大阪市の財政状況を他市より悪くみせる方法について

nobuyuki537 (@nobuyuki537) | Twitter

大阪維新橋下徹財務会計が全くわかってない。自治体同士で負債/住民人一人の借金等比べても意味がない。企業間で負債/従業員一人など比較してるなんて私は聞いたことが無い。企業によって規模も違えば売上、利益も違う。利益や売上/従業員一人も合わせてみて比較するのが常識だ。



そもそも市税の多くは個人だけではなく、市内に事業所を有する法人も負担するわけで、昔の資料になりますが大阪市税収の法人依存度は高いみたいですし、また、平成23年度予算で比較してみても、例えば大阪市の法人市民税額は個人市民税額より2割程度少ない1085億円で、市税収入の17.4%を占めますが、一方で横浜市の法人市民税額は、個人市民税額の5分の1である565億円で、市税収入の8%にしか過ぎず、市によってかなり違いがあります。


ですので、法人等を除外した「市民一人あたりの借金」がどれだけ多いかで、財政状況を比較してもあまり意味がないのはその通りでして、地方公共団体財政健全化法で定められた、財政状況を示す、他団体と比較可能な指標である、実質公債費比率や将来負担比率も、元利償還金及び準元利償還金や、将来負担すべき実質的な負債が、その自治体の標準的な財政規模に対して、どの程度の割合を占めているかで算出しています。別に市民一人あたりでどうかで算出しているわけではありません。


大阪維新の会が、法で定められている指標である実質公債費比率や将来負担比率ではなく、何故、前のマニフェストのように「住民一人当たりの借金残高」を持ち出して、大阪市と他市とを比較しようとするのかは、当人ではないのでわかりませんが、少なくとも確実に言えることは、実質公債費比率などで比較するのであれば、大阪市は他市と比べてそれほど財政状況が悪いわけではないのですが、法人を除外した「市民一人あたりの借金」額を使えば、大阪市の状況が他市より極めて悪い様に装うことができるという事です。

自治 実質公債費比率 将来負担比率
大阪市 10.2% 220.6%
名古屋市 12.1% 216.3%
横浜市 18.0% 234.4%



上記が、維新のマニフェストでも比較された、大阪市名古屋市横浜市の実質公債費比率、将来負担比率の数値で、この比較で言うと、大阪市は実質公債費比率が名古屋市横浜市に比べて低い一方で、数値的には横浜市が一番悪いことがわかります。


一方で、「市民一人あたり借金残高」で比較すると、結果が逆になりまして、維新の会のマニフェストにもある様に、財政状況が一番悪いはずの横浜市が一番少なく、大阪市が一番数字が悪くなります。その自治体に対する納税は当然個人と法人両方がするわけですが、大阪市は上で見る様に税収の法人依存度が高いと思われますので、その法人を除いて、個人一人あたりで比較すると、見かけ上、大阪市がかなり悪い様に見えるわけです。大阪市の状況を他市より悪くみせるためのテクニック。


また、大阪維新の会は最近熟議会と称するものを開催している様ですが、その中で紹介されている資料にも大阪府や大阪市の財政状況を説明している資料があるようです。この中でも実質公債費比率や将来負担比率は出てこず、財政の弾力性を示す経常収支比率しか紹介されていません。大阪市は経常収支比率が悪い一方で、実質公債費比率や将来負担比率の数値は良くなってきているわけなのですが、悪い前者の数字しか紹介されないわけです。維新の会には、実質公債費比率や将来負担比率には触れてはいけない掟でもあるのでしょうか。実際、実質公債費比率や将来負担比率によって財政再生団体や早期健全化団体になってしまうわけで、この数値に触れないままで、自治体の財政問題を語ろうとするのもかなり不自然な気がするのですが。