外出したついでに

長いことスクリーンで映画を観ていなかったので、『鬼平犯科帳・血闘』(2024年/監督:山下智彦)を観る。テレビスペシャルに続いて松本幸四郎鬼平を演じた劇場版です。

長谷川平蔵松本幸四郎)が若い頃にねぐらにしていた居酒屋の娘・おまさ(中村ゆり)が盗賊の足を洗い、密偵になりたいとやってきます。平蔵はその願いを退けますが、おまさは平蔵が芋酒屋と盗賊の二つの顔を持つ鷺原の九平(柄本明)を探していることを知り、独断で探索。九平を探すうちに凶賊・網切の甚五郎(北村有起哉)の企みを知り、甚五郎一味に潜入。若き日の平蔵(市川染五郎)との因縁から甚五郎は平蔵に怨みを抱いており……

原作の「血闘」と「凶賊」を脚色して、ひとつの物語にしています。そのため、甚五郎に二度も逃げられるという展開で、火盗改方がマヌケにみえるのが欠点。ラストの大立ち回りの過程も、京極備前守中井貴一)と平蔵の関係は観客には観ていてわかっていますが、甚五郎が知っているはずがありません。役宅に火盗改方の表札がかかっているのもねェ。江戸時代の屋敷に表札などなかったのは、時代劇通の常識。

とは言っても、チャンバラ時代劇としての出来は悪くなく、観ていて楽しめましたよ。

 

人気アニメなので

録画していた『鬼滅の刃:刀鍛冶の里編』の特別編集版を観る。

遊郭編」の死闘の傷が癒えた炭次郎は新しい刀を作ってもらうために刀鍛冶の里へ行きます。炭次郎の刀匠・鋼ヅカ(難しい漢字なのだ)は行方不明。里には、恋柱・甘露寺蜜瑠と霞柱・時透無一郎も来ています。そして、鬼殺隊の同期・不死川玄弥と再会。刀鍛冶の里は秘密の場所でしたが上弦の伍の鬼・玉壺がかぎつけ、上弦の肆の鬼・半天狗と襲撃してきます。無一郎が玉壺を倒し、炭次郎が妹の禰豆子と玄弥そして蜜瑠の助けで半天狗を倒します。

相手がどんどん強敵になっていくにつれ、炭次郎と禰豆子もどんどんレベルアップ。上弦の鬼との戦いとともに、無一郎、玄弥、蜜瑠の過去が並行して描かれています。情景の映像が質感あってグッド。善逸と伊之助の登場がない分、ユーモアの度合が少し薄かったで~す。

 

たまには新作時代劇

録画していた『霊験お初』を観る。テレビ朝日のプレミアムドラマです。原作は宮部みゆき

時代は第11代将軍・家斉の頃、一膳飯屋の看板娘・お初(上白石萌音)は、普通の人間には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる不思議な力=霊験に目覚めます。不可思議な奇談を収集している南町奉行根岸肥前守坂東彌十郎)はそのことを知り、お初に協力を依頼。サポート役として与力見習いの吉沢右京之介(京本大我)を引きあわせます。一度死んだ人間がよみがえるという奇怪な事件が発生し、お初と右京之介が調査。死人憑きという悪霊が死人に乗り移って子どもを殺害。100年前に浅野内匠頭切腹した庭に置かれた岩が鳴動するという奇怪な出来事も発生。これらの謎は、次第に大きなうねりとなって『忠臣蔵』の奥底に秘められた悲しくも切ない夫婦の物語につながっていき……

原作は読んでいませんが、奇怪な話が不思議でない時代劇ならではの素材を脚本家がうまく料理している感じ。主人公のお初は両親がわからない養女で、お初の霊験の秘密がわかりません。お初自身の事件と奇怪な事件を絡ませる続編を予定しているのかな。時代劇の絶対数が少ない現在、シリーズ化を期待したいで~す。

 

週に一度は西部劇

BSシネマで『夕陽に立つ保安官』(1968年/監督:バート・ケネディ)を再見。パロディ満載のコメディ西部劇の傑作。

墓穴から金が見つかり、ゴールドラッシュの波が押し寄せた小さな町カレンダーでは秩序と風紀が乱れに乱れ、町議会でオリー町長(ハリー・モーガン)は保安官を雇うことにします。オーストラリアに行く途中で、金でも見つけて資金稼ぎをしようとしていた流れ者ジェイソン・マッカラー(ジェームズ・ガーナー)が、手っ取り早く金にありつこうと保安官に志願。町の外れには無法者のダンビー(ウォルター・ブレナン)一家がおり、息子のジョー(ブルース・ダーン)を殺人罪で逮捕します。ジェイソンと保安官助手のジェイク(ジャック・イーラム)、惹かれあうようになった町長のジャジャ馬娘プルーディ(ジョーン・ハケット)の3人が、息子を奪い返そうとするダンビー一味と対決。

ガーナーのヌーボーとしたとぼけた味わいがグッド。無法者の親玉が『荒野の決闘』でクラントン一家の親父役だったウォルター・ブレナンで、対決するのが『墓石と決斗』で非情なアープ像を見せたガーナーなので、これはセルフパロディになっていますね。ジョーン・ハケットの役名がプルーディ(淑女)というのは皮肉。

泥んこの往来での乱闘をはじめ、西部劇でおなじみのシーンをパロディ化。特に可笑しかったのが、留置所にいれられているダーンを奪いかえそうとブレナン親子三人が鉄格子にツナをつけてひっぱるんですが、三人とも落馬。鉄格子の方が丈夫だったというオチ。さらに、クサッたブレナンに留置所のダーンが言った一言には大笑いしましたよ。主人公のその後を語る独白でシメるジャック・イーラムが、カメラの前で二枚目風にキメのポーズをとるラストも可笑しかったで~す。

 

本格スパイアクションのシリーズなので

録画していた『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』(2023年/監督:クリストファー・マッカリー)を観る。トム・クルーズ主演の人気シリーズ7作目。

ロシア潜水艦が搭載していた最新AI“エンティティ”が自我を持ち、自ら発射した魚雷で潜水艦を撃沈。エンティティは各国の情報網に侵入し脅威を与えます。CIA長官キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)は、IMFのイーサン・ハント(トム・クルーズ)にエンティティを制御できるキーを手に入れるよう要請。イーサンは仲間のルーサー(ヴィング・レイムス)、ベンジー(サイモン・ベッグ)、イルサ(レベッカ・ファーガソン)と行動開始。危険人物として米諜報員ブリッグス(シェー・ウィガム)が執拗にイーサンを追います。ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・ガービー)に雇われた凄腕の泥棒グレース(ヘイリー・アトウェル)が制御キーを手に入れますが、イーサンとグレースの前にエンティティが選んだテロリストのガブリエル(イーサイ・モラレス)と暗殺者のパリス(ポム・クレメンティエス)が現れ……

これは前編で、宿敵ガブリエルとの決着やエンティティの破壊は次作に持ち越されました。このシリーズ定番のカーチェイスやオートバイによるアクションは健在。走りまくるトム・クルーズもがんばっています。CGによる合成映像もレベルアップしていま~す。

 

たまにはB級スパイアクション

録画していた『インクレディブル・スパイ』(2022年/監督:コーリー・ピアソン)を観る。スーパー・スパイが第3次世界大戦を防ぐコミカル・スパイアクション。

ロシアの潜水艦から7基の核ミサイルがトライデント(テレサ・リアン)によって盗み出されます。トライデントの目的は世界7ヶ所にあるCIA施設の破壊。獣医師ヴェロニカ(ジョージア・ウォルターズ)に一目惚れして諜報と殺人の日々から足を洗おうとしていたブラッド(ポール・オブライエン)がCIA本部に呼び出されます。ブラッドは最後の仕事ということを条件に、IT専門家のジェームズ(アミール・アイゼンストロス)とミサイルの行方を追いますが……

メインストーリーこそシリアスですが、主人公の行動はバカバカしく、マヌケな殺し屋や、主人公が惚れた天然美女など個性的なキャラクターが右往左往するだけの作品。アクションも緩いですなァ。

 

未見だったので

録画していた『皇家戦士』(1986年/監督:デヴィッド・チャン)を観る。若き日のミシェル・ヨー真田広之が主演した香港アクション映画です。

香港へ凶悪犯ロイ・リーを護送する飛行機を仲間のウォン・ホンがハイジャック。同乗していた香港警察のミシェル(ミシェル・ヨー)と航空警察のマイケル(マイケル・ウォン)、そして警視庁を辞めた刑事・山本(真田広之)が二人を倒します。香港到着後、マスコミは彼らを英雄報道。“殺人兵団”として生死を誓ったロイとウォンの仲間スランダーとガウが復讐を決意。ガウが誤って山本の妻子を爆殺。ガウを追跡して殺した山本を香港警察が拘束。スランダーに捕えられたマイケルは、ミシェルを助けるために自ら命を断ちます。スランダーはマイケルの棺を盗み、ミシェルと山本を誘き出しますが……

ミシェル・ヨー真田広之のアクションはキレがあって見事。デヴィッド・チャンの演出はがさつで、内容的には褒められたものでないですが、全盛期の香港映画の特質である危険なスタントがてんこ盛りで~す。