大角設計室のブログ

おだやかなくらし。刻が染み込む家をみんなで創ります。

古民家再生工房35周年記念展覧会@いかしの舎(早島町早島)開催中!

古民家再生工房35周年記念展覧会@いかしの舎を開催しております。

前回岡山市の天神山文化プラザで開催したものの巡回展となります。

 

今回は岡山市につづき第二回目の開催です。

今後は秋ごろに広島県に舞台を移して第三回目の開催予定です。

 

 


30周年記念の時も取材をしていただいたのですが、

倉敷経済新聞の方に「古民家再生工房」という岡山の設計グループについて

分かり易く、簡潔にまとめていただいております。

 

活動は継続が一番難しく、また大切でもあるので

私達若い世代が伝え続ける姿勢をなくさないようにしたいですね。

 

お時間がある方是非。

今回難しい方は、広島での巡回展にどうぞ。

 

 

ゆあさ

 

 

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古民家再生工房35周年記念 

開催場所:いかしの舎(岡山県都窪郡早島町早島1466)

開催日時:2024年5月14(火)~19(日)

    :10時~17時(14日は14時から)

入場無料

駐車場:あり

最寄り駅:早島駅(会場まで徒歩15分程度)

 

お休み中に動画をどうぞ

 

みなさまGWいかがお過ごしでしょうか。

最近は設計依頼を若い方からお声がけいただく機会も増えて嬉しい限りです。

現在三物件の見積をとっている段階ですがそのうち2件は若い方の住宅です。

 

大角設計室といえばあまり、完成見学会をやっていないのですが

設計をお考えの方を対象に、お問い合わせいただければ

日程調整は必要ですが実際に住んでいる家をご案内することも可能です。

 

大角設計室のアトリエそのものも、古い江戸時代の蔵をリデザインしたものですので

なにわともあれ、何度か事務所アトリエに遊びに来てくだされば

だいたいの雰囲気が理解できると思います。

設計依頼するか迷っている状態で全然かまいません。

是非お問い合わせいただければと思います。

 

 

大角設計室が、実際に建物をご案内したり、

アトリエや、または、みなさまのお宅に伺って、

会ってお話をすることの一番の目的は、何でしょうか。

 

実際に建物の設計監理をご依頼いただければそれは嬉しいことですが、

私達が一番大切にしているものは、別に2つあります。

1つめは家そのもの。

大角設計室が創っているものがなんとなく「いいな」と

感じられるかどうか。

「○○が良い」という個別具体的なモノではなくて

「なんとなく良い」と思ってもらえるかどうかを

大切にしています。

 

大角設計室が創る建物は「耐震等級」「断熱係数」「坪単価」等

単純に数値化できるものをウリにしている訳ではありません。

もちろん大角設計室も数値化できるものも、おなざりにはしていませんし

住むための快適性・安全性は満たせることは重要だと思っています。

が、その一歩むこう・ないしは一歩手前に

忘れがちな根本的なコトがあるのではないでしょうか。

 

「日々住んでいて心地よい・気持ちがいい」と感じさせる要素こそが

今の日本の家に一番足りない大切なものだと思っています。

 

そうした「心地よい・気持ち良い」家は総じて

住んでいる自分を元気にしてくれると、私達設計事務所は確信しています。

でもこの「心地よい気持ち良い」という要素は単純な数値で測ることは出来ません。

確かに計測可能な数値的要素(例えば温湿度・音環境・熱等)もありますが、

どれか一つが優れいればいいというものではなくて

複雑に重層的に要素が絡み合っている状態と言えると思います。

 

 

GWに風光明媚なものを大勢の方は観光にいかれると思いますが、

泊まる宿の設えや、建物の雰囲気、大自然の中での光等、

人が「空間から知らず知らずのうちに多大な影響」を受けていることは

経験的に理解できるのではないでしょうか。

そうした魅力が何かしらと考えてみるときっと

「なんだか、楽しかった」が先に来るはずです。

 

けっして、○○という情報を楽しんだわけではないはずです。

食べ物であれば(塩分濃度・グラム数・形状・値段等)だけではなく、

神社仏閣であれば(建造年月日・開祖・建築材料等)だけではなく、

キャンプであれば(道具のブランド等)だけではなく、

それらを取り巻く全ての環境・要素(時間・空間・人等)が相まって

それぞれ人生にとってすばらしい経験を生み出します。

 

同様に大角設計室が創る家は

数値化できない魅力が、たーーっぷり詰まった家です。

へんな言い方をすれば「ある種のわかり難さ」が魅力を生み出します。

「良くわからないけど、確かに、なんか気になる」。。

全てを伝えることが容易くないほど

想いや技術を込めた家であると確信しています。

 

 

設計事務所というのは、そういった「住む」という体験を

総合的に「楽しめる空間」として

住まい手と価値観を共有しながら一緒に

創り上げていく人生の中でのパートナーです。

 

ですから

私達がお会いしている方に伝えたいと、大切にしているもの

2つめは

家を一緒に創るパートナーとしての魅力です。

 

 

こればっかりは、お会いしないと伝わらないかもしれないですね。

 

だけど、まだまだ

どんな家を

だれと一緒に

つくろうかとお悩みの方にお勧めします。

大角設計室の創った宮城県の住宅のユーチューブ動画です。

 

気になる方は

誰でも、何度でもお問い合わせください。

お待ちしております。

 

 

 

ゆあさ

 

 

ねぎたま



淡路島にいってきました。

 

ご家族が住まわれていた家を引き継ぐ形になったので

どういった形で活用・引き継げればいいかを検討するために

「家を一回見てアドバイス欲しい」とのことで早速行ってきました。

 

 

 

淡路島と言えば、1995年に阪神淡路震災があり、

このお宅もその時被害にあわれたようで、いろいろ当時のお話を聞けました。

 

そういったことを踏まえた上で、現状の構造の問題や不具合がないかを

実測しながら図面をおこし、現状を数値化やビジュアル化して

将来に向けて考える情報を設計事務所が整えていきます。

 

 

私が既存建物を実測し図面を作成する時に気を付けていることは

2つあります。

 

1つは、既存を正確に記録すること。

2つは、「見えない・見えずらい」情報も記録することです。

 

単純にいいかえると

1つは「モノ・建物」

2つは「ヒト・気持ち」です。

 

 

 

私達は家を見るプロですから、

単純に家を見ることは可能ですが、「家は人が使うモノ」です。

よって、「使う人によって」≒「いい家が違う」というコトです。

 

 

「目に見えているから」全てが見えていると思いがちですが

実は

「見たいものを無意識に選んで」全体の「一部のみ」を見ています。

一般の人の多くが、家についてどうしようと考える時に

「何から考えていいか分からない」と考えることが多い理由がここにあります。

 

同じように設計者も「自分の経験に落とし込んで」家を見てしまいがちです。

よって、ある程度経験を重ねてくると

「こういう家であるべきだ」と自分の意見がだんだん出来上がってくるのですが

【いま目の前に存在する家】と

【いま目の前に存在する住まい手の気持ち】が一つながりであるという意識は

時に忘れがちですが、とても大切です。

 

 

人間関係に置き換えて考えてみると、

良く知っている友人の関係を今以上により良くしようと思ったとき

外面や今までの経験からとらえられる情報もさることながら

内面や現在の趣味・嗜好等をしることで適切な会話の内容やプレゼントを贈ることが

可能になります。

 

 

 

そんな内面の美しさ・美味しさ・大切さを教えてくれるランチ。

淡路島のためねぎは絶品ですね。

新・芯玉葱は甘くて柔らかくて美味しいですねぇ。

 

しばらくは、淡路島の栄養を補給するためにこの店に通いそうです。

 

 

 

すっごおいロケーションで無人販売

 

こんな小屋設計したいナァ。

憧れます。

 

 

ゆあさ

ちいさなアトリエ。おおきな仲間。

 

広島に最近通っているのですが、だいたい車で2時間半くらいですかね。

言って帰って移動時間だけで5時間。

 

到着する頃には地元岡山とは違った文化圏・民家が感じられる風景になっています。

 

とても小さなプロジェクトですが、とても楽しみです。

 

 

 

県外で工事をするときに、最初にネックになるのが

「工事する業者」を探し出すことですね。

 

田舎での仕事確率が大角設計室は高いので、

必然的に会社の数も少なくなります。

なおさら、大角設計室の図面を理解して工事してくれる「仲間」を探す。

これがなかなか大変です。

 

ですが、見つかったとしても、金額を合わせたり、

工事のコミュニケーションを確認したり

最後は私達の仕事(図面の価値)を認めてもらうところに辿り着くのは

さらにハードルがあがります。

 

 

ナゼ、ハードルがそんなに高いのかというと“ある”理由があります。

じつは、あまり知られていませんが、

一般的に建設業が使用する「古い家をなおす」という言葉には

2つの意味があります。

 

1つ目は、古い家を【表面上きれいにする】という工事。

○○そっくりさん、セルフリノベとかは流行ってますが、

肌感では、ほぼ7.8割はこの工事内容に該当するんじゃないでしょうか。

構造や基礎工事など「内部工事はほぼそのまま」として

「外装部分のみ」を工事するやり方です。

 

 

2つ目は、古い家を【根本からなおす】という工事。

日本全国で、ここまでの本格的な工事をやっている工務店設計事務所

ほとんどないと言っても差し支えないくらい、

そういった技術や提案を行う業者はレア中のレアです。

構造や基礎工事など、

「建物のもっとも工事し難いが、建築寿命の根本」にかかわる箇所から

最終的な仕上げまでを含めた総合的工事になります。

 

大角設計室が探しているのは

この2つ目の技術・経験をもった工務店です。

 

 

話をまとめますと

建築業界が使う「古い家をなおす」という言葉には2つ、

どちらかの意味があること。

 

1つ目は、古い家を【表面上きれいにする】という工事。

2つ目は、古い家を【根本からなおす】という工事。

 

お客さんも・請負建設業もほとんどイメージするのが

【1つ目の古い家を【表面上きれいにする】という工事。】のため

見積図面を見たり・見積金額をみると

「何でこんなに工期が掛かるんだ?」とか

「なんでこんな金額になるんだ?」とビックリされることがほとんどですが、

大角設計室の図面には標準仕様で

【2つ目の、古い家を【根本からなおす】という工事。】になっているのが

その理由です。

 

「そこまで直さなくていい」

と大勢の方が思われているかもしれませんが

「そこまで直さなくていい根拠」は実はないんですね。

 

出来うるならば、ベストな状態で住まい手に工事を提案したい。

そういった思いで、今日も全国を駆け回っています。

 

 

ゆあさ

 

 

 

 

 

 

 

知らヌが春

 

知らぬ間に春になってました。

 

毎年あわただしいですね。

 

 

4月には建設業では引っ越しシーズンも重なり

工事完了引き渡しなどのタイミングとなります。

 

 

手塩にかけた図面が、現場で職人たちの手によって立上り

感動もそこそこに、そそくさと住まい手にバトンタッチです。

 

 

大角設計室としては、初めての香川での竣工現場でした。

竣工の日に記念として、地元の人が憩う公園に桜を見に行ってきました。

まだ蕾も開ききってない5分咲きと言ったとこでしょうか。

私達の家も、住まい手の家として段々花開けばいいなと思います。

 

 

 

高松の現場は、予算やライフプランの関係で

一期工事をまず行い、

機を見て二期工事に進んでいきます。

 

ですので本当に最小限の範囲で、工事を絞り込み

如何に無駄なく二期工事に繋いでいけるかの

時間軸を長めに取ったことが特徴です。

 

例えばこの和室も、将来的には違う用途に変化する予定です。

ですが、この先10年は応接機能として使うために

最低限なにをすればいいか、設計者としてアドバイスしました。

ほんのちょっとしたことですが、畳の縁の色が空間に清潔感を

与えています。

 

 

 

この写真の空間は、もともと広いワンルームとして計画していたのですが

工事途中で、想定外の取れない柱・梁・壁が出てきました。

この建物が建てられた当時の図面をもとにプランを描いていたのですが

全然あるはずのないところに、構造的に大事な部材が配置されていて

アタマを悩ませました。

 

 

 

そんなこんなでこんな空間になりました。

既存の天井高さを微妙に下げたり、柱の面取りを調整したり

天井と壁の取り合いを工夫したり、

いろいろ僅かな違いが空間の面白さを生み出しています。

 

写真では分かりずらいのですが、

応接室→台所→柱の部屋→家事室と空間がゆるゆると連続しており

とっても住まい手も気に入っていただき一安心です。

 

とくに天井に映る影の綺麗さを褒めていただいたときは

感動しました。

私達が住まい手と共有したいのは、「使いやすさ」も勿論ですが

わかりずらいけども確かにある「家の楽しさ(美しさ)」です。

影が美しく見えるのには、じつはデザインに秘密があるんです。

影や光が柔らかく拡散するような和紙のような天井の素材をここでは

選定しています。

 

写真にすると、「ただの白い壁」「ただの白い天井」「ただの木の柱」ですが

実は、実は、実は、設計者の住まい手への想いが詰まった工夫があったりします。

 

 

 

そんなことを考えさせられる

「うどん田」の肉うどん(小)。

 

肉にそんな細かい仕事が隠されていたとは!

いままでの肉うどんの概念を反省しました。

全然違う表情の肉とうどんのハーモニー。

まだまだ、足元を見直さないといけませんね。

 

 

建築もうどんも「仕込みが」全然違う結果を創るんですね。

 

 

 

ゆあさ

 

続・茅葺体験

 

o-sumi.hatenablog.com

o-sumi.hatenablog.com

以前ブログで紹介した小学生の子どもたちが

茅葺き屋根の完成を聞きつけてまた見学に来てくれました!

 

できてる~!

きれ~い!

なんて口々に言っていました。

 

工事途中のまだ骨組みが見えているときを知ってるからこそ

そのメタモルフォ―ゼに心底驚いていたみたいです。

 

 

中にも興味津々。

口々に質問が飛んできます。

 

中はどうやって明るくするの?

この小さい入口なーに?

窓にガラスないの?

 

こんなに興味を持ってくれてお兄さんうれしい!

古い物って面白いんだぞ

ということが前の体験から伝わった証拠ですね。

 

そんな中で

 

「なんか右側と左側で色が違うねえ?」

 

そんな声が聞こえてきました。

確かにそうなんです。

茅葺きはストロー上のものを束にしているので

小口の方から見るとストローの中に光が吸収されていき、暗く見えるんですね。

こういう形によって暗くなるものを吸光構造などというらしいのですが

見る角度によって色が違って見えます。

 

なので、動いてもらいながら色が変わるさまも体験してもらいました。

これぞ実物から得られる情報ですよね。

 

そして自分は知識でものを見るようになったものだと

改めて実感しましたね。

いけないいけない。

子どもたちに逆に教えてもらいました。

 

何はともあれほぼ完成です。

まちのシンボルになることを祈りまして。

いや、この金ぴかに輝く屋根を見るに大丈夫そうです。

 

さて、そんなお茶室ですが

来たる5月12日(日)にお披露目会の予定です!

また告知しますがぜひどなたさまもご参加ください!

うえにし

 

古民家再生工房35周年記念展来場御礼!

古民家再生工房35周年記念展!!

先日3月17日に無事閉会いたしました。

 

たくさんの方にご来場いただきありがとうございます。

古民家再生工房は岡山で35年前に結成された

設計事務所主宰6名による設計グループですが

まだまだ岡山の人すべてにそのグループの存在を

知られている訳ではありませんし、

グループの活動内容や設計思想を詳しく知っているとなると

更にまだまだという状況なのかなと思います。

 

ですが、全国的に見てもこれだけの

「質の高い・丁寧に直された古民家再生」の物件が存在するのは

岡山が随一だと個人的には思っています。

 

今や空前の「古民家暮らし」「セルフビルド」「リノベ」なんていう

言葉が市民権を持つ時代で、古民家再生事業としてカフェや宿泊施設として

利活用される素晴らしい時代になってきました。

 

そんな時代だからこそ

「岡山に行けば、古民家再生のプロ設計集団がいるらしい」と

全国の困った人の駆け込み寺的存在になれる可能性を感じた展覧会でした。

 

 

いつの日か「古民家再生の聖地」になればいいナァと思っています。

 

 

 

まだまだ面白い活動を続けていきます。

 

 

 

 

ゆあさ