獣兵衛忍風帖 第5話「金剛童子」

いつもは逃げ回ってばかりのつぶてが、今回の話では手を氷の刀にして向かってくる金剛童子相手に一歩も引かない男気を見せてくれる。普段は獣兵衛の横にいるため、ただの「生意気なクソガキ」という位置に甘んじているが、獣兵衛から離れ、精神年齢の低い金剛童子と対照させることで、つぶてというキャラクターの深さが出た、良い回であったと思う。

つぶては金剛童子のことをちゃあんと見ているんだよな。だからこそ、金剛童子に乗っかかられ刀を鼻の先に向けられても、ちっとも恐れることなく「お前はろくでなしだ。それで、いいじゃないか」と言うことができるのだろう。つぶてには、金剛童子の持つ心優しさを全く疑おうとさえしない。なかなかの懐の深さだと思う。

だから、今回の話は「金剛童子〜成長篇〜」であると同時に、「つぶて〜俺だって大人よ?篇〜」とも言えることができる。つぶてが金剛童子に対して「お前は盗人には向いてねぇよ」と言うところも、つぶての持つ「大人な視点」が現れている。それがラストに来て、獣兵衛にあっさり宝玉を盗まれて「お前は盗賊には向いてねぇよ」と言われることで、また元の「生意気なクソガキ」の位置に戻るところが面白い。獣兵衛から見たら、つぶてはやっぱりまだまだ子供、というところが確認されると同時に、我々観客もつぶてが元のキャラ位置に戻ってくれたことに安心するのである。

獣兵衛忍風帖 第6話「雨宿り」

前回は画面的にちょっと不満であったのだが、今回はオッケー。パースが強調された「飛び出る」画面、グロ描写、エロ描写。どれをとっても、とっても山田風太郎テイストだ。もっと言うとアレだ、くの一忍法帖テイストだ。とは言ってもどちらもちゃんと見ていない(読んでいない)から、イメージで語っているんだけど。

あー、それと今回は何気ないセリフに獣兵衛の生き方や哲学が滲み出ていて、良かったですね。仇討ちのために獣兵衛に襲いかかり、何故、自分の夫を殺したかと問いつめる際のやり取りが秀逸。

「何故、殺したのです?」
「さぁな。刀が触れあったかで因縁をつけられたのだろう」
「………それだけで?」
「武士っていうのは、そういう輩よ」

ここには、獣兵衛の武士に対する侮蔑が見てとれる。その少し前に、獣兵衛が幾人もの人間を斬ってきたことを話す場面がある。つまり、獣兵衛は元々は武士であったのだが、武士の世界に嫌気がさしたか何らかの理由で、現在は雇われ素浪人のような生活を送っているということなのだろう。ひょっとすると、武士との間で何かしらいざこざを起こしていた過去があり、その際に幾人もの武士を斬ってきたということなのかもしれない。いずれにせよ、獣兵衛の過去の秘密を示唆する、奥深いセリフである。

「さ、どうする? 俺を斬るために追い続けるも、お前の自由だ。後は、お前自身で決めろ」
「………私は、強く生きます」
「………これから、どちらへ?」
「さぁな。俺にも分からねぇ。ただな、自由に生きるってのは、そういうもんだ」

ここで、獣兵衛の生き方ははっきりと「武士」の生き方と一線を画したものであることが示されている。「士官のための仇討ち」という依存的な生き方ではなく、真に独立した、自由な生き方を獣権兵衛は選んでいる。それは孤独で、不安定であり、行く末の分からないものである。だが、(追っ手に追われるという)危険と不安と孤独を背負ってでも、「自由」という生き方を選択している獣兵衛にダンディズムを感ぜずにはいられない。おそらく、これが「時代劇的ダンディズム」というものなのだろうな、と時代劇に明るくない私はそう思うのだった。

獣兵衛忍風帖 第7話「蕾」

うむ、今回もグロくてエロい。あざみ@久川綾が元AV男優の蝙蝠@矢尾一樹の舌を蜜壷に入れられてあえぐシーンが、今回の目玉(エロの)であろう。まー、私的にはしぐれ@桑島法子のおしりの下(一応言っておくが、床下)からあざみがニョキニョキ伸び出す、何てことのないシーンに最も萌えましたけれど。

後、獣兵衛って女に弱いのな。思いっきり敵であるあざみには一切手をかけようとしないのだから。これも「時代劇的ダンディズム」なのだろうか? 私的には「80年代ジャンプ的ヒーロー」という印象だが。ケンシロウとかね。

BSマンガ夜話 柴門ふみ「東京ラブストーリー」

今回は予想通り面白かった。いしかわじゅん氏期待通りの「柴門ふみはバカ」発言もあったし。後、昨日の「まんが道」の回と異なって作品論・作家論に絞って話をしてくれたのがありがたかった。

「夏目の目」における「全体としてはリアリティのない話だが、個々のパーツは非常にリアリティのある有り得るディテールで構成されていて、そのため読者は物語に引き込まれることになる」といった指摘や、大月隆寛岡田斗司夫両氏による「柴門マンガは自意識マンガ」という指摘など、非常に納得させられた。

美鳥の日々 Last Days「二人no日々」

綾瀬貴子抱きつきキター!! ホンット男らしいなぁ、この子は。非常に一般的な感性の持ち主である私は、昨今流行のツンデレ系が大好きで、だから綾瀬貴子も非常に好きである。絶対、私なら綾瀬貴子にするが、まぁ、そんなことは置いておいて。

今回は絵コンテがビックリするくらいに冴えていた。冒頭、ジャングルジムから正治と貴子の二人を引きで撮っている場面から、スッと美鳥が窓から外を眺めている場面に移る。画面が移る際に、ジャングルジムの形(連続した四角形)と全く同じ形・同じ位置で、窓枠の形が映し出されるのである。うーん、これは上手い。

ドアを開けたところから、天上から俯瞰でベランダを見下ろす画面への移り変わりも綺麗であった。(鳥が空へ向かい羽ばたいている動作が、きちんと引き継がれているところも良かった)

話としては、まぁメデタシメデタシってことで良かったのではないでしょうか。恋愛場面になると原作ではどうもギクシャク不自然なセリフ運びになっていたけれど、アニメ版では非常にスムーズに、説得力のあるセリフ運びになっていた。まぁ、実物大美鳥になると、急に性格が大人しくなってしまうのが不満ではあるが。1/50(推定)美鳥と同じように、弾けた性格になってこそ、初めて「克服」と言えると思うんだけどなー。後、全体を通して、作品的に全く突出したところがなかったのも残念かな。それでも、平均して良質な作品であったので、概ね満足です。