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2017-12-09

『マダム・イン・ニューヨーク』に見る主婦の学び(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

時事的話題に絡めて現代女性の姿を映画からピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」(ForbesJAPAN)第三回がアップされています。


「学べなかった女」を勇気付ける、自尊心回復のストーリー | ForbesJAPAN


「学び」をテーマに、最近のインド映画のヒット作『マダム・イン・ニューヨーク』を取り上げています。英語が喋れないインド人の主婦が、一人で初めて行ったニューヨークで試行錯誤するドラマ。結構話題になったので観た人も多いのではないでしょうか。



脚本が良いのと、主人公のシュリデヴィという女優さんの演技が素晴らしく、英会話教室の先生も生徒たちもキャラ立ちしていて楽しいです。もちろんミュージカルシーンも。基本、コメディなので悪い人は出てきません。

また、ニューヨークを主な舞台にしたことで、さまざまな人種、国籍の人が描かれているばかりではなく、同性愛者もごく自然に登場しているところがいいです。笑いに包みながらも、いろいろな細部に丁寧にスポットを当てているところに好感がもてます。


初めての海外、通じない言葉、滑稽な自分の振る舞い‥‥‥という点は私にも覚えがあり、苦笑しつつ共感をもって観ました。幾つになっても真摯に学ぶことで世界が開けていく。勇気づけられる作品です。

そして、主婦という立場に押し込められがちな女性の葛藤や愛情や洞察も見事に描かれています。最後は涙せずにはいられません。未見の方は是非!

2017-11-25

今改めて観る『告発の行方』(「シネマの女は最後に微笑む」更新)

時事的話題に絡めて現代女性の姿を映画からピックアップする連載コラム「シネマの女は最後に微笑む」(ForbesJAPAN)第二回がアップされています。


世界に広がる「MeToo」、映画から考える性暴力への「あるべき救済の姿」とは*1


今回取り上げたのは、『告発の行方』(1988、米)。原題は『The Accused』(被告人

ワインスタイン騒動を発端とするこの話題からすると、もっと新しい作品で、職場のセクハラに対して闘った女性の物語『スタンドアップ』(2005/シャーリーズ・セロン主演の実話を元にしたドラマ)が相応しかったかもしれませんが、セクハラ騒動よりレイプ告発の方を焦点化したかったので、この映画を取り上げました。記事の枕で伊藤詩織さんの告発に触れたのもそのため。



『告発の行方』は、公開当時はジョディ・フォスターの”挑発的なダンス”がやたらと話題になっていましたが、実質は告発者の苦悩とセカンドレイプも含めた周囲の反応、そして裁判の経過を、初めて真っ向正面から描いた佳作です。

30年近く昔の作品ですが古さは感じさせません。そのことが、性犯罪をめぐる問題の根の深さを表しているようです。


原稿を出した後で、伊藤詩織さんの件について真相究明のため超党派の議連が作られたというニュースがありました。「告発の行方」を注目したいと思います。

*1:「性暴力への」ではなく正しくは「性暴力被害者への」ですが、まあ通じるだろうということで短くなりました。

2017-11-04

「シネマの女は最後に微笑む」/Forbes JAPAN新連載のお知らせ

今月より、Forbes JAPANで映画コラムの連載が始まりました。題して「シネマの女は最後に微笑む」

就業や転職、少子・晩婚化、教育、医療・介護、性差別問題など、現代女性が体験するテーマを映画作品の中から抽出し、時事的話題に絡めて紹介していきます。旧作からのチョイスですが、「この映画観てみよう」と思って頂ければ幸いです。

大体一ヶ月に2回ほどの更新予定。お知らせはこことTwitterでしていきます。よろしくお願いします。


先程アップされた第一回は、明日来日するトランプ大統領の偏食ぶりを枕にした「偏食からグルメまで、大統領を支えるシェフのドラマ」。扱う作品は『大統領の料理人』(2012)です。

現役フランス人女優の中で私が二番目に好き(一番目はイザベル・ユペール)なカトリーヌ・フロ主演の、コメディ風味の効いた作品。80年代、ミッテラン大統領に仕えた女性シェフの実話が元になっています。

大統領の料理人 [DVD]

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先日、日本のジェンダー指数が世界で114位というニュースがありましたが、今年の世界男女格差年次報告書(Global Gender Gap Report)では、この10年数多くの分野で縮まってきた世界的な男女格差が今年、拡大に転じたと報じられました。

http://www.afpbb.com/articles/-/3149125

意外でも何でもなく、ああやっぱりねという残念な実感があります。そんなタイミングで始まることになったこのコラム、悩み奮闘してきたスクリーンのヒロインたちの姿から、改めて学び、力を貰いたいと自分自身も思っています。


ところでForbes JAPANでの私の肩書き、一応オフィシャルコラムニストということになっていますが、いろいろハードルがありまして、6回までの平均PVが規定に達しないとそこで連載打ち切りになります。Forbes JAPANの女性読者は3割ほど、もちろん男性にも読んで頂きたいですが、別のルートからも読者を獲得しないと、3ヶ月後に消える運命でございます。*1

そういうわけで、最近更新が滞りがちな当ブログ、かなり過疎となってきていますが、まだ読んで下さっている皆様、どうぞご支援よろしくお願い致します。

*1:2回連載を持ったことのあるWEBスナイパーもそうでしたが、Forbes JAPAN、私にとってはアウェイ感が半端ない。どう見ても浮いてる。

2017-10-15

きもののボンデージ性とは

週一平均できものを着始めて2年と9ヶ月。きものの持つ拘束感にはまっている大野です、こんばんは。


ボンデージ(拘束)のコスチュームはいろいろありますが、全身を締め付ける特殊なものを除くと、基本的に洋装下着が原型になっていますよね。ブラジャー、コルセットボディスーツ、ガードルは、乳房と臀部を丸く持ち上げ、主にウエストを締めつけて、女っぽくセクシーなボディラインになるよう身体を成形するアイテム。

もっとも強く締めつけられるのは、今も昔もウエスト近辺でしょう。私も昔、ウエストマークのスカートのホックが掛からなくなって、泣く泣くウエストニッパーで締めつけたことが。あと、寄せて上げる系のブラも、胃のあたりが結構きついですね。年齢的に、もうそういうのはしないけど。


きものの場合、洋装のように身体を誇示する思想がありません。基本的かつ古典的な洋装女服は、下着で成形された身体ラインを活かすように立体裁断、縫製されますが、きものは直線裁ち・縫いの衣服で身体全体を包みます。きものは、身体の存在を曖昧化する衣服なのです。

その中に、きもの独特のボンデージ性があります。たしかに女性のきものは、紐が多くて拘束的な点も帯巾が広いのも、封建制の反映と言えるかもしれません。でも、着る過程で味わう、洋服とは異なるフェティッシュな感覚や、着終えた時の身体感覚が私は好きです。それらについて、日頃感じていることを書いてみたいと思います。


フルコースだと足袋以外に、胸の膨らみを押さえるきもの用ブラ(または晒し)、補正タオル、肌襦袢長襦袢、長着(きもの)、帯、帯板、帯枕、帯揚げ、帯締めと、身につけるものが多いきもの。ここにそれぞれを装着・固定する紐類が加わって、胴体は下手をするとボンレスハムのような状態に‥‥。

しかし、しっかりキツめに締めねばならないのは、きものがずり落ちないように固定する腰紐、お太鼓を固定する帯枕の紐、帯自体を固定する帯締めの三本だけ。それ以外の紐類は、合わせた身頃や衿が動かない程度の強さに締めれば大丈夫です。


下ごしらえ(下着と長襦袢)ができたら、きものをマントみたいに肩にはおってから、袖を通します。片腕を通してから着る洋服と順番が違うのは、布地の面積が大きいためです。

その分、重さもあり、重さもある分、「まとう」という感じになります。これがいい。生地の種類によって、結城紬のようにふわっと包まれる感じだったり、大島紬のようにひんやり滑る感じだったり、縮緬のようにしんなりとまとわりつく感じだったり。この最初の段階でフェチな感覚が刺激されて私はワクワクします。


裾を上げ左右の身頃を合わせてかける最初の腰紐は、裾が下がってこないよう、キツめに締めます。紐の位置は私は、腰骨から臍の下、やや前下がりで、後ろは尾てい骨の上部あたり。

相当ギュッと締めてもここは別段苦しくも痛くもありません。むしろ気持ちがいい。褌やまわしを締めるとはこういう感じだろうなという、キリッとした体感があります。ついでに下腹のお肉も持ち上がって一石二鳥。

衿を合わせ、動かないよう胸紐を締め、最後は伊達締めです。後ろで交差させた時にやや強めに左右に引いてシャキっとさせる瞬間が、「きもの完成だぜ!」という感じがして好きです。


この時点で体に巻き付いている紐類は、最低4本。それに加え、私はきもの用ブラの下のラインに、補正と汗取りと帯枕の紐を受けるクッション用に、畳んだハンドタオルを挟んでいます。

こうして、ウエストのくびれに乏しい中年は、ほどほどに寸胴の、帯の巻きやすい形に体が成形されます。


きものの帯は、世界の民族衣装の中でも特異な存在です。衣服を帯で固定する形式は多いですが、ここまで巾と長さがあり、さまざまな意匠を凝らすようになったものは他にない。

帯を締める時は、巻く方向と逆回りの方向に自転しながら、一巻きごとに下側を持ってキュッと締めるのがコツです。自分が帯を巻いているのか、帯に自分が巻かれているのか。とにかく長くて美しいものが、シュッ、シュッという絹ずれの音をさせて胴体に巻きついていく拘束感はたまりません。


帯枕の紐は肋骨の上で少しキツめに結んでから、前帯の内側でぐっと下に押し込みます。ここでお太鼓が背中にピタッとついてくるのが気持ちいい。前帯の上部にはハンドタオルを挟んでおいて後で抜くと、胃のあたりに余裕ができて楽です。かさばる財布を持ち歩きたくない時は、ここに直接お札と小銭入れを挟んでます。スマホを突っ込んでる人もたまにいます。

ほぼ飾りの帯揚げはふんわりと。帯を胴に二重に巻いている(場合によって間に帯板も挟む)ので、最後の帯締めをしっかり締めても苦しくはありません。


着付け完成。

一番締めつけ感がある箇所は、前は胃の下から臍下あたりまで、後ろは尾てい骨あたりから肩甲骨の下まで。このエリアが幾重にも布で巻かれて固定されている感じは、きものに守られているようで、安定感があってとてもいい。ぎっくり腰をやってから、特にそう感じるようになりました。帯がコルセット代わりになっています。

胸元はきっちり衿が重なり合い、腕も脚も隠されていて安心。肩、腕、脚には見た目ほど窮屈感はありません(大股では歩けませんが)。気持ちいいところをしっかり締めつけつつ大事なところを守り、襟足や脇や袖口や裾はスースーと風を通す。

私にとってきものを着る楽しみの一つはこの、一度はまると病みつきになるボンデージ感を味わうことです。

2017-10-07

「不気味なもの」の現れる瞬間を・・・「絵を描く人々」更新のお知らせ

一年半に渡って連載してきました「絵を描く人々」、最終回です。


絵を描く人々 最終回 美しいもの、不思議なもの、不気味なもの - WEBスナイパー*1


単純に「美しいもの」を絵の中に求め、やがて「不思議なもの」に惹かれ、その中で「不気味なもの」に出会う。最後のはもちろんフロイト論文に書いたあれです。

この三つが、子ども時代から少女時代にかけて、私が絵に惹かれ、絵を描く動機になった要素だったということで、今回のタイトルにしています。


重要なのは、不気味なものを描いた絵が「不気味なもの」というわけではないということです。それが出現するのは、不意打ちのような一瞬のこと。

むしろ「不気味なもの」は、「絵を描くこと」の中に現れる瞬間があるのではないか。絵を描く人々なら、その瞬間を知っているのではないかと思います。


イラストは、数年前に描いたデッサンから切り取りました。元絵はこちらの記事の最後に小さく載せています。どうぞよろしく。

ご愛読どうもありがとうございました。

*118禁サイトです。サイドにエロ画像が出てきますので注意。