ヨーロッパ最古の木造橋

明けましておめでとうございます。

 さて時は少し戻って年末。クリスマス前にスイスへヨーロッパ最古の木造橋かつ屋根付き木造橋では世界2番目のスパンを誇るカペル橋を見に行ってきました。クリスマスは信大に留学していたY君の親戚とご一緒させていただきました。ベルギーチコリを使った料理や食後にプラリネとチョコレートケーキ、あたかもベルギー版日本の正月のようでした。大晦日ベルギービールシャンパンを片手に友達と新年を迎えました。今日はカペル橋について書きたいと思います。

The landmark of Lucern, the Kapell-Brücke and Wasserturm, originally built in 1333, is the oldest and, with 204.7 meters, the second longest covered wooden bridge in Europe. It was shortened by 75 metres in 1835. 111 paintings showing scenes from Swiss history are mounted in the gables. In 1993 the world mourned for Lucerne’s landmark, when a fire damaged the bridge and destroyed 73 of the painting. It was reopened in 1994. (Chapel Bridge Lucerne 2010 AURA Fotobuchverlag, p.4)


 土木工学は一般にCivil EngineeringですがこれはMilitary Engineeringに対応させて、市民の生活空間、社会・経済基盤の整備技術のための学問です。もともとこの橋は当時の新市街と旧市街をつなぐ、そしてなにより町の南、湖の側から都市を守るための防衛設備として造られました。1333年というと、日本では鎌倉幕府が滅亡した年にあたります。700年弱の歳月を経て町のランドマークとなったこの橋は、時間と共にその役割も一部姿を変えながら、南側にフィアヴァルトシュテッター湖(ルツェルン湖)そして中央スイスアルプスの玄関口としての性格を持つこの町の風景を創りだしています。この橋は1993年の火災により一部焼失し、111枚あった絵画のうち73枚が損傷し大損壊をこうむりました。現存しているのは1994年に復元されたものです。物として存在していたものが、時の変化と共に、その町を包み込みその場として意味を持ちはじめ風景に溶け込んでいった。災難を乗り越えて、今もなお、私たちを飽きさせない魅力はどこから来るのでしょう。


『Kapell-Brücke』