昨日遅い昼飯を食いに街へ出たんだけれど、古い建物の鰻屋が建物を建て替えるというので、古い店をもう一度観ておこうと、鰻重を食べに入った。おうなはめったに口に入らないから、こんな理由でもつかないと喰うことがない。その証拠に、昨年だって多分一度しか食べていない。年に一度の鰻は概ね銀座の神田川と決まっている。なんでかというと大学の先輩のうちだからだ。昔は雷門の初小川という店によく入った。同じ集合住宅に暮らしていたからでもある。
で、鰻重を注文してから出てくるまでの間四方山話をしながら昼下がりの空いた店内を見回していると、カウンターに買い物の紙袋を横に置いた若い男が肘をついて文庫本を読んでいる。お店の人がお茶を差しているので前からいる客のようだ。ファミリーレストランてぇところにはよくゆっくりしている若者がいるってことを聴いているけれど、鰻屋で飯を食い終わってから文庫本を取り出して読んでいる気持ちが良くわからない。私だったらひとりで飯を食っていたら食い終わったら直ちに店を出ようとするだろう。
で、おもったんだけれど、高い食い物のもう片方の横綱といっても良いのは蟹だろう。で、この蟹、もう数年喰っていない気がする。なんとも侘びしいので、近々、これをやっつけてやりたいと思っている。そろそろ時間が少なくなってきているのだから。