下半身の写メール送った男を書類送検
大阪なら起訴されません。
相変わらず愛知県警はこういうのを検挙して、愛知県の弁護士も気づかないようですが、ネット掲載の場合、最高裁は「サーバ」という「有体物」が不特定又は多数に閲覧可能になっているから公然陳列罪だというのですが、メールで多数に送る場合は、(送信サーバを多数が見ているわけじゃないから)同一サーバの陳列にはならないので、公然陳列罪は無理ですね。
有体物が動かないので、頒布罪も無理。
下半身の写メール送った男を書類送検
2007.11.16 中日新聞社
【愛知県】豊橋署は15日、わいせつ図画公然陳列の疑いで大阪府高槻市の男性派遣社員(50)を書類送検した。
調べでは、男性は2月19日、カメラ付きの携帯電話で自分の下半身を撮影し、面識のない豊橋市内の女性(31)の携帯電話にわいせつ画像を送りつけた疑い。男性は「反応を想像するのが快感だった」と容疑を認めている。ほかに11道府県100人以上に同様のわいせつ画像を送ったことが確認されている。
愛知県警は、改正前に、児童ポルノのメール送信団(mlですね)を頒布罪で検挙したことがあって、裁判所は頒布罪にしたり公然陳列罪にしたりということがあったんですが、基本が理解できていないようです。
画像を削除しただけでは残ってますからね
昨日来た記録でも、ファイナルデータとかで復元されてました。
大橋充直「検証ハイテク犯罪の捜査 第67回 携帯電話の捜査実務(導入編)」捜査研究 第677号
児童買春の際に撮影したという被疑者の調書の見本が出ています。
大橋検事は「ハメ撮り観念的競合説」でしたね。東京でもそんな事件処理してるんですか?
多数回の性犯罪・福祉犯をかすがいする児童ポルノ製造罪
併合罪説の東京高裁H19.11.6について説明しておきますね。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20071115/1195096622
東京高裁H19.11.6
本件の2項製造罪においては,児童の姿態等の撮影とこれに伴う第1次媒体への記録により第1次媒体(児童ポルノ)を製造したものとされているにとどまるが,2項製造罪においては,第1次媒体の製造に引き続き,電磁的記録の編集・複写,ネガフィルムの現像・焼き付け等の工程を経て,第2次媒体や第3次媒体の児童ポルノを製造する行為も実行行為に包含されるのであり,事案によっては,相当広範囲にわたる行為に(包括)一罪性を認めざるを得ないであろうが,児童買春罪との観念的競合関係を肯定するとすれば,いわゆるかすがい作用により,科刑上一罪とされる範囲が不当に広がる恐れも否定できないように思われる(強姦罪等との観念的競合を肯定するとすれば,その不都合はより大きいものとなろう。)。
設例
1/1 被害児童A 強制わいせつ+3項製造罪(デジカメのメディア)
2/1 被害児童B 強制わいせつ+3項製造罪(デジカメのメディア)
3/1 被害児童ABの画像をHDDに複製
の場合、観念的競合説だと、
被害児童Aの関係では
1/1の強制わいせつ+3項製造罪は観念的競合。
1/1の製造と3/1の製造は包括一罪
で、
被害児童Bの関係では
2/1の強制わいせつ+3項製造罪は観念的競合。
2/1の製造と3/1の製造は包括一罪
で、
3/1のAに対する製造とBに対する製造罪は観念的競合
だから、
結局、3/1の製造罪がかすがいになって、Aに対する強制わいせつ+製造とBに対する強制わいせつ+製造とが科刑上一罪になりますね。
個人的法益に対する強烈な侵害である強制わいせつを1/1と2/1に犯して、それが科刑上一罪というのは絶対おかしいですね。
AB並べて交互にわいせつ行為しても併合罪なんですよ。
なのに、後日のダビング行為がかすがいになるんですよ。
この理屈だと、(致傷がない)強制わいせつが併合罪加重されると、処断刑は15年ですが、
第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
100回強制わいせつして、強制わいせつのついでに写真撮っておいて、時々、被害者全部まとめてHDDに複製すれば、科刑上一罪だから、処断刑期は10年になります。1000回でも同じ。
まるで、こういう行為を推奨しているかのような罪数処理なんですよ、観念的競合説は。
観念的競合説は、検察官殿の御主張なので、抗議は検察官へどうぞ。
奥村個人は併合罪説です。ここ当分。