熊本市幸山政史市長は二十九日、二〇〇八(平成二十)年度の機構改革で、合併・政令指定都市問題への取り組みを強化するため、広域行政推進室(部相当)を「政令指定都市推進室」に改組する考えを明らかにした。同日の二月定例会一般質問で答えた。
 政令市の人口要件が緩和されている合併新法の期限が一〇年三月に迫る中、同市との合併論議が起こっている下益城郡城南町、鹿本郡植木町上益城郡益城町との協議を本格化させる狙い。政令市に移行した場合に県から移譲される千近い事務事業の取り扱い方針や、区役所における行政サービスの在り方の検討も始める。人員は現行の十五人から数人増やす予定。 周辺十五市町村と掲げる「熊本都市圏ビジョン」に盛り込んだ事業の推進など、広域行政問題も新部署が引き続き担当する。

同記事では、熊本市で来年度「政令指定都市推進室」を設置する予定であることを紹介。
他の事例を参考に*1、個人的に「移行工程表」を考えてみると、次のようなテンポが必要か。例えば、2010年4月移行と置く。一つの決着点は政令閣議決定政令公布にあるが、2010年4月移行となれば、前例からは、概ね前年10月が一般的。となると、2009年10月頃が妥当な頃。後は、このタイムリミットから遡っていくことになる。まずは、2008年12月から2009年2月末迄には合併決定(又は、終了)していたい。そして、熊本市の場合、この合併と「同時並行的」に、県との協議、市内の体制整備を進めなければらない。県との協議の決着点ともいえる県議会での意見書採択の時期を考えると、2008年12月末までには、県との間で法定及び条例のいずれの各種事務・事業項目、権限項目、各種施設等に関する移譲協議を行っていることが前提。また、あわせて同期迄には、難航が予想される行政区の区割確定をも済んでいたい。そして、その後の府省協議・説明を想定すると、2008年3月中に熊本県議会で政令指定都市の指定に関する意見書の議決が必要。この後は2009年10月迄に、熊本市は県と歩調を合わせて、まずは、総務省への事前協議、次いで他省への要望・説明活動を続けることとなる。
こう考えてみると、タイムスケジュールはかなりタイトだ。「室」の設置のみならず、全庁的に注力する必要となる。もちろん、個人的な「移行工程表」であるため、現実的には内容及び進捗度が異なった内容となるであろう。しかし、いずれにせよ、一つ目ハードルとしては市町村合併、二つ目には、これと「同時並行的」に行う県との協議は課題となることを想定される。ただ、後者はもちろん、前者のハードルも又、県の姿勢が問われてくる。次期県知事選では、何れの候補者も合併と指定都市移行に積極的な姿勢にある*2。知事として政令指定都市移行に積極的であること自体が興味深いが、熊本市にとっては限られた日程内での作業を進めるうえでの大きな推進力となる。知事当選後も推進力となることを期待したい。

*1:指定都市市長会『大都市のあゆみ』(財団法人東京市政調査会、2006年)321〜334頁

大都市のあゆみ

大都市のあゆみ

*2:熊本日日新聞2008年2月25日「(下)課題山積 待ったなし