映画「海の沈黙」(2024)を見る。倉本聰が50年間温めていたという脚本・原作による「美とは何か、芸術とは何か」という問いを凝縮した“美の本質”をめぐる作品。 倉本聰が映画の脚本を手掛けるのは「海へ 〜See you〜」(1988)以来、36年ぶりということで期待したが、主人公が刺青師でもあるなど物語を複雑化していて、もう少しシンプルにわかりやすくしたほうがよかったかもしれない。 贋作事件をテーマにしたサスペンスフルな映画で、主人公の本木雅弘が中盤に初めて登場するという意外性があるが、そこから一気に変化する展開が面白くなっていく。 主演の本木雅弘と小泉今日子は1982年にデビューした同期で32…