Wikipediaには書けない『ひだまりスケッチ×365』オープニングの各話による違い
ついに『ひだまりスケッチ×365』も全13回の放送が終了しました。第14話は2008年8月16、17日に行われたTBSアニメフェスタ2008で先行上映されたそうで、DVD最終巻に収録されるそうです。最終話は4人で食卓を囲みながら抱負を語り、コルクボードに張られた思い出の写真がスクロールしていく様は、1期最終話を思い出させてくれました。現実では1年の時間が経過したのに対し、作中では2週間程度とは何とも皮肉な……。
そんな『ひだまりスケッチ×365』に関して、みんなも大好きWikipediaではある議論がなされていたようです。それは「各話リスト」の欄(話数、サブタイトル、コンテ、演出などのリスト。シャフト作品だと提供バックについても)にOP映像の中の「掛軸の字」について記載すべきかどうか、というものでした。ご存知(?)のように、『ひだまりスケッチ×365』のオープニング映像は細かい小ネタによる各話での差があるのです。とにかく「ウィキペディアは何ではないかを頭から読み直して出直して来いっ」という感じなのですが、Wikipediaに誰かが書きたいくらいには価値ある情報だと思われます。そこで、この場を利用して、そのようなWikipediaには書けないオープニング小ネタを紹介したいと思います(以下で取り上げるキャプチャ画像は、原則として『ひだまりスケッチ×365』各話で使用された4:3の地上波バージョンのオープニング映像です)。
宮子の食事カット
Bメロ「やっぱやっぱアクビで〜」のところ。宮子が食事をしているのは1期オープニングを踏襲しているのだと思われます。Wikipediaではこのカットの掛軸に書かれている漢字に注目していました。ここで注目すべきは他にもあって、掛軸の漢字、宮子が食べているもの、ちゃぶ台の上に乗っているもの、の3点です。これらはすべての話数で異なっています。
話数 | 画像 | 掛軸の字 | 食べているもの | ちゃぶ台の上 |
---|---|---|---|---|
第1話 | ![]() |
鯖(サバ) | 白米 | ナスのお新香×5、塩 |
第2話 | ![]() |
鮪(マグロ) | 白米 | ナスのお新香×4、塩 |
第3話 | ![]() |
鯛(タイ) | 白米 | ナスのお新香×3、塩 |
第4話 | ![]() |
鮑(アワビ) | 白米 | ナスのお新香×1、塩 |
第5話 | ![]() |
鰆(サワラ) | 白米 | 塩 |
第6話 | ![]() |
鰻(ウナギ) | そば | 七味(?)唐辛子 |
第7話 | ![]() |
鮎(アユ) | ごま塩ごはん | ごま塩 |
第8話 | ![]() |
肉 | 白米 | もやしごはん(?) |
第9話 | ![]() |
鮭(サケ) | おむすび×3 | おむすび×1、お茶 |
第10話 | ![]() |
鱚(キス) | 白米 | 空の茶碗×6、まーるにんじんのキンピラゴボウ*1 |
第11話 | ![]() |
鰯(イワシ) | マヨ食パン*2 | マヨネーズ |
第12話 | ![]() |
鰹(カツオ) | カップスープ | カップスープの素 |
第13話 | ![]() |
鰤(ブリ) | ソースごはん | ソース |
ラストの集合写真
一番最後の「製作 ひだまり荘管理組合/TBS」が出るところ。6枚の写真が重なっていくものですが、ストーリーのようなものがあります。ベースになっているのが1話などで使われているもので、集合写真を撮ろうとゆのがタイマーをセットしますが、慌てて戻ったため全員を巻き込んで転び、結局フレームには誰も残らない、というものです。これをベースに、様々な展開がされています。そういえばオープニングディレクタの大沼心が「ひだまりないと」で、このカットはコマ送りして楽しんで欲しい、と言っていました。
番号 | 画像 | 場所 | ゆの | 内容 | 使用話数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() |
ひだまり荘の前 | 転ぶ | 誰も写らない | それ以外 |
2 | ![]() |
ひだまり荘の前 | 転ばない | トラック*3に横切られる | 第4話 |
3 | ![]() |
ひだまり荘の前 | 転ばない | カメラが倒れ、フレームにはうめ先生 | 第7話 |
4 | ![]() |
やまぶき高校の前 | 転ぶ | 誰も写らない | 第8話 |
5 | ![]() |
ひだまり荘の前 | 転ばない | コスプレした吉野屋先生が前に*4 | 第9話 |
6 | ![]() |
ひだまり荘の前 | 転ばない | ピンクのクッション*5 | 第12話 |
7 | ![]() |
ひだまり荘の前 | 転ばない | 最後は全員集合でパチリ☆ | 第13話 |
あやふ〜やロケット♪
Aメロ後半「あやふやロケット」のところ。ヒロの手(左利き)が鉛筆で便箋に文字を書きます。
番号 | 画像 | 色 | 文字 | イラスト | 使用話数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ![]() |
赤 | あやふ〜やロケット♪ | 沙英 | それ以外 |
2 | ![]() |
青 | でこぴ〜んロケット♪ | 沙英 | 第5話 |
3 | ![]() |
黄緑 | ゆっくりしていってね♪ | うめ先生 | 第8話 |
?でわっしょい365〜
ゆののソロ「ユメでユメでみんなと/おんなじ会話してたよ」<監督 新房昭之>の後。「?でわっしょい」とともに、「?」の文字を背景にヒロ、吉野屋先生、宮子がジャンプするカット。背景の文字に注目。
番号 | 画像 | 色 | 文字 | 使用話数 |
---|---|---|---|---|
1 | ![]() |
ピンク | ? | それ以外 |
2 | ![]() |
黄緑 | 梅 | 第11話 |
ヒロの二の腕「プヨ」
※コメントでid:riyotさんから転載の許可をいただきました。ありがとうございます。
4人のキャラクタ紹介最後のヒロ「パン食い競争=3」のところ。自分はこれに気づきませんでした。詳細は上リンクを参照していただきたいのですが、このとき出る文字が「プヨ」なのですが、第8話のみ「ぴよっ」だそうです。下画像はBS-iの16:9版ですが、地上波の4:3版も同じです。
番号 | 画像 | 文字 | 使用話数 |
---|---|---|---|
1 | ![]() |
プヨ | それ以外 |
2 | ![]() |
ぴよっ | 第8話 |
サビのヒロの背景
※コメントで名無しさんから情報いただきました。ありがとうございます。
サビ「女のコお菓子が主食だ」で4人が踊りながら右から左に流れていくところ。第11話のみ、ヒロの背景をうめ先生が左から右にクルクル回転しながら飛んでいます。
番号 | 画像 | 使用話数 |
---|---|---|
1 | ![]() |
それ以外 |
2 | ![]() |
第11話 |
校長の額に「肉」
※コメントでkanaさんから情報いただきました。ありがとうございます。
Bメロ「涙がにじむ/…おはよう」のところ。宮子の食事、うめ先生トンボに続く校長が右から左に回転しながら流れていくカット。BS-i版(16:9)の第10話のみ、校長の額に「肉」の文字が。ちなみに余談ですが、今年は『キン肉マン』29周年(=ニク)です。
番号 | 画像 | 使用話数 |
---|---|---|
1 | ![]() |
それ以外 |
2 | ![]() |
BS-i版第10話 |
まとめ
本作の監督である新房昭之および制作のシャフトの特徴として、オープニング・エンディングを変えてくる「遊び」の点があります。『ぱにぽにだっしゅ!』『さよなら絶望先生』では映像自体が複数存在しましたが、本作のような1本の映像の中で遊んでいるのは『月詠 -MOON PHASE-』が近いでしょうか。宮子の食事カットの背景に書かれている文字なんか、『月詠 -MOON PHASE-』のカルタしりとりみたいに、何らかの規則性が見えるかと思いましたが、分かりませんでした。誰か気づいた人がいたら教えて欲しいものです。
『ひだまりスケッチ』はそのような新房&シャフト作品に比較すると、あからさまなネタ(黒板ネタに代表される類のもの)が身を潜め、一見落ち着いた映像になっていますが、かなりアクロバティックな作品だと思っています。しかし、やはり新房というべきか、オープニングを丹念に見ていけば、おそらく次のように思ったでしょう。やられた!と。本編にも同じように、一見分かりにくいながらも、様々な「遊び」が隠れています。『ぱにぽにだっしゅ!』で鍛えられたその動体視力で、作品に忍び込んでいる「遊び」を探してみるのも一興かもしれませんね。
最後に第13話(最終話)から、すべてのひだまらーの心情を代弁したこのカットをどうぞ。
三期あるといいなあ〜 生徒一同
余談
あと最近は『ストライクウィッチーズ』に関する言及が多い当はてダなので一応書いておくと、1期『ひだまりスケッチ』の第7話「嵐ノ乾燥剤」は『ストライク』監督の高村和宏がコンテを切ってます。アニメオリジナル回なのですが、なかなかどうにも不思議な感じの回です。自分にはコンテの善し悪しは分かりませんが、『ストライク』ファンも興味があったら観てください。余談ですが、宮藤芳佳役の福圓美里が演じている夏目の1期唯一の登場回でもあり、ペリーヌ役の沢城みゆき演じる大家さんの(多分)初登場回でもあります。ただの偶然だと思いますが、今考えると妙な因縁を感じますね(笑)。
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このエントリに記したような内容は、2008年11月14日に発売された『ひだまりスケッチアルバム』にも掲載されています。この本はテレビアニメ完全版とも言うべき内容で、各話タイトル画面やアイキャッチ・エンドカードのみならず、スタッフ&キャストインタビューや版権イラストなど、アニメ版のすべてが詰まっているといっても過言ではない、素晴らしい一冊になっています。是非購入すると良いと思います。

ひだまりスケッチアルバム-TVアニメ公式ガイドブック- (まんがタイムKRコミックス)
- 作者: 原作:蒼樹うめ,まんがタイムきらら編集部
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2008/11/14
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