景観保全のため屋外看板の色や大きさを規制強化した京都市の「新景観政策」の対応に、京都府知事選(11日投開票)の両候補事務所や市選管も苦慮している。両事務所とも「看板が違反」と指摘され、急いで変更。市選管も投票をPRする看板を地味な白黒に変えたが、職員から「投票率アップのため、もっと目立たせたかった」との声も聞かれる。
■赤紫色を白に・サイズダウン…変更相次ぐ
 2007年9月の新景観政策導入で、政治活動の看板も基準を守る義務はあるが、商業用の看板とは違い届け出の必要はない。両候補の事務所では基準を知らずに看板を設置し、市から指導を受けた。
 新人門祐輔さん(54)の選挙母体「民主府政の会」の事務所は1月、看板の色が「違反」との指摘された。キャッチフレーズを掲載した下地の赤紫色が「けばけばしい」と判断され、大きさも「当該壁面積の20%」の規制基準を超えた。会はすぐに白色に改め、面積も縮小したが、選対関係者は「政治活動は例外と思っていた。京都に似合う落ち着いた色と思ったんだが…」と戸惑いを見せた。現職山田啓二さん(56)の事務所も当初、2階の窓を完全に覆った看板を設置。ところが、3月25日の告示日直前に「2階以上は窓面積の3割までしか覆ってはいけない」と指導され、急いで看板を切断し小さくした。選対関係者は「色には注意したが、大きさまで頭が回らなかった」。
 市選管も選挙のたびに庁舎正面にPRのための大型看板を設置してきたが、新景観政策導入決定後の2007年4月の統一地方選以降、新基準に合わせている。今知事選も前回の半分以下の10平方メートルに抑え、デザインも白地に黒で目立たないようにしたが、「本当はもっと派手にしたい」との不満もくすぶる。
 景観に詳しい弁護士や条例を可決した市議も多く事務所に出入りしているだけに、景観を所管する市担当者は「まだ規制が浸透していないのか…」と首をひねりつつ、例外を認めず厳しいチェックをしていく構えだ。

本記事では,京都市における屋外広告物等に関する条例の取組について紹介.2008年12月10日付及び2009年3月9日付の各本備忘録にて取り上げた同市における景観政策.同条例に関しては,同市HPを参照*1
本記事では,同条例第17条において規定されている「特定屋内広告物」(「建築物の1 階以下の部分の1の開口部等の面積に対する当該開口部等に係る特定屋内広告物の面積の合計の割合が10分の5を超え,又は建築物の2階以上の部分の1の開口部等の面積に対する当該開口部等に係る特定屋内広告物の面積の合計の割合が10分の3を超える」)に関して,同条例第17条第2項1号により,公職選挙法に基づく,特定屋内広告物は適用除外に関して,同市が位置する府における知事選候補者間において認識に相異があった模様.
2008年5月10日付の本備忘録にて取りあげた札幌市屋外広告物条例の取組,2010年2月6日付の本備忘録にて取りあげた鹿児島市屋外広告物条例の取組からは,屋外広告物・景観分野では,庁舎屋外における各種主体のみならず,庁舎屋内における各「組織の壁を超えた全庁的課題」*2の傾向性が窺えそうではあるものの,一方で,本記事に掲載されている同市庁舎の写真を確認すると,同市選挙管理委員会では「全庁的課題」としての認識は共有化されている様相も観察できそうか.興味深い.

*1:京都市HP(都市計画局各課の窓口市街地景観課景観申請(広告物編)関係法令・リーフレット等)「」「京都市屋外広告物等に関する条例

*2:北村喜宣『分権政策法務と環境・景観行政』(日本評論社,2008年)207頁

分権政策法務と環境・景観行政

分権政策法務と環境・景観行政