神罰恐怖について

悪いことをすると神様の罰が当たると、子供の頃に親から言われたことのある人も多いものだと思います。
これは子供の躾としては良くあることであり、これによって問題が出てくるということは、ほとんどないと言って良いと思います。
しかし、中には神経質性格の特徴を持った子供もおり、こういう子供の場合は、親から言われた言葉が一生、影響してしまうということも多いものなのです。
「三つ子の魂百までも」という言葉もありますが、小さい頃に頭に刷り込まれたことは、その人の一生を支配することもあるものだと思います。
そして、これが神経質性格の人間の場合には病的な形になって現れてしまうことも多いものなのです。
これが今回、タイトルにさせて頂いた、神罰恐怖と言われているものなのですが、これもOCDの症状の代表的なものになります。
離婚して子供を見捨てたと感じている母親は、このために神様の罰が当たり、自分は不治の病気にかかったと感じることも多いものなのです。
しかし、こういう考えは、誰にでも浮ぶものであり病的なものではないと思います。
しかし、この考えが発展し、神棚に水をあげなかったり、塩でお清めをしなかったりすると、神様の罰が当たるという不安にとらわれてしまうことも多いものなのです。
そして、常に、このことが頭から離れない状態になると、これは神罰恐怖と言われている症状になります。
そして、この神罰恐怖は、むしろ道徳心や宗教心の強い人に起こる傾向があるものなのです。
つまり、神や仏などは信じないという人の場合には、神罰恐怖の症状は起こりにくいものなのです。
これは書道を習っていて、ある程度の腕を持っている人の方が書痙という症状になりやすいのと同じことなのです。
なお、書痙というのは人前で字を書く時に手が震えてしまうという悩みであり、これもOCDの代表的な症状になります。
つまり、自分が大切だと考えている対象に対してOCDの症状が起こりやすいということなのです。

認知行動療法のこと

OCD(強迫性障害)の精神療法として認知行動療法が注目されています。
認知行動療法は元々、精神分析から派生した暴露行動療法が元になっています。
その後、第二世代として1970年頃から出てきたのが認知行動療法ということになります。
今、精神科の病院などで一般的に行なわれているのが、この第二世代の認知行動療法ということになりますが、これもまだ完成されたものではなく、1990年頃から第三世代の認知行動療法が出てきています。
そして、この第三世代の認知行動療法森田療法の考え方にかなり近づいていると言われています。
このように今、精神科の病院などでも取り入れられ始めている認知行動療法は、まだ発展段階のものであり、流れとしては森田療法に近づいているのですが、少なくともOCD(強迫性障害)に対しては、森田療法のような効果は得られていないと思います。
これはOCD(強迫性障害)の症状が、うつ病とは異なり、「とらわれ」という心理的なメカニズムから起こっているからなのです。
つまり、今の認知行動療法は、OCD(強迫性障害)の症状自体に目を向け、これを無くそうとするところから出発しているために、「とらわれ」を解消することは出来ないのだと思います。
つまり、「とらわれ」は森田療法的なアプローチにより、「あるがまま」に受け止めることが出来るようになって初めて解消してくるものなのです。
しかし、ここに気付いているお医者さんは、今、ほとんどいないのではないかと思います。
皇太子妃の雅子様の症状が一向に改善しないのも、薬物療法認知行動療法といった方向の治療しか行なわれていないからだと個人的には感じています。
つまり、森田療法的なアプローチをすれば、雅子様の症状も充分、改善してくるのではないかという気がしています。

森田療法のこと

今は神経症も不安障害と呼ばれることが多くなり、精神科の病院などへ行くと抗うつ剤抗不安剤といった薬を処方される場合がほとんどになっていると思います。
最近では社会不安障害治療薬とか、パニック障害治療薬といったものまで現れてくる始末です。
しかし、社会不安障害は以前は対人恐怖症と言われていた症状であり、また、パニック障害は不安神経症と言われていた症状のことなのです。
つまり、もともと神経症に含まれる症状が、今は何か新しい病気のように受け止められ、新しい薬で対応しようとしているように感じます。
製薬会社の立場からすれば、新しい薬を作ることで会社の利益を上げることにつながりますから、新しい病気が出てくるのは大歓迎かもしれませんが、症状に悩んでいる当事者にとっては、大変な迷惑だと言わなければならないと思います。
かつて昭和の初め、第二次世界大戦以前は神経症というと精神分析森田療法といった精神療法で治療するのが普通だったと思います。
そして、実際に、これでかなりの治療実績を上げていたのだと思います。
このため、当時は森田療法専門の入院施設を持った病院が、全国各地にあったということも聞きます。
しかし、戦後、アメリカによって統制された日本では、精神医学の分野においてもアメリカの物質主義が浸透したように感じます。
そして、このために今では森田療法を行っている精神科の病院は全国でも数ヶ所になっているのが現状なのです。
この背景には、よく言われるように、今の健康保険制度の元では精神療法は時間ばかりかかり病院の収入に結びつかないという問題点が潜んでいるのです。
つまり、今の健康保険制度は薬をどんどん処方しないと病院の経営が成り立たないような形になっているのではないかと思うくらいです。
このため、神経症、今の言葉で言えば、不安障害に対する非常に優れた精神療法である森田療法が日の目を見なくなっているのは非常にもったいないことだと感じています。
しかし、何時か、後何十年後になるか分かりませんが、必ず森田療法の必要性が理解される時が来るのではないかと思っています。
こういう意味で、微力ではありますが、私もインターネットの世界で、森田療法に関する情報を発信して行ければと考えています。

臭いの悩みについて

前回の汗と同様に、自分の臭いのことで悩んでいる人も多いものです。
森田療法では自己臭恐怖と呼んでいますが、この症状は今の若者の間でも、相変わらず良く見られる悩みだと思います。
若い女性において、良く見られる「わきが」と言われている悩みがありますが、これも自分の脇汗が臭い、人から変に思われたり、嫌われると感じることが多いものなのです。
こういう意味で、赤面症と同様にOCDに含まれる症状だと言って良いと思います。
つまり、自分の脇からの臭いが周りの人から変に思われれたり、嫌がられるという強迫観念が出来ている状態だと言えるのです。
若い男性の場合、汗の臭いというよりも足の臭いとか、精液の臭いが人に分かり、変に思われると感じることが多いものです。
これらの悩みはOCDに含まれる症状になりますが、特に対人恐怖的な傾向の強い症状だと言って良いと思います。
ですから、他人が側にいなければ、それほど気にならないものなのです。

汗の悩みとETS手術

人前で緊張し汗が異常に出てしまうということで悩んでいる人も多いものです。
これは多汗症とか発汗恐怖症と言われている症状であり、これもOCDつまり、強迫性障害の典型的な症状になります。
しかし、普通、多汗症ということになると、これは「わきが」とセットにして考えられることが多く、美容整形外科の病院で手術や薬で治そうとすることが多いように思います。
手術としてはETS手術と呼ばれるものが、良く行われているようですが、これは交感神経を切断することで汗の症状を治そうとするものですが、あまり成功率が高くなく、むしろ逆効果になってしまうこともあるようです。
元もと、緊張から起こる発汗は精神的なメカニズムで起こるものですから、物理的に神経を切断しても効果が期待できないのは明らかなのですが、汗の悩みを持っている時は、藁にもすがる気持ちで、手術してしまうことが多いのではないかと思います。
また、今は多汗症神経症から来ている症状であり、森田療法によって改善可能であるという情報が浸透していないために、誤った方向で対応している人が増えているように思います。
ですから、もし、汗のことで悩んでいて、この記事を目にした人は、多汗症が発汗恐怖症と言われている神経症の一種であり、森田療法によって充分、治していけるということを知っていただければと思います。
発汗恐怖症や森田療法に関するインターネットのサイトもいろいろあると思いますので、これを一度、検索してみる価値は充分あると思います。