香港国際警察 NEW POLICE STORY 雑感
・首都圏に住んでいる身としては、観たい映画が近辺の劇場で公開しないという事態は珍しい。大抵は新宿か渋谷に足を運べば事足りるのだが、最近は観に行くのに躊躇してしまう距離での公開が増えている。本作も漸く今週に入ってから池袋にて拡大公開されるも夜一回の上映のみ。まぁ、それでもまだマシな方で、『ハサミ男』なんてお台場のみの単館公開だぜ。悪いがどんなに作品に興味があろうと、映画観るだけで片道300円以上は予算をかけたくないのですよ。つくづく試写会に行った弟が羨ましい*1。
・さて、映画に関係ない閑話が長くなったが、本作は『ハリウッド如きでは、成龍という駒を上手く使いこなせない』コトを見事に証明している。前の出演作『メダリオン』の悪評を聴き、「ああ、もうジャッキーもトシなんだな」なーんて思ったヤツも大勢居ることだろう。だが、それ以上にハリウッド大作では組合等の関係上、危険なスタントは保険会社の許可とか色々と七面倒臭い手続きも必要となるし、プロデューサーも何か事故と起こったらマズいからと、危険なスタントに自粛を促すのだそうだ*2。危険なスタントの無い成龍が面白い筈が無い。一作一作、命を懸けて(或いは削って)作るからこそ、成龍は活きてくるのだ。
・だからこそ古巣に戻ったジャッキーのアクションは活き活きとしている。気を抜いたら2・3回は死んでるんじゃねぇの?って位にハードなアクションを、ホントに50代かよ?って位のキレでこなしている。後半、遊戯施設でバトルしてた“ブラック・マスク2”ことアンディ・オンと20近くも年が離れてるってのに、あの互角っぷりはどうだい?惚れ惚れするじゃないか。
・ストーリーの流れもシンプルで定番のモノだが、予定調和をハズさないで物語を“魅せる”ってのは逆に技術が要るものです。警察署全員が一丸となって“見逃す”シーンは、例え先を予想出来たとしても胸にジーンときちゃいます。俺もつくづく、こういう人情派の演出に弱くなったなぁ。
・そして、やはり定番であるEDでのNG集。やっぱコレがないとジャッキーの映画じゃねぇよな。久々に“ジャッキー・チェンの映画”ってのを観た気がします*3。
・でもバスの暴走シーンって全く意味無いなぁ。本作で一番派手で印象的なシーンなんだけど、物語にちっとも絡まないし…。
香港国際警察 NEW POLICE STORY 雑談
雑感脱稿直後、既に先週銀座で鑑賞していたキノコ氏とメッセで本作についてダベる。以下はその時のログ。多少脚色アリ。ネタバレも少々。掲載についてキノコ氏未承諾。
やっぱり皆ジャッキーが好きなんだ!
きのこ(以下“き”):ポリスストーリー観たんだね。
俺 :観たよー。オモロかったよー。
き :やっぱジャッキーはああでなくてはな。
俺 :イミなく二階建てバスの暴走を挿入させる辺りが何か香港っぽい。
き :まぁコミカルシニカルだからな。警察署全員が一丸で見逃すシーンなんてコメディなのか人情なのかわからんね。
俺 :あれは「笑い⇒人情」のコンボとして計算されてると思うぞ。敵対してた幹部との和解が描かれるんだから。
き :それと、ニコラス・ツェーは『踊る大捜査線』の青島刑事イメージしてるらしい。
俺 :あのダボダボしたコート観れば一目瞭然だよな。向こうでも流行ってるんだろうか?
き :まぁ何にせよ意外と楽しめたよ。アクションも生き生きしてたし、やっぱジャッキーはああでなくちゃ。
俺 :因みにオメェはドコで観たのさ?
き :銀座シネパトス。すげー混んでたぞ。上映10分前に入ったら立ち見と言われた。
俺 :そう?
き :当初立ち見で観てたんだけど、30分ほどして席が空いたので座れてよかったけど、何より嬉しいのは混雑してたことだな。やっぱり皆ジャッキーが好きなんだ!って、肌で感じれたから。
俺 :んー、今日から池袋で封切だったけど、こっちはそれ程でもなかったぞ。毎回7時からの一回きりだし。
昔ながらの大爆破に鳥肌
俺 :つーか、バスのシーンが強烈過ぎ。通過しただけで割れるガラスって何だよ?衝撃波走ってるのかよ?
き :あそこはすげーよなー。無駄だよなー。シナリオ的にも。
俺 :横切ってるだけて窓バリンバリン割れてくし…まるでラドンだ。
き :更に言えばバスの暴走だけでジャッキーあまり活躍してない。多分あれはダブル(代役)だべ。
俺 :あ、そうなの?
き :だってあのシーン、ジャッキーにあまりカメラ寄ってないじゃん。昔のジャッキー映画ならもっと彼に寄ってるって*1。バスの2階部分が剥がれるシーンだって4カメくらい使ってもいいと思う。
俺 :ああ、確かにジャッキー映画特有の“別アングルから何度も同じシーンを映す”ってのが少なかったな。NG集とかみると背中に命綱とか見えてて、ああ、ワイヤーとかCGで消してるんだなってのがハッキリ判るし。
き :昔とは違うのだね…。なんか時代を感じちゃうよ。
俺 :でも、工場の大爆発は合成だと思ってた。
き :あれはちゃんと爆破したんじゃね?
俺 :うん。だから、最後のメイキングみてビビった。
き :素晴らしいよね、ああいうの。
アパアパ
き :最初のほうの警官殺しが意外とシニカルでよかった。ガツンとやられて復讐、…まんまだな。
俺 :しかし、銃の組み立てなんかで雌雄を決するのはラストの対決としてはショボい気がするぞ。
き :まぁね。昔のアパアパ言うくらいの怒りパワーをラストで出して欲しいかも。
俺 :癇癪玉投げるヤツな*2。
き :そうそう、ドラム缶のピラミッドに落ちた奴。あれ痛そうだった。
俺 :まぁ、唖が敵ってのも今の御時世じゃ無理なんだろうな。ああいう泥臭さも香港映画の味の一つだったのに。
き :それに比べて今回の悪役は実に今風だったよな。内容も金持ちボンボンのお遊び復讐劇だし。
俺 :それが、少し懸念材料でもある。まーた、モラル満点の馬鹿が「やっぱり、TVゲームは悪影響だ*3!」とか言って糾弾しそう。
き :ジャッキーの映画を観るヤツにそんな野暮はいない!
俺 :そりゃそうだ。