板垣雄三講演会「アメリカの時代」の終り方 ―イスラームを透かして見る世界
人びとは「チェンジを!」とわめいている。でも、変わるどころか、「反テロ戦争」も、「国家緊急事態法」も、不況や格差の深刻化も、市民生活の安全・公正への脅威の増大も、そのまま連続していく。だが、確実にアメリカの一国覇権は終わりを迎えつつある。
これまで、日本政府とマスコミは「アメリカの時代」がしばらく続くことを当てにしてやってきた。だから、「反テロ戦争」にも米軍再編にも協力したし、アメリカがイスラーム教徒の大がかりな拉致をやっているのを知りながら、そのアメリカに北朝鮮の拉致問題解決への圧力を頼んだりしてきた。
しかし世界中で、すでにポスト「アメリカの時代」対応の動きがはじまっているのだ。イスラエルは生き延びられるのか。斬りかえしが、北京オリンピック開会式にあわせ、アメリカ・イスラエルの息がかかったグルジアの起こした行動となって現われたように、グローバルな舞台での虚虚実実の駆け引きが展開していくだろう。
やがてイラン核攻撃もあるという人もいる。目先のことだけでなく、思想文化的な面も視野にいれながら、「アメリカの時代」の終り方、その途中の過程とその後の世界の姿とを考えてみたい。