新試験で初めて導入された必須科目「租税法」


新試験制度の論文式試験においては、新しく「租税法」の試験科目が導入されました。
これは、3次試験が廃止されるため、現行の3次試験で課されている「税に関する実務」に代わるものです。
出題範囲は法人税を中心として所得税・消費税にまで及びます。
公認会計士試験実施に係る準備委員会から報告のあった「改正公認会計士法における公認会計士試験の実施について」には、租税法の出題は基礎的なものとすることが謳われています。
ただし、構造的な理解が要求されており、全体像を把握するために基本的な個別論点はすべて学習する必要があります。
論述問題と計算問題との両方が出題されるため、相当の学習時間が必要になりそうです。
「租税法」は新試験制度において初めて導入される科目ですので、どのような問題が出るのか過去の傾向がわかりません。
そこで、公認会計士・監査審査会からサンプル問題が公表されています。
まず、租税法のサンプル問題については、そのボリュームに圧倒されます。
問題用紙は9枚。
これを2時間で解かねばなりません。
内容も盛りだくさんです。
第一問の(問題1)では、ストック・オプションの課税関係についての論述問題が示されています。
他にも参考例として親子会社間の取引などについての問題が示されています。
これらはいずれも実務上の関心が持たれている分野であり、実務に携わる公認会計士にとっては、標準的な試験問題と考えられますが、受験生がこれだけ広範囲な論点をすべて抑えるには非常に時間がかかります。
第一問の(問題2)では、消費税の問題が示されています。
論点としては調整対象固定資産が出題されており、細かな点まで確実に抑えていなければ得点できない問題です。
第一問の(問題3)では、所得税の問題が示されています。
こちらも、源泉徴収やみなし配当など、こまかな論点を突いています。
第二問では、法人税の税額計算の問題が示されています。
法人税の計算問題としてはオーソドックスな出題形式であり、問題のレベルも決して高くはありません。
国際課税、組織再編税制や連結納税制度が出題範囲から除かれていることもあり、基本的事項を問う問題といえますが、短時間でこれだけの問題をこなすには、相当のテクニックが要求されます。
どの問題も、実務において当然要求される水準に設定されていますが、これまで二次試験においては税法が課されていなかったこととのギャップは大きく、現行試験からの持ち越し組みを中心に、大きな負担となることでしょう。
新試験移行当初は受験生の間に得点能力のバラツキが大きく出る可能性があり、合否を左右する科目となることも大いに考えられます。

なお、公表されているサンプル問題については、必ず目を通しておきましょう。
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租税法攻略のため、是非一度読んでみて下さいね。


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