こんなサントラを持っている その1

先日、友人から電話をもらって、
今度もしかしたらサントラに詳しい人たちが持ち寄って掛けるイベントやるかも
とのことで、以来、そのときが来たら何を掛けようか考えていた。


音楽的に素晴らしくて、かつ、普通知られてないようなサントラがよいだろう。
棚を漁ってみる。サントラの棚もあるんだけど、
2001年宇宙の旅』『地獄の黙示録』『炎のランナー』『パルプ・フィクション
だとか有名なのばかり。
(『炎のランナー』は何気に大好きで、iPhoneに入れてよく聞いている)


どっちかというと他のジャンルのミュージシャンがサントラも手掛けている、
というのがよいのではないか。
そんなわけでいくつかピックアップしてみます。
こんなマニアックのを持ってます、という半ば自慢。
挙げていったらキリがないので、今回はまず5枚。


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□Hal Willner「Amarcord Nino Rota」


これ、先日レコミンツで見つけて買ったばかりですが。
鬼才プロデューサー、ハル・ウィルナーが
豪華なメンツでトリビュート・アルバムをつくるシリーズの1枚。
ニーノ・ロータによるフェデリコ・フェリーニ監督の曲を集める。
カーラ・ブレイが編曲した「8 1/2組曲
ビル・フリゼールがソロで弾く「魂のジュリエッタ
スティーヴ・レイシーが同じくソロで「フェリーニのローマ」など。
他にもウィントン・マルサリスロン・カーターなどの名前が見つかる。


シリーズには他にクルト・ワイルやディズニーテーマ曲集がある。
ハル・ウィルナーの名前を最近聞かないんだけど、どうしてるんだろう。


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□Tindersticks「Nenette et Boni」


クレール・ドゥニ監督の1996年の作品「ネネットとボニ」
残念ながら見ていない。DVDなんてないんだろうな。


Tindersticksはイギリス、ノッティンガム出身の6人組のグループ。
1990年頃デビュー。最近のことはよく分からない。
地味渋というか、「倦怠」「頽廃」「沈鬱」といった言葉の似合う、文学的な音。
古びた薄暗い店で一人で飲んでいるうちに明け方になってしまい、
誰もいなくなっていた、音もなく雨が降っている。


サントラらしく、静かな、緊張感のある音が続く。
かすかなメロディーがくぐもった感情を伝える。


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□Third Ear Band「Macbeth」


ロマン・ポランスキー監督の「マクベス」(1971年)
残念ながらこれも観ていない。もちろんシェイクスピアの映画化。


Third Ear Band は管楽器や弦楽器を取り込んだ
室内楽的ロックの先駆けの1つとなるグループ。
この作品では重々しく幻想的な音の、短いスケッチが連なる。
(とはいえ、今の耳で聴くと多少牧歌的)


ジャケットの雰囲気そのままの音。
何か禍々しいことを待ち受けているような。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/21892


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□Eleni Karaindrou 「Music For Films」


探せばあるもんで、テオ・アンゲロプロス監督の映画音楽集。
霧の中の風景」「蜂の旅人」「シテール島への船出」


エレニ・カラインドルーは同じくギリシア生まれの作曲家。
1982年に出会って、以後コラボレーションが続く。
民族的なルーツを大事にした音の端々に”郷愁”が感じられる。
テオ・アンゲロプロスのあの映像は、この音楽があってこそなのだと知る。


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Mogwai「Zidane: A 21st Century Portrait」


ヴォーカルはなし、だけど静寂と轟音を行き来する演奏が
十分に映像的な情景を描いているという Mogwai は非常にサントラ向きなのに、
自身のライヴ映画意外に手掛けたのは実はこれだけなんですね。


2005年4月23日のレアル・マドレードの試合にて、
ジダンとその周りの空間だけをひたすらに追った作品。
ジダンの呼吸、心臓の音と Mogwai の重なり合うギターとドラム。
静寂と歓声とアンビエントなノイズ、思わず発した声。
余りにもマッチし過ぎてて、
他の映画で安易に Mogwai を起用できないな、とすら思う。