• 購入理由:「行政参加のスキル」(63頁)に納得.住民参加・住民恊働が促されるなかでの行政側の参加のスタイルを考えさせられる.

 長年にわたり全国ワースト水準となっている本県の脳卒中死亡率の改善に向け、専門医らでつくる日本脳卒中協会と県医師会、県が共同で10月から来年5月までの8カ月間、大規模な啓発プロジェクトを展開する。脳卒中発症時の対応について、医療機関や学校などを通じて啓発資料を全県に配布。さらに8市町で専門家による公開講座や中学生対象の授業を行う。脳卒中に関する都道府県規模の啓発プロジェクトは全国初の試みという。
 脳卒中は発症から2時間以内に専門的な医療機関に到着し、その後1時間以内に専門的治療を始めることが有効とされる。県の2010年の調査によると、発症から3時間以内に受診した県内の脳卒中患者は29%にとどまっている。プロジェクトは症状の早期発見と受診を県民に促す狙い。主に県が県内全域での啓発と関係機関との連絡調整を担当する。県医師会は医療機関向けの啓発を実施。県教委は中学生に対し、親や祖父母が発症した場合、すぐに救急車を呼ぶなどの対応ができるよう中学校に啓発を依頼する。啓発用パンフレットやDVDなどは、同協会などが無償提供する。期間中は、新聞、テレビ、ラジオなどを活用し、県内全域で集中的な広報活動を展開する。さらに鹿沼、真岡、小山、栃木、下野、茂木、市貝、壬生の8市町では、住民対象の公開講座などを重点的に行う計画。

本記事では,栃木県における脳卒中対策の取組を紹介.同取組の概要は,現在のところ,同県HPでは確認できず.公表後,要確認.
本記事を拝読させて頂くと,対象者を幅広く設定された「ポピュレーション戦略」*1としての,「啓発プロジェクト」によるいわば「誘因型」*2として実施される模様.「高血圧,耐糖能異常(糖尿病、耐糖能障害等),喫煙、多量飲酒,心房細動,肥満」という「脳卒中発症の危険因子」*3への喚起のため「全県的に脳卒中の初期症状及び早期受療を医療従事者を含めた関係者に啓発」し「早期の受療行動に結びつけていくこと」が「速やかに対応すべき課題」*4へとして認識.本記事で紹介されている「啓発プロジェクト」を通じて「早期の受診行動」へとその慣習を変更する起因となるか,同プロジェクトの認知度も把握できると興味深そう.要経過観察.

*1:近藤克則『「健康格差社会」を生き抜く』(朝日新聞,2010年)195頁

「健康格差社会」を生き抜く (朝日新書)

「健康格差社会」を生き抜く (朝日新書)

*2:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),92頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*3:栃木県HP(福祉・医療健康・保健衛生生活習慣病栃木県脳卒中関連情報)「栃木県脳卒中医療対策懇談会報告書− 脳卒中の克服・・健康寿命を延ばすために−」(栃木県脳卒中医療対策懇談会,2002年10月)2頁

*4:前掲注3・栃木県(栃木県脳卒中医療対策懇談会報告書)7頁