合せ】
 ギンガク制作委員会mail : nishiwaga.SDF/gmail.com(/を@に変えてご送信ください)
 電話:080-5564-5798 (担当:染谷)

企画委員twitterもあります。チェックしてね!


大変長くなりましたね。。。ここまで読んでくれてありがとうございました。
これから開催までまたぽつぽつと記事を書いてまいりますので、どうぞよろしくお願いします〜!
染谷でした。またね。

2014年度ギンガク夏季合宿 参加者募集!


2014年度のギンガクの夏季合宿の参加者を募集しています!


今回、演劇合宿「プレイ・タウン2014」は2週間と長くなり、町内成人式(西和賀町は8月にあります)でのダイジェスト版上演や仙台の演劇施設10-BOXへの訪問などプログラムをさらにパワーアップさせています!かねてより希望の多かった「地域住民との交流」についても、企画運営をしてきた村上と森が地域おこし協力隊に着任したことによって実現に向けて着々と準備を進めています。

美術合宿「風呂美術大学」では、銀河ホール裏の湖畔ステージ(夏にだけ出現します)で流木を素材とした巨大オブジェの公開制作に取り組みます!今年は湯田ダム錦秋湖が完成して50年のメモリアルイヤー。昨年の灯篭制作で大変お世話になったダム管理局のみなさんからも「ぜひ文化のちからでダム50周年を盛り上げてほしい」と熱いエールが届いています!



参加のお申し込みはwebのメールフォームで受付けています。参加確定までの流れは以下の通りです。


1. webのメールフォームより、件名を「プレイ・タウン2014参加希望」もしくは「風呂美2014夏参加希望」とし、名前・電話番号・メールアドレス・年齢をお知らせください。

2. 電話、インターネット電話等で担当者から事業内容、趣旨についての詳細説明を直接受けていただきます。

3. 担当者から送付される申込シートに必要事項(住所・所属(出身)大学など)を記入していただきます。

4. 返送後5日以内に指定口座へ参加費をご入金いただき、参加確定となります。



ご応募のほか、質問や相談も受付けています。まずはお気軽にご連絡ください!


http://gingaku.jimdo.com/

ギンガクノフユが終わりました

おかげさまでギンガク2013年度冬季企画「ギンガクノフユ」が無事終了しました。
今回もおなじみ岩手日日さんが記事を書いてくれました
いつもありがとうございます。

今回はというか今回も、いろいろなアクシデントに見舞われた合宿となりましたが、何とか無事に終えることができました。
ご来場くださった方々や応援してくださった方々、そして町内スタッフや参加者のみんな、どうもありがとうございました。


まだまだ課題も多く、あるいは回を重ねることで課題となってきたこともありますが、ギンガクはこれからも続いていきます。
これからどうなるのかは分かりませんが、何かをやりたいと言ったひとがそれを実現できる事業であり続けなくてはいけないと思っています。
その場合はもちろん地域社会にとってのメリットや参加する人たちにとってのメリットを考慮しなくてはならないわけですが、その考慮が「やりたいこと」にとっても有益になるようなかたちを探っていくことが我々のミッションだと感じています。
そうでなければやる意味がないと言ってもいいくらいです。



運営している側が言うのもなんですが、あらためて、ギンガクというのはとてもユニークな事業です。

ギンガクは「町にあるホールを使って演劇の合宿をするというのはどうか」という提案に「それいいですね」と乗っかった学生がいたという、ただそれだけの話からスタートしました。
本当にただそれだけです。

「劇場とどこかの大学が提携して滞在制作をしている」とか「実績のあるプロデューサーやディレクターを町が雇って仕掛けている」とか「いろんなところから助成金をもらって運営予算を組んでいる」とか、普通なら実現のために必要とされそうなそういう条件を満たしていません。
だから「どうやってるのかよくわからない」とか「なんでできるの」とか、それはそれはよく言われますが、「他の事業のように条件を整えればできるのは分かる、でも、そうでなくては本当にできないのか」と開き直って、とにかく自分たちで考え、試し、その都度学習しながら運営しています。
まあ、本当に開き直っているとしか言いようがないかもしれません。

とはいえ、2年間やってみて「できることはできる」というのは分かってきたのですが、やっぱりできることに限りがあることも見えてきたりしています。
「そりゃそうだよ」と思われるかもしれませんが、それはそれで2年間かけてみんなで学んだことだし、2年前には知らなかった町のこと、思いもよらなかった事態、協力してくれる方々の登場、自分たちの状況の変化などなど様々な要因があって、やりたいことが増えたり変わったりしてきた結果です。
2年前に「こうしないとできない」と決め込んで構えていたら、逆に限界を感じることはなかったかもしれませんし、そもそも続いていなかったかもしれません。
何より私たち自身がこんなに一生懸命にならなかった気がします。逆に。

別に既存の方法を拒絶しているわけではありません。多分、自分たちの可能性を自分たちに合ったかたちで保持していようとしているだけです。
なので、そのために既存の方法がベターだと判断することがあればそのようにするでしょう。
そのときもやっぱり自分たちで考えるだけ考えて、開き直って選択するのだと思います。



そんなわけでギンガクはこれからも試行錯誤しながら続いていきます。
ぜひ今後もご注目ください。