二人のトスカーナ

二〇世紀と新世紀をまたぐころ作られたが、原作者が二度孤児となった姉妹のひとりとしてひとたびは養い親となった者に、渾身の鎮魂を捧げた1960年代の三部作の初稿によっていると付記あり。

ノルマンジーに上陸したファシストからの解放軍を迎える人々の歓喜のなかで行き場を失なった銃弾に倒れるが、私たちの素性は専制君主をギロチンにかけたこともなければ郷土を護る民兵として武器を手に、レジスタンスに身を投じた経緯もない。

ムッソリーニを吊るして晒し者にして、市民に足蹴にされる群衆を写したら記録映画を思い出した。我々の先輩方のそんな怒りの、出所を知りたい。